
「Amazonで見つけた海外製トランシーバー、安いけど日本で使っていいのかな…」
高性能で価格も手頃な海外機を前に、こう迷っている方は少なくありません。
私は無線関連の資格(第一級陸上無線技術士・アマチュア無線・第一級陸上特殊無線技士)を持っており、電波法の技術基準を仕事や趣味で扱ってきました。
この記事では、技適マークの意味と、海外トランシーバーが違法になる理由を電波法の条文にもとづいて解説します。
安さだけで選んで後悔しないよう、正しい知識を一次情報でお伝えします。


記事を書いた人
【きのぴぃ】
- CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
- 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
- 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
- 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
- マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター
結論:技適のない海外トランシーバーは日本では原則違法


まず結論からお伝えします。
日本国内で電波を出すトランシーバーは、技適マークのある機器でなければ原則として違法です。
海外向けのCB無線やBaofengのような機種は、日本の電波法の技術基準に適合していないためです。
ここが誤解されがち。「電波を出さず持っているだけ」でも、免許や登録なしに無線局を開設した時点で罰則の対象になり得ます。安易な自己判断は危険です。
とはいえ、合法に使える手軽なトランシーバーもきちんと存在します。



「安い・よく飛ぶ」で選ぶと違法機を掴みやすいんだよね。まず技適から確認しよう。
この後で、技適の意味・違法になる理由・罰則・合法な選び方を順に見ていきます。
技適マークとは?意味と見分け方


そもそも技適マークが何なのかを押さえておきましょう。
基本を知れば、違法機の見分けがぐっと楽になります。
技適マーク(技術基準適合証明)の意味


技適マークは、その無線機が日本の電波法の技術基準に適合していることを示す証明です。
正式には「技術基準適合証明」と「工事設計認証」の総称で、丸に「技」を組み合わせたマークで表されます。
このマークがある機器なら、特定小電力トランシーバーのように免許なしで使えるものもあります。
どこに表示されている?見分け方
技適マークは、機器本体のラベルや電池ボックス内、または画面表示で確認できます。
マークの近くには証明番号も記載され、総務省の検索でその機種が認証済みか照合できます。
逆に、海外機や通販の格安機ではこの表示がまったく見当たらないことが多いです。
技適がないと何がダメなのか
技適のない無線機で電波を出すと、それ自体が電波法違反になります。
技術基準を満たさない電波は、ほかの無線(消防・警察・航空・携帯電話など)へ妨害を与えるおそれがあるためです。
だからこそ国は、市場に出回る機器を抜き取り検査し、基準に合わないものを公表しています。
なぜ海外トランシーバーは違法になるのか(電波法の技術基準)
ここからは、なぜ違法になるのかを条文で見ていきます。
推測ではなく、法令の定めをもとに整理します。
電波法第4条2号ほか、合法の要件


免許不要で使える市民ラジオ(CB)を例にとると、合法の条件は細かく決まっています。
電波法第4条2号では、周波数は26.9〜27.2MHz、空中線電力は0.5W以下、そして技術基準適合が求められます。
さらに施行規則第6条3項で使える波は8波に限られ、無線設備規則第54条の2ではアンテナは2m以下・本体一体型で分離不可といった構造まで定められています。
海外機はこれらのいずれかを外れるため、日本では合法にならないのです。
総務省の「技術基準不適合設備」公表制度
総務省は、市場に流通する無線機を実際に購入して検査しています。
その結果、技術基準に適合しないと判断された機器は「技術基準不適合設備」として公表されます。
つまり、違法かどうかは感覚ではなく、公的な検査と公表で示されているということです。
実例①:Uniden PRO401HHはなぜ違法なのか


具体例として、実際に不適合設備として扱われたUniden PRO401HHを見てみます。
「合法な国もある」機種が、なぜ日本ではダメなのかがよくわかる例です。
スペックと、米国では合法な事実
PRO401HHは、アメリカ向けの小型CBトランシーバーであり、仕様は次の通りです。
- 周波数:26.965~27.405 MHz(40ch) AM PLL式
- RF出力:4W
- 電源電圧:13.8V
- サイズ:55 x 180 x 45 mm
- 重量:255g
- 感度:1 μV以下(10 dB; (S + N) /N typical)
- IF:1st 10.695MHz/2nd 455kHz
- その他:FCC PART15適合/付属アンテナ:ヘリカル


26.965〜27.405MHzの40チャンネル、出力約4W、価格は約48ドル(およそ6,300円)と手頃で、米国では合法に使えます。
過去の日本のCB機より小型軽量で、一見すると魅力的に映るのが厄介なところです。
日本で違反になる具体ポイント(出力・周波数・構造)


日本の基準に照らすと、PRO401HHは複数の点で外れています。
出力は約4.75Wと0.5Wの制限を大きく超え、使用周波数も日本の8波から逸脱しています。
さらにアンテナが着脱式で、本体も基準の一体構造を満たしていません。
| 項目 | 日本の合法CB基準 | PRO401HH |
| 出力 | 0.5W以下 | 約4.75W(超過) |
|---|---|---|
| 周波数 | 8波(26.9〜27.2MHz) | 40ch(逸脱) |
| アンテナ | 2m以下・分離不可 | 着脱式 |
| 技適 | 必要 | なし |
国内で売られていても買ってはいけない理由
やっかいなことに、こうした機器が国内のショップで売られている場合があります。
「海外転売用に仕入れた」といった名目で、米国価格の4倍以上で並ぶ例も確認されています。



販売されているからといって、日本で合法に使えるわけではありません。
見つけても買わないのが、結局いちばん賢い選択になります。
実例②:Baofeng(UV-5R等)は違法?合法化はできる?


海外機で特に検索が多いのが、中国製のBaofengです。
結論を先に言えば、初心者が手軽に合法運用できる機種ではありません。
そのままでは技適なしで違法


Baofeng UV-5Rなどは、日本の技適を取得していません。
そのため、買ってそのまま電波を出せば電波法違反になります。
「安くて広範囲に使える」といった宣伝がありますが、日本ではその使い方自体が問題になります。
アマチュア無線機として合法化する道と、その手間
まったく道がないわけではありません。
アマチュア無線機として使うには、TSSやJARDの保証認定を受け、アマチュア無線局免許を取得する必要があります。
さらに、日本のアマチュアバンド以外へ送信しないよう設定を絞り込む作業も欠かせません。
免許も設定もないまま送信すれば違法のままで、初心者にはハードルが高いのが正直なところです。
「技適取得済み」を謳う出品への注意
通販では「技適取得済み」と表示された海外機類似品も見かけます。
ところが表示と実際が一致しない例もあり、玉石混交というのが実情です。
表示を鵜呑みにせず、証明番号を総務省の検索で確認する慎重さが必要になります。
違反するとどうなる?電波法の罰則


では、実際に違反するとどうなるのでしょうか。
電波法第110条では、免許や登録を受けずに無線局を開設した場合、1年以下の拘禁刑(法改正前は懲役)または100万円以下の罰金の対象と定められています。
重要なのは、「運用」だけでなく「開設」の段階から罰則の対象になる点です。
免許(または登録)がないのに無線局を開設した者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する(電波法第110条の要旨)。
「バレなければ大丈夫」という発想は、リスクに見合いません。
合法に使うには?免許・登録の要否と技適済みの選択肢


ここからが前向きな話です。
用途で選べば、合法かつ快適に使えます。
免許・登録がいる無線/いらない無線
合法な無線でも、手続きの要否は種別で変わります。
特定小電力トランシーバーとデジタル小電力コミュニティ無線は、技適済み機なら免許も登録も不要です。
一方、デジタル簡易無線の登録局は、事前の登録が必要になります。
| 種別 | 手続き | 出力の目安 | 周波数 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| CB | 免許・登録不要 | 500mW | 27MHz帯 | 中距離・屋外・レジャー |
| 特小 | 免許・登録不要 | 10mW | 420MHz帯 | 近距離・屋内・レジャー |
| LCR | 免許・登録不要 | 500mW | 140MHz帯 | アウトドア・防災(GPS付き) |
| デジ簡(登録局) | 登録が必要 | 5W | 351MHz帯 | 広範囲・業務・アウトドア |
| 海外CB・Baofeng | — | — | — | 技適なしで違法 |
市民ラジオ(CB)=手軽・免許不要
昭和時代から存在していたのが市民ラジオです。
昭和58年から免許制が廃止となり、技適済みなら免許も登録もいらず、中距離のレジャーや屋内で気軽に使えます。
コンディションがよければ東京から北海道・九州はもとより、台湾やグアムまで電波が届くことも。



最近まで生産販売していたメーカーがあったものの、中古で入手する方法が一般的です。
特定小電力トランシーバー(特小)=手軽・免許不要
もっとも手軽なのが特小です。
技適済みなら免許も登録もいらず、近距離のレジャーや屋内で気軽に使えます。
中継対応のアルインコ DJ-P240Lなら、条件次第で交信距離を伸ばせます。
\ 免許不要で手軽に始めるなら /
デジタル簡易無線 登録局(デジ簡)=5Wでよく飛ぶ
もっと飛距離がほしいならデジ簡登録局です。
出力5Wでアウトドアや業務に向き、登録さえすれば免許試験なしで個人でも使えます。
アルインコ DJ-DPS70は、フリラ勢にも定番のコスパ機です。
\ 飛距離重視の定番機 /
デジタル小電力コミュニティ無線(LCR)=GPS付きで免許不要
免許不要のまま、より遠くと位置情報を使いたいならLCRです。
出力500mWで、GPSにより相手の方向と距離を把握でき、登山や防災で重宝します。
アイコム IC-DRC1MKIIが、このカテゴリの代表機です。
\ 免許不要でGPS・遠距離なら /
よくある質問(FAQ)
海外トランシーバーと技適について、よく寄せられる疑問をまとめます。
海外トランシーバーを日本で使うと違法ですか?
技適のない海外機は日本の技術基準に適合しないため、電波を出すと原則違法です。合法に使うなら技適済み機を選んでください。
技適マークがない機器は違法ですか?
技適も免許に基づく検査もない無線設備で電波を出せば電波法違反です。マークと証明番号を必ず確認しましょう。
Baofengは違法ですか?
そのままでは技適がなく違法です。アマチュア無線機として保証認定と免許を得て設定を絞れば合法化の道はありますが、初心者には手間が大きいです。
電波を出さず持っているだけなら大丈夫?
電波法は免許・登録のない「開設」段階から罰則の対象としています。安易な自己判断は避けるべきです。
トランシーバーを使うのに許可は必要ですか?
特小とLCRは技適済み機なら免許・登録不要です。デジ簡の登録局は事前の登録が必要になります。
合法に使うには何を買えばいいですか?
技適済みの特小・デジ簡・LCRから用途で選びます。近距離は特小、飛距離はデジ簡、GPS重視はLCRが目安です。
まとめ:安さより合法性。技適済み機で正しく楽しもう
海外トランシーバーと技適の関係を、最後に整理します。
安さや飛距離に惹かれて違法機を選ぶと、罰則という大きな代償を負いかねません。
用途に合った技適済みの合法機を選べば、安心してトランシーバーを楽しめます。








