悲しき無線雑誌

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無線雑誌と言えば、今では「CQハムラジオ」と「ラジオライフ」となってしまったが、その昔、無線専門雑誌は「モービルハム」、「アクションバンド」、「Let’s HAMing」と言ったものもあり、また、電子工作をメインにしていた「初歩のラジオ」「ラジオの製作」でもカテゴリーの1つとして無線関連の記事を掲載していたものだ。

1980年代後半位は正直な所、どうも無線機自体あまり売れていなかったらしい。無線関連を扱う雑誌自体も振り上げを揮っていなかったようだ。
「私をスキーに連れてって」という映画も相まって、一時はスキー&無線人口が増えたものの、その後すぐにバブルとなり、不景気期に突入(「私をスキーに連れてって」を見て開局したハムを一部ではワタスキ・ハムなんていう言い方も)。
バブルになり、財布の紐が硬くなるのは当然のこと。
スキーに行かなくなれば、それらのハムは無線機を使うこともない。

また、更に追い討ちを掛けるできごとがあった。無線人口が減ってしまったのは他でもない。携帯電話の普及だ。

無線機は、どうしてもエリアが決まってしまい、連絡が取れないケースが多々あった(ワタスキ・ハムはハンディ機が多かったものね)。
でも、携帯電話は小型でお洒落。何よりも、どこにいっても連絡が取れることから、置き換わってしまうのにそう時間は掛からなかった。

今や小学生ですら携帯電話を持っている時代だ。連絡ができればいい向きは、あまり電波の飛ばず、アンテナが邪魔な無線機なんぞ好んで使うはずなかろう。

無線関連の雑誌は、マニアに支えられて生き延びてはいたけれど、無線機の売り上げが立たなければ、広告費がカットされてしまうのは当然。
昔の「CQハムラジオ」は今の倍以上は本の厚みがあった。殆どが、記事ではなく、広告だったというわけ。
無線関連の雑誌も無線人口が減れば、読者も減る。→広告収入も減る。という悪循環を繰り返し、破綻というわけ。

元々のターゲット層が小中高校生の若年層だった「初歩のラジオ」「ラジオの製作」も例外ではなかった。無線関連の広告減少もさることながら、これらの雑誌は若年層がターゲットのため、無線関係の記事もあるので、一部マニアには支持されていたものの、大人になるとそれら雑誌を卒業していってしまう(つまり買わなくなるということ)。
大人になれば、嫌でもライフスタイルが変わりますからなぁ。
読む雑誌だって変わる。

以前、「ラジオの製作」という雑誌でもライターをしていたことがあったけれど、「ラ(ジオの)製(作)?ああ、子供が見る雑誌ね」と言われたこともしばしば。
「えっ、子供雑誌のライター?」と不思議がられていたものだ。
「初歩のラジオ」「ラジオの製作」に大人なオーディオ記事があっても、真面目な(?)無線の記事が載っていても、子供が見る雑誌という認知度なのだ。

そのため、常に新規読者を開拓していかなければならず、色々頑張ってこられたかと思うが、読者減、バブルの影響による(無線に限らない)広告収入減という不のスパイラルを断ち切ることができなかったようだ。
連絡手段が主なワタスキ・ハムは、当然、無線関連の雑誌などは読むことはないので、読者になりえなかったのだろう。
無線雑誌ではなく、ファッション雑誌などで、やらせでもいいから無線を取り扱っていたら、また違っていたかもね。「ムセ女」とか。語呂が悪いな(^o^;

「ラジオの製作」も季刊誌となり、一時売られていたこともあったが、ターゲット層はどう見ても昔の読者だったおじさま連中。
1999年に発売したものが未だに売られており、継続して新刊が発刊されていなかったことから、あまり売れ行きがよくなかったのだろうことは容易に想像できる。
(2015.11.24追記:「ラジオの製作」としてではなく、電子工作に重きを置いた「電子工作マガジン」という名前で季刊で発売されておりましたので訂正します。確かCQ出版からも類似の雑誌があったような。そういえば、CQ出版の雑誌でも、「トラ技」以外はここの所見かけないなぁ)

無線は故郷みたいなものなので、「CQハムラジオ」と「ラジオライフ」の2誌ですら、最近あまり書店で見かけなくなってしまい、ちょっとおセンチになってはいる。
まぁ、今のおいらにとっては「トラ(ンジスタ)技(術)」だけでも入手できれば御の字ではあるが。