Uniden PRO401HHが殿堂入り!?

この記事を書いた人(きのぴぃ)
部品メーカー広告宣伝記事・電気系の雑誌や無線雑誌の元ライターをやってました。
以前よりガジェット集めをやっており、本業(電子機器メーカー勤務)の知見を活かしたレビューが得意です。
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技術基準に適合しない無線設備

無線マニアなら見ていて楽しめるのが、総務省が運営している電波利用ホームページ。

総合通信局では、不法無線対策としてインターネットや実店舗等の市場に流通している無線設備を購入して電波の強さ等を測定し、電波法の基準に適合するか確認する取組、所謂、無線設備試買テストを実施している。

違反であると確認された場合、技術基準に適合しない無線設備として公表されてしまうのだ。

PRO401HHは立派な(?)CBトランシーバー

その中で大変興味があった物が殿堂入りしていたのに気づいた。それは、UnidenのPRO401HHというCBトランシーバーだ。Unidenというと通信機メーカーで、日本国内では30年以上も前に(アナログ)コードレス電話を発売していた。アメリカ向けにCBトランシーバーを発売しており、未だにCBトランシーバーがアメリカ市場で売られている。
まだCB自体残っているんだね。
実売は、約48USドル(2023/3/25のレートで131円なので、約6,300円)。安っ。

PRO401HHも当然アメリカ向けのもので、仕様は次の通り。

  • 周波数:26.965~27.405 MHz(40ch) AM PLL式
  • RF出力:4W
  • 電源電圧:13.8V
  • サイズ:55 x 180 x 45 mm
  • 重量:255g
  • 感度:1 μV以下(10 dB; (S + N) /N typical)
  • IF:1st 10.695MHz/2nd 455kHz
  • その他:FCC PART15適合/付属アンテナ:ヘリカル

過去日本にあったCBトランシーバーよりも小型軽量なポータブルトランシーバーとなっているし、カッコもよい。アメリカ向けなので、当然日本の規格では、アウト!となるのは間違いない。

総合通信局のレポートによれば、当該機は、電波法第4条第2号、電波法施行規則第6条第3項、無線設備規則第54条の2が該当しているとのこと。

電波法第4条第2号

二十六・九メガヘルツから二十七・二メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第三十八条の七第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の三十五又は第三十八条の四十四第三項の規定により表示が付されている無線設備(第三十八条の二十三第一項(第三十八条の二十九、第三十八条の三十一第四項及び第六項並びに第三十八条の三十八において準用する場合を含む。)の規定により表示が付されていないものとみなされたものを除く。以下「適合表示無線設備」という。)のみを使用するもの。
電波法 | e-Gov法令検索 ※日本国内で使えるCB無線機を指す

電波法施行規則第6条第3項

法第四条第二号の総務省令で定める無線局は、A三E電波二六・九六八MHz、二六・九七六MHz、二七・〇四MHz、二七・〇八MHz、二七・〇八八MHz、二七・一一二MHz、二七・一二MHz又は二七・一四四MHzの周波数を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下であるものとする。
電波法施行規則 抄 | e-Gov法令検索 ※日本国内で使えるCB無線機の仕様を示している。

無線設備規則第54条の2

第五十四条の二 市民ラジオの無線局(法第四条第二号の総務省令で定める無線局をいう。以下同じ。)の無線設備は、次の各号の条件に適合するものでなければならない。

 通信方式は、単信方式であること。

 送信装置の発振方式は、水晶発振方式であること。(注:水晶制御のPLLはOK)

 一のきよう体に収められており、かつ、容易に開けられないこと。ただし、電源設備、送話器及び受話器について、この限りでない。

 外部送話器及び外部受話器の接続線は、二メートルを超えないものであること。

 送信空中線は、その型式がホイツプ型であり、かつ、その長さが二メートルを超えないものであること。

 給電線及び接地装置を有しないこと。

 変調用周波数の発振ができないこと。
無線設備規則 | e-Gov法令検索 ※日本国内で使えるCB無線機の細かい仕様を示している。

無線設備規則第54条の2には、アンテナの脱着に関しては書かれていないが、脱着できるものはアウトとなっている。アンテナも含めて、「1の筐体に収められており~」でないとダメなのだ。特殊ビスを使っている訳ではないと思われるので、「~容易に開けられないこと」にも抵触しているのだろう。

また、電波法第4条第2号、電波法施行規則第6条第3項に空中線電力0.5W以下と書かれているので、それもアウト。

その時点で、測るまでもないのだが、一応、下記の項目を点検したようだ。

  • 周波数偏差(電波法施行規則第 6 条 第 3 項)
  • 空中線電力の偏差(電波法第 4 条 第 2 項、電波法施行規則第 6 条 第 3 項)
  • 無線設備は容易に開けられないこと(無線設備規則第 54 条の 2 第 3 号)
  • 給電線及び接地装置(無線設備規則第 54 条の 2 第 6 号)

違法であるのは明らかなので、スプリアスは測らなかったみたい。(;^o^A

周波数偏差では、27.185MHzで測定したので、当然アウト!空中線電力の偏差では、4.75Wでていたので、これもアウト!
それ以外の項目もアウト!!ということになり、殿堂入りとなった訳。
まぁ、当然の結果ですな。とは言え、アメリカでは、合法機であるのは間違いない。

国内販売は?

気になって調べてみた所、某ショップで中古・未使用という訳の分からない文言で売られていたのを確認。

「海外販売用に買取り致しました未使用品です。
買取り致しました為、中古扱いとしております。(本文のまま)」

本当なんだろうか…。
サクッと探した結果、2つのショップで販売しているのが確認できた。うち1社は中古云々とは書いていないので、新品と思われる。価格は、アメリカの4倍以上とかなり吹っ掛けている模様。

総務省曰く、「無線設備の製造業者、輸入業者又は販売業者は、基準不適合設備を製造し、輸入し、又は販売を行わない努力義務が課されています。」なんだとか。
販売する場合、日本国内で使うと違法になる旨購入者に告知することになっていたはず。中古品として販売している業者は、中古だからよいという解釈をしているのだろうか?? 

見つけても買わないのがよい選択。

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