LDACが高音質ってほんと?効果はあるの??

以前からもそうだったけれど、「LDACは高サンプリング周波数・高ビットレートで音がいい」などと言われているが本当にそうなのでしょうか。

先日、LDAC対応のイヤホンを使おうとして、色々な機器を購入したりしたのだけれど、単に年のせいで高音域が聞こえなくなっただけなのか、それとも本当は高音質ではないのではないのかと。

いい機会なので、LDACについて記事をまとめようと思い立ちました。

無線&電気系エンジニアの端くれなので、その知見も盛り込んでいるので、是非参考にしてくださいね!

目次

LDACと他のコーデックの違い

各コーデックの音質の違い

各コーデックの違いは、次の通りです。

コーデックの方式ビットレートサンプリング周波数ビット数備考
aptX Adaptive280~420kbps(可変)96kHz24参考(Qualcom)
aptX Lossless140k~1000kbps超(可変)96kHz(44.1kHz)24(16)参考(Qualcom)
LDAC(音質優先モード)990kbps96kHz24SONY
HWA(ゴールド)900kbps96kHz24HUAWEI
LDAC(標準モード)660kbps96kHz24SONY
aptX HD576kbps48kHz24Qualcom
HWA(ダイヤモンド)500/550kbps96kHz24HUAWEI
HWA(プラチナ)400kbps96kHz24HUAWEI
aptX384kbps48kHz16Qualcom
aptX LL352kbps48kHz16Qualcom
LDAC(接続優先モード)330kbps96kHz24SONY
SBC(bitpool:53)328kbps48kHz16
AAC320kbps48kHz16Apple
AAC256kbps(可変)48kHz16Apple
SBC(bitpool:32)192kbps48kHz16
AAC128kbps48kHz16Apple

192kbpsのSBC(bitpool:32)及びAACの128/256kbpsは論外なので除くとして、ビットレート云々で理論上の話をすると、まずは300kbps前後のものはどうでしょうか。

328kのSBC、320kbpsのAAC、352kHzのaptX LL、384kbpsのaptXは、サンプリング周波数が最高48kHz(16bit)なので、音質に大差がないことが考えられる。

しかし、SonyではLDAC(接続優先モード)はSBCよりも優れているというようにサイトに表記しているのはどういったことなのでしょうか。

それは、LDACはサンプリング周波数が最高96kHz(24bit)だからに他なりません。

これは、400kbpsのHWA(プラチナ)にも言えることです。

続いて、500~700kbpsについてはどうか。

576kHzのaptX HDはサンプリング周波数が最高48kHz(16bit)に対し、500/550kbpsのHWA(ダイヤモンド)、660kbpsのLDAC(標準モード)は最高96kHz(24bit)なので、高音域が高い周波数まで伸びていることが考えられる。

最後に、900~990kbpsについて。

900kbpsのHWA(ゴールド)、990kbpsのLDAC(標準モード)は最高96kHz(24bit)なので、高音域が高い周波数まで伸びていることが考えられる。また、ビットレートが高いので、それだけデータ圧縮しないので、高音質となる。

サンプリング周波数が高いということは、聞ける音域がより広くなるということで、聞こえなかった音が聞こえるかも知れません。

ビット数が高いということは、DAC同様、楽器などの微妙なニュアンスが聞き取りやすくなるということに繋がります。

ビットレートが高いと、データの圧縮率が低くなるので、音質を損ねず、かつ速くデータを送れます。

「サンプリング周波数」「ビット数」「ビットレート」以上3つの要素は、いずれも音質に関わってくるのです。

無線データー通信のあるあるで、ビットレートが高いほどエラーが増えてしまい、ビットレートが低いほどエラーが減る。

エラーが多いということは、音切れや早送り再生などのような誤動作を起こす場合があるのです。

例えていうならば、早口でしゃべられると聞き取りミスをするのと同じ理屈です。

エラーを減らすためビットレートを低めにすると、圧縮率を高くするため音質を損ねてしまうけれど、ビットレートを高めにすると、今度はエラーが多くなるものの、高音質化できるという相反することが起こる。

エラー処理というものは行っているだろうが、100%エラーを抑え込むというのは難しいのです。

下にLDAC 24bit/96kHz(ビットレート990kbps)に設定した際の通信状況をご覧ください。
↓下にアニメGIFあり。iPhoneの人で見えない場合は、下の余白をタップしてください。

Windows PCからLDACでイヤホンと繋いだ時の様子で、LDACのビットレート990kbpsの場合は、混信が少ないであろう自宅にいてもこの調子なので、大勢の人がBluetoothを使っている電車の中ではもっと酷いことになる可能性が高いでしょう。

さらに実験を進めると、接続し直すとタイミングによって、プツプツと音切れしたり、早送りする状態になるなど、安定した接続ができない場合がありました。

しかし、標準モードの660kbpsまで下げれば、ビットレートがちらちらと変化せず、何度、接続し直しても安定して接続できるようになりました。

今回の場合は、よく言われる電波状況の問題ではなく、ハードウェア同士の相性によるものではないかと推測しています。

いずれにせよ、LDACを使う場合は、安定しやすい標準モード以下をお勧めします。

通常ではWindows PCからLDACで接続できませんが、「Alternative A2DP Driver」という有料アプリを使うと、LDACでも対応できるようになります。

別記事で導入方法を紹介しているので、参考にしてください。

>>Windows PCでLDACを使えるようにする方法

LDACは理論上の遅延時間が長い

LDACは優れたシステムのように思えますが、今度は別の観点から見ることにしましょう。

ゲーマーもワイヤレスイヤホンを使う向きがあるけれど、よく遅延がどうのという話がでてくるのではないでしょうか。

音声はなぜ遅れるのか。

アナログと言われるものは、そのまま伝送されるので、ほぼ遅延はないけれど、デジタルで伝送すると、例えば、スマホではそのままBluetoothの電波を使ってデジタル信号を送るものの、イヤホンでデジタルーアナログ(DA)変換を行うため、どうしても遅延が発生するのです。

遅延が起こるとどうなるか。

単に音楽を聴いている分には、遅延が起こっても気にならないのですが、ゲームをやっている時は、実際のアクションとタイミングがずれるので、かなりの違和感を生じてしまうのです。

コーデックの方式遅延時間(最大)
SBC0.25秒
AAC0.12秒
aptX0.07秒
aptX HD0.13秒
aptX LL0.04秒
aptX Adaptive0.08秒
LDAC1秒
HWA0.4秒(ビットレートにより異なる)
※文献によっては、SBC/AAC/aptXの遅延時間のうち10m秒の数値が異なるものもあることをご留意いただきたい。

SBCやAAC、aptXシリーズなどと比較すると遅延時間が長くなっています。

LDACやHWAは、高音質寄りではあるが、他のコーデックよりも遅延があるように思えてしまいます。

しかし、表にある時間は理想的なものであり、実際は端末の性能によりガラッと変わってしまいます。

値段の安価なものは、遅延時間が短いとされるaptXを使っていたとしても、値段の高価なものと比べると、回路上の問題なのか遅延が長く、ゲームプレイに支障をきたすのを確認しています。

ゲームでワイヤレスイヤホンを使う向きは、極力10,000円クラス以上のものをお勧めします。

蛇足になりますが、QualcommのaptX Adaptiveは、Snapdragon Sound対応となり24bit/96kHzに対応することとなりました。

さらには混信の際にはビットレートを下げて通信を行い、電波環境が良い場合は1000kbps(1Mbps)超のビットレートになるというaptX Losslessも登場しています。

他にもSamsungやHiByなども高音質コーデックを開発しており、LDACの優位性が失いつつあります。

Qualcomm陣営は目に見える進化を遂げており、Sony陣営も黙って見過ごす訳にはいかないでしょう。

LDACにしても96kHzにならない場合がある

AndroidスマホでLDACにし、Amazon Musicで聞いていた所、24bit/96kHzのソース(楽曲の品質)であるにも関わらず、何回やっても24bit/48kHzにしかならないのです。

この件について、Amazonのサイトにこう書かれています。

Amazon Music HDがサポートされるヘッドフォン/スピーカーはどれですか?
少なくとも、スピーカーとヘッドフォンは、HD再生用に最大20Hzから20kHzの動的周波数をサポートする必要があります。ハイレゾ (Hi-Res)ロゴでハイレゾ認定されているヘッドフォンは、さらに高い動的周波数(40kHz以上)をサポートするためUltra HD再生に推奨されます。
ほとんどのワイヤレスヘッドフォンは、送信中にオーディオを圧縮するため、HDおよびそれ以上の音質での再生をサポートしていません。Qualcomm aptX/aptX HDまたはSony LDACワイヤレス標準のいずれかで高度なBluetoothを使用する一部のワイヤレスヘッドフォンおよびAndroidデバイスは、HD/Ultra HDno 再生(最大24ビット、48kHz)をサポートします。Amazon.co.jp: Amazon Music HDについてよくある質問: デジタルミュージック

これを見て、「なぁんだ、Amazon Musicが単に24bit/48kHzまでしか対応していないからじゃないか」と思うのは早合点すぎます。

Amazon Music HDはどんな音質に対応しますか?
Amazon Music HDはHDとUltra HDの2種類のロスレスオーディオの音質を提供します。HD楽曲のビット深度は16ビット、最小サンプルレートは44.1kHz(CD音質とも呼ばれます)、平均ビットレートは850kbpsです。 Ultra HD楽曲のビット深度は24ビット、サンプルレートは44.1kHz〜192kHz、平均ビットレートは3730kbpsです。ほとんどの標準的ストリーミングサービスは現在、最大320kbpsのビットレートの標準解像度(SD)を提供しています。 これらのオーディオファイルはロッシー圧縮を使用し、ファイルサイズを削減するために元のオーディオの詳細データが削除されます。 これに対して、Amazon Music HDは元の録音情報を保持したまま、高音質で楽曲を配信します。HDは標準ストリーミング配信のビットレートの2倍、Ultra HDは10倍以上のビットレートで配信します。Amazon MusicHDでは、ネットワーク、デバイスの性能、設定情報の範囲内で可能な最大限の音質で楽曲をお楽しみいただけます。Amazon.co.jp: Amazon Music HDについてよくある質問: デジタルミュージック

上記によれば、Ultra HDでは最高192kHz(楽曲による)とすることができるとあるので、24bit/48kHzまでしか対応しないというのは全く辻褄が合わないのです。

何が原因なのでしょう。

一部の機種を除き、Androidスマホには、SRC(Sampling Rate Converter)というものが付いています。

音楽以外にも通話などもオーディオも扱う関係上、それに歩調を合わせるため、SRCで態々96kHz→48kHzに下げる行為を行っています。

それが、最高サンプリング周波数が48kHz止まりとなってしまう原因なのです。

Amazon Musicでそれを回避するには、2つの方法があります。

【SRC回避方法】

  • 端末をSRCが回避されているものに交換する。
  • Bluetooth付きのDACを接続する。

まず、最初の「端末をSRCが回避されているものに交換する。」ですが、XPERIAシリーズのXPERIA10ⅢやXPERIA PRO1など一部の機種とReno5AなどOPPOスマホの一部、Google Pixel6などではSRCが回避されているのが確認されています。

また、AmazonのFireタブレットはSRCがないため、ダウンサンプリングされません。

これらの端末を用意すれば、LDACの性能を引き出すことができようになるのです。

次の「Bluetooth付きのDACを接続する。」ですが、USBホストに対応しているスマホであればこの方法も有効です。

外部機器を繋いでおくと、スマホ内部のSRCが飛ばされて、外部のDACへそのまま行くので、高サンプリング周波数、高ビット数となります。

LDACであれば、24bit/96kHzがフルに使えることに。

ただし、イヤホンによっては、この方法が使えない(HUAWEI FreeBuds Pro3など)ので、注意が必要です。

LDACは本当にいい音なのか?

さて、記事の本題に入りたいと思います。

LDACは本当にいい音で聞けるのかについてです。

そもそも人間の耳ではよくて20kHzまで聞こえるというが、実際はどうなのでしょう。

耳年齢診断ができるサイトがあるので、試してください。

この耳年齢診断、18000Hzは録音ミスと思われる別の音が入っている(別の音が混ざっている?)のでご注意を。

ちなみに、私は15kHzまで聞こえ、16kHzになると、音と言うよりも、不快な振動のように感じています。

人によっては、15kHz前後の音が全く聞こえなかったり、さらに高い音まで認識できる場合もあったりします。

感のよい人ならお察しいただけたかと思いますが、折角の高音質システムであるLDACなどは、個人差によって感じ方が全く異なるということなのです。

サンプリング周波数が48kHzであれば最高周波数は24kHzまで、96kHzであれば最高周波数は48kHzまでの音を伝送することが可能なのだけれど、そもそも、人間の耳では24kHzですら聞き取ることができません。

そのため、人によってはSBCとLDACが少し違うと感じるケースもあれば、大して変わらないケースもありえます。

残念ではありますが、万人が高音質だと感じることができないのは間違いありません。

しかし、ビットレートやビット数が改善されれば音のニュアンスの違いは感じ取ることはできるでしょう。

ただし、かなり注意深くして聞かないと分からない位、微妙な違いなので、気のせいかと思ってしまう場合も。

ハードウェアがよくても、人間の耳がダメであればどうにもなりません。

誰しもがよい音で聞くのは、メーカーの努力だけでは難しいというのは知っておいても損はないでしょう。

参考文献

この記事を書くにあたり、下記のサイトを参考にさせてもらっているので、紹介したい。

【徹底解説】ワイヤレス博士になろう!~中級編~ – イヤホン・ヘッドホン専門店eイヤホンのブログ (e-earphone.blog)

【AAC, aptX HD, aptX LL, LDAC】Bluetoothコーデック解説! | GoodWriter (good-writer.xyz)

96kHz/24bitで低遅延「Snapdragon Sound」。Amazon Musicと協業 – AV Watch (impress.co.jp)

Qualcomm Snapdragon Soundとは? 96kHz/24bit対応のaptX Adaptiveを軸にした新しいオーディオ体験 – 週刊アスキー (ascii.jp)

Qualcommが高音質コーデック「aptX Lossless」を発表、CD音質の音楽を無劣化でワイヤレス再生可能に – GIGAZINE

聴覚 – Wikipedia

Bluetoothのコーデックとは?音質や遅延速度が変わるの?~SBC・AAC・Apt-X・LDACの違いを解説~ (ku-brotherblog.com)

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