電子工作用のはんだごてを買おうと調べ始めると、HAKKO(白光)のFX-600にたどり着く人は多いと思います。
温度調整ができる定番モデルですが、いざ買おうとするとFX-600D・FX-601という似た型番が並び、さらに-01 / -02 といった枝番まであります。

どれを選べばいいのか、さっぱり分からないわ!
この記事では、実際にFX-600(Amazon限定のクリアタイプ)を購入して使った私が、姉妹機との違いや選び方、そして使って分かった良い点・惜しい点を正直にまとめます。
私はもう1台、ステーション型のFX-888も所有していて、さらに旧機種の933も使ってきました。



3世代のHAKKOのはんだごてを使った立場で比較できるのが、この記事の強みです。
なお私は電子機器の技術者として長くはんだ付けをしてきました。
カタログを並べるだけでなく、実際に350℃で使ってみて分かったことを中心にお伝えしますね。


記事を書いた人
【きのぴぃ】
- CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
- 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
- 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
- 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
- マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター
\ セラミックヒーター使用でサクッとはんだ付けできる /
結論:電子工作の温調こてで迷うなら FX-600 でいい




はんだごてを買おうとしてHAKKOのページを開くと、FX-600・FX-600D・FX-601という似た型番が並んでいて、しかもそれぞれに-01 / -02 / -81 / -813 / -03という枝番が付いています。
どれを買えばいいのか分からなくなるところです。
先に結論を書きます。電子工作でIC・LED・プリント基板を扱うなら FX-600 で十分です。



私もこれを選びました(Amazon限定のクリアタイプ FX600Aを購入しています)。
ただし用途によっては姉妹機のほうが合います。まずは違いを整理します。
| こんな人 | おすすめ |
| 電子工作全般 | FX-600(200〜500℃・ダイヤル式) |
|---|---|
| 温度を数字で管理したい | FX-600D(デジタル・1℃単位) |
| より高温で作業したい | FX-601(240〜540℃・熱容量が大きい用途向け) |
| 見た目にもこだわりたい | FX600A(Amazon限定クリアタイプ)=私はこれを購入 |
FX-600・FX-600D・FX-601 の違い【公式仕様で比較】


3機種の仕様を、HAKKOの公式仕様ページから並べました。
| 項目 | FX-600 | FX-600D | FX-601 |
| 消費電力 | 50W | 47W | 47W |
|---|---|---|---|
| 設定温度範囲 | 200〜500℃ | 200〜540℃ | 240〜540℃ |
| 温度調節 | ダイヤル式 | デジタル・1℃単位 | ダイヤル式 |
| ヒーター | セラミック | セラミック | セラミック |
| 付属こて先 | T18-B | T18-B | T19-C65 / T19-B2 |
| 重量 | 61g | 65g | 68g |
| 全長 | 233mm | 233mm | 233〜237mm |
出典:HAKKO FX-600 仕様/FX-600D 仕様/FX-601 仕様(重量・全長はこて先装着時、コードを除く)
温度範囲が3機種で違う
意外と見落とされますが、下限と上限が3機種とも違います。
・FX-600:200〜500℃
・FX-600D:200〜540℃
・FX-601:240〜540℃
FX-601は下限が240℃で、低い温度に設定できません。
逆に上限は540℃まで伸びるため、熱を多く必要とする対象向けの設定です。
電子部品のはんだ付けは一般に200〜400℃前後の範囲で扱うため、下限が低いFX-600 / FX-600Dのほうが電子工作では扱いやすいことになります。
ダイヤル式とデジタル式の差
FX-600とFX-601はダイヤル式、FX-600Dはデジタル式で1℃単位の設定ができます。
どちらもリップル温度は無負荷時±1℃と公称されているので、安定性そのものに差がある訳ではありません。



違いは「設定した温度が数字で見えるかどうか」です。
数値で管理したい、複数人で使って設定を揃えたい、という用途ならFX-600Dが向きます。
ひとりで使って感覚がつかめていれば、ダイヤル式で不足しません。
付属こて先が違う
FX-600とFX-600DはB型(T18-B)が付属します。
先端が円錐形で、電子工作の標準的な形状です。
FX-601は枝番で付属こて先が変わり、FX601-01は6.5C型(T19-C65)、FX601-03は2B型(T19-B2)です。



こて先の系統がT18とT19で異なる点にも注意してください。
FX-600のこて先をFX-601用に替えれば高熱容量タイプにできる
実は、FX-600のこて先をFX-601用のもの(T19系)に交換すれば、高熱容量タイプとして使うこともできます。
より熱を必要とする作業に寄せられるわけです。
ただし注意点があります。



こて先を替えても、FX-600の最大設定温度は500℃のままなんです。
温度範囲そのものは本体側で決まっているので、最大540℃で使いたいならFX-601を選ぶ必要があります。
結局のところ、FX-600とFX-601の違いは「最低温度」と「最高温度」に集約されます。
| FX-600 | FX-601 | |
| 最低温度 | 200℃ | 240℃ |
|---|---|---|
| 最高温度 | 500℃ | 540℃ |



低い温度から使いたい電子工作ならFX-600、より高い温度が必要ならFX-601、という住み分けです。
【要注意】型番の枝番はプラグ形状。FX-600とFX-601で意味が逆です


ここがいちばん間違えやすいところです。
型番末尾の数字は電源プラグの形状を表しますが、製品によって割り当てが逆になっています。
| 製品 | 2極接地型プラグ | 平型プラグ |
| FX-600 | FX600-01 | FX600-02 |
|---|---|---|
| FX-600D | FX600D-81 | FX600D-813 |
| FX-601 | FX601-03 | FX601-01 |
FX-600では「-01」が2極接地型ですが、FX-601では「-01」が平型です。
同じ「-01」でも中身が違います。
型番だけ見て注文すると、想定と違うプラグが届きますので、ご注意ください。
2極接地型を選ぶ意味


2極接地型プラグのモデルには、公式仕様に「こて先アース間抵抗<2Ω」「リーク電圧<2mV」という規定があります(平型モデルには記載がありません)。
私の考えを書いておきます。



静電気に弱い部品をはんだ付けすることが多いなら、2極接地型プラグの「FX600-01」をおすすめします。
こて先から静電気をアースに逃がしてやれるからです。
ICなど静電気で壊れやすい部品を扱うなら、この差は無視できません。



ただ、一般家庭のコンセントで使うなら、平型プラグのほうが素直に挿せるのも事実なんです(平型プラグ用はFX600-02)。
それに2極接地型プラグが付いていても、2極接地型コンセントが自宅になければ威力を発揮することはできませんし、ここは悩ましいところです。
扱う部品と、使う環境のどちらを優先するかで選ぶことになります。
\ 静電気に弱い部品のはんだ付けなら /
私が買ったのはAmazon限定「クリアタイプ」FX600A
今回私が購入したのは、通常の青×黄ではなくAmazon.co.jp限定のクリアタイプ(FX600A)です。
ボディが透明で、中の基板が見えるのが特徴です。
仕様は通常のFX-600と同等で、AC100V・50W・200〜500℃・リップル±1℃・セラミックヒーター・付属こて先T18-B。
中身は同じで、外装が違うだけと考えて差し支えありません。
ここまで書いてきた温度調整や熱伝導性などの使用感は、このクリアタイプで確認したものです。


私がクリアタイプを選んだ理由は、正直なところ定番のイエロー&ブルーの奇抜なカラーがあまり好みではなかったからです。
加えてAmazon限定という点にも惹かれて、こちらを選びました。
使ってみて心配だったのが温度ダイヤルの目盛りの見やすさですが、



クリアボディでも目盛りが見づらいということはありませんでした。
透明だから数字が読みにくい、といった実害はなく、ふつうに温度を合わせられます。
見た目で選んでも作業性は損なわれない、というのが実際に使った感想です。



グリップの材質が若干チープなのは否めませんが、限定好きな私のコレクションにピッタリです。
FX600-02がベースとなっているので平型プラグのモデルしかなく、2極接地型プラグを使いたい人には向きません。
\ セラミックヒーター使用でサクッとはんだ付けできる /
FX-600を実際に使ってみた


ここからは、実際に使った感想です。
私は公私でHAKKOのはんだごてを何機種も使ってきたので、その比較も交えて書きます。
旧機種933と比べて「温度調整のしやすさ」が段違い
私は以前、HAKKOの旧機種「933」を使っていました。
933は「ボタン」と呼ばれる丸いセンサーを交換することで温度を変えるという、面白いギミックであり、当時としては画期的な仕組みのはんだごてでした。
ただ、これが使ってみると不便で、温度を変えるたびにボタンをいちいち付け替えなければなりません。


作業中に「もう少し温度を上げたい」と思っても、すぐには変えられないわけです。
その点、FX-600はダイヤル式の温度調整が付いたことで、はんだごての温度を手元でさっと変えられるようになりました。
ここが933からの一番大きな進化だと感じています。



さらに、メーカーが公表しているとおり933よりも熱伝導性が改善されているため、はんだ付けをしたときにこて先の温度が下がりにくいのもいいところです。
冷えにくいと、連続して作業してもはんだの乗りが安定します。
CALツマミを回すと目盛りは意味を失う|370℃のまま255〜630℃まで動いた
FX-600の温度は、本体のダイヤルと、その隣にあるCALと書かれた小さなツマミで決まります。


このCALは校正用で、実際の温度と目盛りのズレを合わせるためのものです。
どのくらい動くのかを、ダイヤルを370℃のポジションに固定したまま、CALだけを端から端まで回して測りました。
| ダイヤルの表示 | CALを回したときの実測温度 |
|---|---|
| 370℃のまま固定 | 255℃ 〜 630℃ |
表示は370℃なのに、実際は255℃から630℃まで動きました。
つまりCALに触れた瞬間、ダイヤルの目盛りは目安ですらなくなります。
自分が何℃で作業しているのかは、こて先温度計で測らないと分かりません。


CALを触るなら、こて先温度計はセットで用意する。
CALは「目盛りと実温度を合わせる」ためのものなので、温度計なしで回すのは、合わせる基準を持たずに合わせようとしているのと同じです。
出荷状態のまま使うなら触る必要はありません。触るなら温度計が要る、と考えてください。
\ 正確にこて先温度を測るなら こて先温度計 /
上げすぎるとこて先が焼ける|600℃で試した結果
では上げすぎるとどうなるのか、実際に600℃まで上げて試しました。


こて先の先端にヤニが白く固まって付着しました。
電子工作用のはんだはヤニ入りなので、温度が高すぎるとヤニが焼けてこて先に残ります。
この状態のまま作業を続けると、はんだ付けの跡そのものが変わります。


左(350℃)は表面がなめらかで光沢があります。
対して右(600℃)は、奥の1か所目と真ん中の2か所目が黒くボソボソになりました。
手前の3か所目だけ比較的きれいなのは、その前にこて先を水を含ませたスポンジで拭いたからです。



ここは正直に書きます
3か所目がきれいになった理由が「こて先の汚れが取れたから」なのか「スポンジで拭いて温度が下がったから」なのかは、この試し方では切り分けられていません。
どちらも同時に起きているので、ボソボソの原因を一つに断定はできません。
ただしどちらの理由であっても、はっきりしていることが一つあります。
600℃側は銅板そのものが虹色から茶色に酸化して焼けています。
350℃側の銅板は色が変わっていません。
こて先を拭いてきれいにしても、母材が受けた熱までは戻せないということです。
- こて先が焼ける
- はんだ付けの跡がボソボソになる
- 基板や部品の側が熱で傷む。
上げすぎて得することは何もありません。
電子工作なら350℃前後を基準にして、そこから必要な分だけ動かすのが安全です。
1本で温度を使い分けられる|ステーション型の出番が減った!?
FX-600が温度がダイヤルで自由に変えられると、1本で作業を使い分けられるのが便利です。
たとえば電子部品のはんだ付けに最適な350℃にしておき、シールドケースを付け外しするときは400℃前後に上げる、といった切り替えが手元でできます。
正直なところ、これができるようになってから、ステーション型のはんだごての出番が減りそうだと感じているくらいです。
こて先のオプションが豊富|チップ部品から薄手の板金まで
こて先のオプションが多いのも、FX-600の大きなメリットです。
こて先を変えることで、細かいチップ部品から、薄手の板金までこなせます。
1本の本体で作業の幅が広がるので、用途に合わせてこて先を揃えていくと長く使えます。
気になった点①:ダイヤルなので狙った温度にピタッと合わない
ダイヤル式ならではの弱点もあります。
FX-600は、そのままでは350℃ちょうどに合わせられません。
ダイヤルの目盛りはあくまで目安なので、狙った温度に合わせるには微調整が必要です。



今回のテストでも、350℃に持っていくのに少し調整してます。
温度を数字でピタリと決めたい人には、ここがストレスになるかもしれません。
1℃単位で設定したいなら、デジタル式のFX-600Dを選ぶ意味が出てきます。
逆に、だいたいの温度で作業する分には、ダイヤルをちょっと回して合わせれば済む話です。
\ デジタル表示が便利! /



はんだ付けする際70℃下がることを考えれば、わざわざ350℃に合わせなくても、370℃に設定していれば問題ないですよ!
気になった点②:セラミックヒーターは落下に注意
FX-600はセラミックヒーターを使っているため、硬い床に落とすとセラミックが破損することがあります。
取り扱いには少し気をつけたいところです。
ただし、ヒーターが故障しても簡単に交換できるのは救いです。



壊れたら丸ごと買い替え、ではなく、ヒーター部分を交換して使い続けられます。
実は限定カラーもある(ピンク・ゴールド・シルバー)
FX-600といえば青と黄色のツートンが定番ですが、実はそれ以外の色もあります。
ひとつはAmazon限定クリアタイプ(FX600A)。
これは前述のとおり私が購入したモデルです。



もうひとつが、HAKKOの「はんだづけ小町」による限定カラーです。
そもそも定番のイエロー&ブルーというカラーリングは、鉛(共晶)はんだから鉛フリーはんだへ移行する時期に登場したものです。
「鉛フリーはんだ対応のこてだと一目で分かるように」という理由で使い始めた、と昔メーカーの営業の方から聞いたことがあります。
いまでは鉛フリーはんだが一般的になったので、識別の役目は終えた感もあります。
個人的には、そろそろイエロー&ブルーは無くしてもいいのでは……とも思うところです。
実際、後述するFX-888ではカラーバリエーションが豊富でしたし、メーカーのeショップでは3色のカラーからFX-600を選べるようになっています。
| 項目 | 内容 |
| カラー | ピンク/ゴールド/シルバー |
|---|---|
| プラグ形状 | 平型プラグのみ |
| 同梱物 | 本体+B型こて先(T18-B) |
| 価格 | 4,950円(通常カラーの定価7,040円) |
| 取扱 | HAKKO eショップのみ |
出典:HAKKO e-shop「はんだづけ小町」(価格・在庫は変動します。最新は公式でご確認ください)
「はんだづけ小町」は、HAKKO社内で立ち上がったグループで、アクセサリー製作や電子工作を通じてはんだ付けの楽しさを広める活動をしているそうです。
その一環として販売されている限定色になります。
限定カラーを選ぶときの注意
1. 平型プラグのみです。 2極接地型プラグ(こて先アース間抵抗<2Ω/リーク電圧<2mVの規定があるモデル)が必要な場合は、通常カラーのFX600-02選ぶことになります。
2. 同梱は本体とこて先だけです。 こて台もキャップも付いていません。
こて台は必ず用意してください
限定カラーに限らず、ペン型のFX-600は本体単体だと「こてを置く場所」がありません。
私は普段ステーション型のFX-888を使っていますが、こて台が最初から付いている安心感は実際に大きいです。
作業の途中で手を止めるとき、熱いこてを置く場所が必ずある。



ペン型を選ぶなら、こて台は本体と一緒に手配しておくことを強くおすすめします。
キャップキットB5286を使ってみた|便利だが弱点もある
持ち運びや保管を考えて、オプションのキャップキット(品番 B5286)を使ってみました。
FX-600とFX-601で共用できるパーツです。
使ってみて良かったのは、こて先を保護できること。



とがったこて先がむき出しにならないので、洋服に引っかけてしまうこともなくなりました。
持ち運びや、机の上に置いておくときの安心感があります。良いアイテムだと思います。
ただし弱点もあります。
キャップは耐熱性の樹脂ですが、熱いままはめれば傷みます。



どのくらい耐えるのか気になったので、350℃にしたこて先を3秒あてて確かめました。
実測:350℃のこて先を3秒あてた結果
溶け落ちることはありませんでした。ただし、あてた箇所を光にかざすとほんの少し跡が残っているのが分かります。
普通のプラスチックなら3秒でははっきり溶けます。「溶けない」のではなく「溶けにくい」と考えるのが正確です。



つまりコンセントから抜いてすぐにキャップをはめられないということです。
こて先が十分に冷めるのを待ってからでないと、キャップ側が少しずつ傷んでいきます。
なお長時間はめたまま放置する使い方は試していませんので、そこまで含めて安全とは書けません。


eショップの限定カラーは本体とこて先だけの構成なので、キャップキットが必要なら別途そろえる前提で考えておくと、買ってから困りません。
こて台は必須|結局これがないと困る
キャップキットも便利ですが、使ってみて「これは必須だ」と感じたのはこて台でした。
冷めるのを待ってキャップをはめるより、作業中はこて台にサッと置くほうが現実的です。
熱いこてを安全に置ける場所がないと、作業そのものが危なくなります。



FX-600に対応するこて台は、白光のFH300-81があります。
FX-600/FX-601に対応しているので、本体と一緒に用意しておくことをおすすめします。
\ こて台を使って大火傷しないようにしよう! /
ステーション型 FX-888 との比較|今から買うならどうする


HAKKOのはんだごてを調べていると、必ずFX-888という名前が出てきます。
長く定番だったステーション型(本体とこて部が分かれているタイプ)です。



ただし今は新品で買うことはできません。
HAKKO公式の販売終了品リストで、次のように案内されています。
| 型番 | 販売終了日 | 保守終了 | 後継 |
| FX-888 | 2012年10月31日 | 2018年3月(終了済み) | 記載なし |
|---|---|---|---|
| FX-888D | 2024年3月29日 | 2028年3月予定 | FX-888DX |
つまりFX-888は2012年に販売終了、保守も2018年3月で終わっています。
デジタル化した後継のFX-888Dも2024年3月で販売終了し、現行のステーション型はFX-888DXに置き換わりました。
FX-888を中古で買う前に


FX-888は中古市場では見かけますが、本体の保守(修理対応)は2018年3月に終了しています。
こて先はFX-888Dと同一なのでよいのですが、本体が故障したら直せません。



一方でFX-888Dは保守終了が2028年3月予定と、まだ猶予があります。
中古を検討するなら、この差は押さえておいてください。
FX-600(ペン型)と FX-888D(ステーション型)の違い
| 項目 | FX-600(ペン型) | FX-888D(ステーション型) |
| 形式 | 本体一体型 | ステーション+こて部 |
|---|---|---|
| 設定温度範囲 | 200〜500℃ | 50〜480℃ |
| 消費電力 | 50W | 70W(こて部65W/26V) |
| こて部の重量 | 61g | 46g |
| こて部の全長 | 233mm | 217mm |
| 付属こて先 | T18-B | T18-B(同じ系統) |
| 設置スペース | 不要 | 100×120×120mm・1.2kg |
| 入手性 | 現行品 | 販売終了(現行はFX-888DX) |
ステーション型の利点は「こて部が軽い」こと
仕様を並べて分かるのは、ステーション型はこて部が軽く短いという点です。
FX-888Dのこて部は46g・217mmで、FX-600の61g・233mmより軽く取り回しがいい。
電源部を本体側に分けているためです。



長時間の作業では、この十数グラムの差が効いてきます。
ステーション型が業務用途で選ばれてきた理由のひとつです。
一方で100×120×120mm・1.2kgの本体を置く場所が必要になります。
作業机が狭い環境では、この専有面積が現実的な制約になります。
温度範囲は用途が違う
FX-888Dは50〜480℃と下限が非常に低く設定できます。
ただしリップル温度±1℃が保証されるのは200〜480℃の範囲と公式に明記されています。
FX-600は200〜500℃で、上限が20℃高い。電子工作の常用域は両者ともカバーしています。
こて先はどちらもT18系で共通
見落とされがちですが、FX-600とFX-888Dはどちらも付属こて先がT18-Bです。
こて先の系統が同じなので、買い足したこて先を流用できます。
(前述のとおりFX-601だけはT19系で異なります)
私はFX-888を使ってきました
私が実際に使ってきたのはステーション型のFX-888です。
今回ペン型のFX-600を買い足したので、両方を使った立場で違いを書きます。
FX-888を使ってよかった点
ステーション型はこて台が本体と一体です。
はんだ付けの途中で手を止めて別の作業をするとき、熱いこてを置く場所が必ずある。
これが安全面でいちばん大きいと感じています。
ペン型は別途こて台を用意しないと、置き場所に困ります。
クリーニングスポンジとクリーニングワイヤーが付属します。
こて先の手入れをその場でできるので、メンテナンスのために何かを買い足す必要がありません。
こて先は汚れると熱が伝わらなくなるので、手入れのしやすさは作業品質に直結します。
本体側で操作するため、こてを持ったまま手元を見ずに調整できます。
これが長く使ううえでいちばん効いている点です。
はんだごてで壊れやすいのはコードの断線ですが、ステーション型はこて部と本体が分かれているので、断線してもこて部だけ交換すれば復活します。本体は使い続けられる。
ペン型は一体構造なので、コードが断線すれば基本的に本体ごと買い替えになります。
初期費用は高くても、長い目で見れば無駄が少ないのがステーション型です。
こて部をホットツイーザー(FX-8804)に交換すると、チップ部品やSOP部品のリワークができます。
両側から挟んで同時に加熱するので、表面実装部品の取り外しが一気に楽になります。
HAKKO公式によれば、FX-8804はFX-888DX / FX-888D / FX-889 / FR-701 / FR-702で使用でき、単体では使えずステーションとの組み合わせが前提です。
ステーションを持っていることが、そのまま拡張性になるわけです。
FX-888の気になる点
当然ですが、ステーション本体が付くぶん価格は上がります。
趣味で数をこなさないなら、この差額に見合うかは考えどころです。
私が使っているFX-888は2012年に販売終了、保守も2018年3月で終了済みです。
いま新品では買えません。
現行はFX-888DXになります。
FX-600とFX-888、はんだ付けの仕上がりを比べてみた
手持ちのステーション型FX-888と、今回のFX-600を実際に比べてみました。
比べる以上、温度が違えば結果も変わってしまいます。
そこでこて先温度計で両方とも350℃に合わせてから、同じはんだで同じ銅板につけました。




結論から言うと、熱の上がり方といい、はんだ付けの跡といい、遜色ありません。


ペン型のFX-600でも、ステーション型と変わらない仕上がりになりました。
趣味の電子工作なら、FX-600で不足を感じる場面はほとんどないと思います。
なおこれは350℃での話です。


設定温度を変えれば結果は変わりますし、連続で数をこなしたときの差までは試していません。
プロの使い勝手を求めるなら
仕上がりは遜色ないと書きましたが、本格的に数をこなすならステーション型が有利なのも事実です。
こて部が46g・217mmと軽く短いので、長時間握っても負担が違います。
温度も50℃から設定できて守備範囲が広い。



ただしFX-888も後継のFX-888Dも、すでに販売終了です。
いま新品で買える安価なステーション型は FX-888DXになります。
今から買うステーション型は FX-888DX
| 項目 | FX-888 (私の所有機・販売終了) | FX-888D (販売終了) | FX-888DX (現行) |
| 販売状況 | 2012年終了 保守も2018年終了 | 2024年3月終了 保守2028年3月予定 | 現行品 |
|---|---|---|---|
| 温度調節 | ダイヤル式 | デジタル | デジタル |
| 設定温度範囲 | 200〜480℃ | 50〜480℃ | 50〜480℃ |
| ステーション消費電力 | — | 70W | 100W |
| こて部消費電力 | — | 65W(26V) | 65W(26V) |
| こて部 重量/全長 | — | 46g / 217mm | 46g / 217mm |
| こて先アース間抵抗 | — | — | <2Ω |
| リーク電圧 | — | — | <2mV |
| ステーション寸法 | — | 100×120×120mm | 100×120×125mm |
| 付属こて先 | T18系 | T18-B | T18-B |
出典:HAKKO 販売終了品のお知らせ/FX-888D 仕様/FX-888DX 仕様
現行のFX-888DXは、こて部の重量・全長・温度範囲はFX-888Dを踏襲しつつ、ステーション部の消費電力が70W→100Wに上がり、こて先アース間抵抗<2Ω/リーク電圧<2mVが仕様に明記されました。
静電気に弱い部品を扱う用途では、この規定が意味を持ちます。
結論:趣味ならFX-600、数をこなすならFX-888DX
| こんな人 | 選ぶべきもの |
| 趣味の電子工作 机を広く使いたい/すぐ片付けたい | FX-600(ペン型・設置スペース不要) |
|---|---|
| 数をこなす・長時間握る プロの使い勝手を求める | FX-888DX(こて部46g・50℃から・アース規定あり) |
| FX-888/888Dの中古を検討 | 保守期限を確認(888は終了済み/888Dは2028年3月予定) |
なおこて先はどちらもT18系で共通です。
FX-600で買い足したこて先は、将来ステーション型に移っても使える場合があります。
最初の1本としてFX-600を選んでも、投資が無駄になりません。
\ プロも使うステーション型をお手軽に /
こて先はどれを選べばいい?(T18シリーズ)


FX-600は交換こて先が30種類以上用意されています(HAKKO公式)。
付属はB型(T18-B)です。前述のとおり、こて先を替えれば細かいチップ部品から薄手の板金まで守備範囲が広がります。
付属のB型(T18-B)は先端が円錐形の万能タイプで、まずはこれで一通りの電子工作をこなせます。
使い込んでいくなかで「もっと細かい所を狙いたい」「面で熱を伝えたい」と感じたら、用途に合わせて買い足していくのがおすすめです。
\ FX-600を使いこなす /
よくある質問
FX-600とFX-601、電子工作の初心者はどちらを選ぶべき?
FX-600を勧めます。FX-601は下限が240℃で低温側に設定できないため、電子部品を扱う場面では選択肢が狭くなります。FX-600なら200℃から使えます。
2極接地型プラグと平型、どちらを買えばいい?
静電気に弱い部品を扱うなら、こて先アース間抵抗とリーク電圧の規定がある2極接地型に意味があります。一般的な工作なら平型でも作業できます。ただし型番の割り当てがFX-600とFX-601で逆なので、注文前に上の表を確認してください。
FX-600Dのデジタル表示は必要?
リップル温度はどちらも±1℃(無負荷時)と公称されており、安定性で選ぶ理由にはなりません。温度を数値で管理・共有したい場合に価値が出ます。
Amazon限定のクリアタイプは性能が違う?
仕様上は通常のFX-600と同等です(50W・200〜500℃・T18-B)。違いは外装で、性能は変わりません。私自身このクリアタイプを使っていますが、はんだ付けの実力は通常色と同じでした。セット構成が複数あるため、同梱物だけ確認してください。
まとめ:電子工作の1本目ならFX-600で間違いない
旧機種933・ステーション型FX-888も使ってきた立場で、実際にFX-600(クリアタイプ)を使ってみた結論をまとめます。
| ポイント | |
| 良い点 | ダイヤルで温度を手元で変えられる 933より熱伝導性が良くこて先が冷えにくい こて先が豊富でチップ〜板金までこなせる ヒーターは交換可能 |
|---|---|
| 惜しい点 | ダイヤルなので狙った温度に一発で合わず微調整が要る セラミックヒーターは落下で破損のおそれ |
| 買うなら | 電子工作はFX-600 540℃が要るならFX-601 数値管理はFX-600D 数をこなすならFX-888DX |
はんだ付けの仕上がりは、所有するステーション型FX-888と比べても遜色ありませんでした。
趣味の電子工作で最初の1本を選ぶなら、FX-600で間違いないというのが正直な感想です。
ダイヤルの微調整というクセはありますが、慣れれば気になりません。
\ セラミックヒーター使用でサクッとはんだ付けできる /



ひとつだけ、忘れずに用意してほしいのがこて台です。
熱いこてを安全に置ける場所がないと、作業そのものが危なくなります。
本体と一緒にそろえておくことを強くおすすめします。
\ こて台を使って大火傷しないようにしよう! /








