
「マランツのM-CR612って、残念な機種なのかな…」
と気になっていませんか。
ネットで「残念」という声を見かけると、購入前は不安になってしまいますよね。
そんな疑問に、電子機器メーカー勤務で元オーディオ系ライターの筆者が、M-CR612を2年以上使い込んだ実体験からお答えします。
Bluetoothだけでなく、ネットワークレシーバーとしても好評なベストセラー機、それがマランツM-CR612です。
使っていて気になった点も包み隠さず、メリットもデメリットも本音でレビューしていきます。
なお、細かなスペックはメーカーサイトに譲り、この記事では実際に使ってわかったことを中心にお伝えします。
M-CR612が「残念」と言われる理由と実際のところ


ネット上で「M-CR612は残念」と言われる声には、いくつかの決まったパターンがあります。
結論から言えば、その多くは使い方や設定で解消できる範囲のものです。
よく挙がる残念ポイントを、実際に2年以上使った立場から一つずつ検証してみました。
| 「残念」と言われる点 | 実際のところ |
| HEOSアプリが使いにくい | 操作に慣れが必要なのは事実。ただし本体リモコンと併用すれば実用上の不満は小さい |
| Bluetoothが不安定 | 多くは再ペアリングで解消。登録は最大8台で、9台目は最古の機器を上書きする仕様が原因のことも |
| 筐体に傷がつきやすい | 光沢仕上げのため指紋や小傷は目立つ。設置場所とクロス拭きで十分カバーできる |
| USB端子が背面1系統のみ | 旧型611にあった前面USBは廃止。据え置き運用なら背面1系統で困る場面は少ない |
| 価格が上がった | 旧型より値上げされたが、パラレルBTLやデュアルバンドWi-Fiなど中身も進化している |



「残念」で検索して不安になる気持ち、めっちゃ分かる。でも実際は設定でほぼ解決するよ。
とくに多いBluetoothの接続トラブルについては、後半の対処法セクションでまとめています。
結論。「残念」の噂の大半は、機能を理解して設定を整えれば気にならなくなる範囲のものです。
カラフル照明でムーディな演出ができる
本当はシルバーゴールドが欲しかったのですが、購入を思い立った時は入手が難しく、やむなく黒を選びました。
購入前に他社製品も確認しましたが、M-CR612の価格帯で高級感まで求めるのは、少し欲張りかもしれません。
定価は7万円台、実売は5〜6万円台なので、めちゃくちゃ安っぽく見えるわけでもなく、ちょうどよい落としどころだと感じています。
ワンポイント。光沢仕上げのため、汚れた時にゴシゴシ拭けない点だけは覚えておきましょう。
前面ディスプレイの横には、バー状のカラーLEDが配置されています。
デフォルトは白で、好みに応じて青・緑・橙・オフに設定でき、筆者のお気に入りは青です。
ムーディに決めたい夜はブルーにするなど、気分で照明を変えられるのは嬉しいポイントですね。










Bluetoothの音は割とできがよい
このセクションでは、M-CR612のBluetooth音質について、実際の聞き比べを交えて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
聞き比べしたらM-CR612が一番よかった
そもそもM-CR612を選んだ理由は、ほかでもなくBluetoothの音が意外とよかったからです。
いくつもの家電量販店に足を運び、あーでもないこーでもないと聞き比べを繰り返しました。
10万円を超える機種はさすがにBluetoothの音もよいのですが、価格が下がるM-CR612も比較的よい音だと感じました。



Bluetoothがそこそこよければ、他の機能も手抜きしてないだろうって思ったんだよね。
この聞き比べでの手応えが、購入の決め手になりました。
どうしてもBluetooth特有の「シュワッ」はある
コーデックには高圧縮で遅延があるとされるSBCを使っています。
それでも、apt-XやAAC対応機と比べて、聞いていて感じのよい鳴り方でした。
ただし静かな部屋で聞くと、圧縮由来の「シュワッ」という質感が気になる場面もありました。
複数の楽器が重なる曲では、どうしてもその傾向が出やすくなります。
おすすめの使い分け。じっくり音楽を楽しみたい時は、Bluetoothより後述のネットワーク機能で聞くのがおすすめです。



iPhone13に変えてからはあまり「シュワッ」が気にならなくなったので、端末由来によるものかも
M-CR612でBluetoothがつながらない時の対処法
このセクションでは、M-CR612でBluetoothがつながらない・音が途切れるといった悩みの対処法を解説します。
それぞれ順番に見ていきましょう。
まず確認したい基本の3チェック
接続できない時は、いきなり本体を疑う前に送信側から確認するのが近道です。
スマホやパソコン側のBluetoothがオンになっているかを、まず見直してみてください。
- 送信側(スマホ・PC)のBluetoothがオンか
- 入力ソースが「Bluetooth」に切り替わっているか
- 別のスマホでも試し、どちら側の問題か切り分ける
別のスマホだと問題なくつながる場合、原因は本体ではなく送信側の設定にあると判断できます。
再ペアリングでほとんど直る
基本チェックで直らない時は、ペアリング情報の登録し直しが最も効きます。
M-CR612は最大8台まで登録でき、9台目をペアリングすると一番古い機器を自動で上書きします。
気づかないうちに登録が上書きされ、つながらなくなっているケースも少なくありません。
再ペアリングの手順
スマホのBluetoothメニューからM-CR612の登録を一度削除します。
本体の入力ソースをBluetoothに切り替え、ペアリング待機の状態にします。
スマホ側で改めてM-CR612を選び、ペアリングをやり直します。
それでも改善しない場合は、本体を再起動すると直ることがあります。
手順の詳細は、メーカー公式のマニュアルも参考になります。
本機は最大8台のBluetooth機器とペアリングできます。9台目のBluetooth機器をペアリングすると、一番古い機器に置き換えて登録します。
音が途切れる・遅延する時のチェックポイント
接続はできるのに音が途切れる場合は、電波環境が原因のことが多いです。
本体とスマホの間に壁や家具があると、電波が弱まって途切れやすくなります。
また、5GHz帯のWi-Fiが不安定な環境では、2.4GHz帯に接続し直すと安定することがあります。
- 本体とスマホの距離を近づけ、間の障害物を減らす
- 電子レンジなど2.4GHz帯の家電から離す
- Wi-Fiが不安定なら2.4GHz帯のSSIDに切り替える
CDやBluetooth以外の機能も充実している


CDやBluetoothに目が行きがちですが、M-CR612の魅力はそれだけではありません。
ひとつずつ紹介していきます。
FMラジオもクリアに聞こえる
ラジオ機能も搭載されているので、実際に聞いてみました。
もともと電波が入りにくい環境のため、付属アンテナではAM放送のノイズが多く、実用は難しい状況でした。
一方でFMは、屋根上の八木アンテナを使うことでワイドFM(FM補完放送)までクリアに受信できました。
埼玉南部から北へアンテナを向けると、茨城放送や栃木放送のワイドFMがきれいに入ります。
受信の様子は別記事でも紹介しているので、FM補完放送の受信レポートもあわせてどうぞ。
AirPlayが使える
Apple製品限定の機能になりますが、M-CR612はAirPlay 2に対応しています。
iPhoneやiPad、iTunesの音楽ファイルを、ネットワーク経由で本機から再生できる仕組みです。
購入当初はAndroidスマホで恩恵を受けられませんでしたが、今はiPhoneなので重宝しています。
Spotify Connect機能を搭載
こちらはSpotifyユーザー向けの機能です。
プレミアム会員であれば、Spotifyアプリを使ってスマホやタブレットから本機をコントロールできます。
ネットワークレシーバー機能のよさは筆舌に尽くしがたい
後述のHEOSアプリを使うと、Amazon MusicやSpotify、AWAなどの音楽配信サービスが高音質で楽しめます。
実際にAmazon Music Unlimitedで聞くと、伝送はSBCではなくAACになっていました。
この場合はスマホをBluetoothでつなぐのではなく、本体が直接ネットワークレシーバーとして再生しています。



HEOSアプリで操作してる時のスマホは、ほぼリモコン扱いって感じなんだよね。
Bluetoothで気になった「シュワッ」も、ネットワーク再生ならほとんど感じませんでした。
購入時はネットワーク機能をまったく重視していませんでしたが、今では気軽に聞く時ほどこちらを選んでいます。
注意点。Amazon Music Unlimitedはよい音で聞けますが、曲がHD音源に対応していないと意味が薄いので確認しておきましょう。
HEOSアプリは少々難ありかも
価格比較サイトでは、HEOSアプリの使い勝手を酷評する声も見かけます。
果たして本当にそうなのか、Amazon Musicで実際に使ってレビューしてみました。
HEOSアプリは、あくまでスマホをリモコン代わりにする位置づけのようです。
- リモコンで変更できる基本設定は、アプリからは操作できない
- 逆に、Amazon MusicやSpotifyの再生はアプリからのみ可能
本体やリモコンでは配信サービスを操作しづらいため、アプリ側に寄せたのは仕方ない部分もあります。
M-CR612はバイアンプに対応|2wayスピーカーに打ってつけ
M-CR612は、最近流行りのバイアンプ接続に対応しています。
テストには、安いミニコンポの付属品で20年もののブックシェルフ型2Wayスピーカーを使いました。
この2Wayスピーカーはバイアンプなしだとツイーターとウーファーを並列接続することになり、音質面で不利でした。
バイアンプの効能について、M-CR612のマニュアルは「相互干渉」とだけ簡潔に触れていますが、前モデルM-CR611のマニュアルには、より具体的な説明が記載されています。
これによりウーハーの逆起電力(出力されずに戻ってくる電力)がツィーターに流れ込んでツィーターの音質に影響を及ぼすことがないため、より高音質な再生をお楽しみいただくことができます。
ツイーターとウーファーをネットワークでつなぐ方法もありますが、定数がずれると音がイマイチで、セッティングが難しい印象でした。
その点バイアンプなら、難しいネットワークなしでそのままつなぐだけなので手軽です。
補足。ブックシェルフ型は低域が苦手なので、BASS BOOSTで簡易補正できますが、欲を言えばサブウーファーが欲しいところです。
低域に厚みを|パラレルBTL出力の威力は絶大
このセクションでは、M-CR612ならではのパラレルBTL出力について解説します。
順番に見ていきましょう。
パラレルBTLの効能
M-CR612はBTL出力を採用し、さらにそれを応用したパラレルBTL機能を備えています。
4つのパワーアンプをフル活用することで、ダンピングファクターが通常の約2倍に向上する画期的な仕組みです。
そのおかげで中低域の量感が増し、締まりも生まれるのが特徴とされています。
2Wayスピーカーのウーファーのみで比較すると、確かに低域の厚みがはっきり体感できました。
パラレルBTL出力を実際に試してみた


さらにいい音を求めて、自作のフルレンジスピーカーを用意しました。
中身は、音工房Zの8cmスピーカー「Z-Modena MK2」をバスレフのエンクロージャーキットに搭載したものです。
板の隙間を埋めようとボンドを塗りたくったので見た目は悪いのですが、低域の響きはなかなか良好でした。
これをM-CR612につなぐと、2Wayとはひと味違うテイストの音が再現されます。
パラレルBTLの効果もあり、小音量でも真空管アンプ以上の低域の厚みが感じられました。



バイアンプだと軽めだったドラムが、フルレンジだと重みが出るんだよね。もっと大音量にしたい衝動を我慢我慢。
なお、しっかりしたフルレンジの場合は、BASS BOOSTを必ずオフにしないと聞けたものではなくなります。
今回はバイアンプとパラレルBTLを紹介しましたが、スピーカーを4ch駆動させることも可能です。
ここがすごい。接続モードを選べる懐の深さで、手持ちスピーカーの持ち味を引き出せます。小さいお店のBGMにもぴったりです。
M-CR612とM-CR611の違いを比較
購入前に旧型のM-CR611と迷う方は多いはずです。
両機の主な違いを、ネットワーク機能とアンプ部を中心に整理しました。
| 項目 | M-CR612 | M-CR611 |
| ネットワーク | HEOS対応。ストリーミング・マルチルーム再生が充実 | DLNA 1.5とインターネットラジオが中心 |
| AirPlay | AirPlay 2対応。Alexa・Siriの音声操作も可能 | 初代AirPlayのみ。音声アシスタント非対応 |
| USB端子 | 背面1系統のみ | 前面+背面。前面でiPod/iPhoneとデジタル接続可 |
| Wi-Fi | 2.4GHz/5GHzのデュアルバンド | 2.4GHzのみ |
| アンプ部 | パラレルBTL駆動を新搭載 | パラレルBTL非搭載 |
| 音量調整 | 100ステップで微調整しやすい | 60ステップ |
ストリーミングや5GHz帯のWi-Fiを活用したいなら、迷わずM-CR612が有利です。
一方で、前面USBでiPhoneをデジタル接続したい人には、旧型611の構成が刺さる場面もあります。



新品で買うならほぼM-CR612一択。音質の要になるパラレルBTLが載ってるのが大きいよ。
M-CR612のメリット・デメリット
ここまでのレビューを踏まえ、M-CR612のメリットとデメリットを整理します。
- 発売から年数が経ち、価格がこなれている(6万円前後)
- 本体が小型で置き場所に困らない
- ネットワークレシーバーとしても使える
- 手持ちスピーカーに合わせてバイアンプ・パラレルBTL出力が選べる
- Amazon MusicやSpotifyなど主要な配信サービスに対応
続いて、使っていて気になったデメリットも正直にお伝えします。
ディスプレイがAmazon Music表示の状態で付属リモコンのBACKキーを押すと、表示が戻ってしまい、再度呼び出しが必要になります。
HEOSアプリで操作できる配信サービスは、Spotify・Amazon Music・AWA・TUNEIN・SOUNDCLOUDに限られます。
音量調整はリモコンだと1ずつ、スマホからだと2ずつ変化するので、もう少し細かく揃えてほしかったところです。
- リモコンのBACK操作でAmazon Music表示が戻ってしまう
- HEOS対応の配信サービスがやや限定的
- スマホからの音量変化量が2ずつと粗い
- 筐体が傷つきやすく、黒は埃が目立ちやすい
M-CR612に関するよくある質問
購入前や使い始めに気になりやすい疑問を、Q&A形式でまとめました。
M-CR612は生産終了で後継機はある?
M-CR612はロングセラー機として長く販売されてきたモデルです。在庫や後継の状況は変わりやすいため、購入時は公式サイトや販売店の最新情報を確認してください。
HEOSアプリはそんなに使いにくい?
操作に多少の慣れは必要です。ただしストリーミングやマルチルーム再生では便利で、本体リモコンと使い分ければ不満は小さくなります。
Bluetoothのコーデックは何に対応している?
標準的なSBCコーデックに対応しています。圧縮による劣化はありますが、実際に聴くと価格帯の中では十分に楽しめる音質です。
M-CR611とどちらを買うべき?
新品で選ぶならM-CR612がおすすめです。パラレルBTLやデュアルバンドWi-Fi、HEOS対応など中身が進化しているためです。
結論:M-CR612は本当に残念なのか?
「M-CR612は残念なのでは」と心配する声もありますが、発売から年数を経て安定した完成形に仕上がっています。
小型ながら、バイアンプやパラレルBTLといったリスニング機能を搭載しています。
さらにBluetoothやネットワークレシーバー、AirPlay、主要な配信サービスにも対応しています。
総評。いつ出るか分からない後継機を待つ必要はなく、今買っても十分に満足できる「買い」の一台です。
\ M-CR612でいい音を楽しもう /








