
「楽天SCHDは信託報酬が本家の3倍だからやめとけ、って本当なのかな…」
せっかく新NISAの成長投資枠で積み立てているのに、そんな評判を見ると不安になりますよね。
そんな楽天SCHDの悩みを、実際に米国株・米国ETFを運用している筆者が、運用会社の一次情報にあたって解説します。
先に結論をお伝えすると、「信託報酬3倍」は引き下げ前の古い数字です。



そして、もっと重要な事実があります。
じつは本家SCHDは、日本のどの証券会社でも買えません。楽天証券自身がそう公表しています。
ネット上には「本家SCHDを直接買えばコストは3分の1」という解説が残っています。



ただ、そのアドバイスは実行できません。実際の取引画面で確かめた結果もお見せします。
他の記事にはない一次情報と実機の確認結果を詰め込みましたので、判断材料としてお役立てください。
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【結論】楽天SCHDは「やめとけ」と言われるが、その根拠はもう古い


楽天SCHDが「やめとけ」と言われる最大の根拠は、信託報酬の高さでした。
しかし、その数字は現在の実態とズレています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
この記事の結論(3行)
結論から言うと、楽天SCHDを「3倍だから」という理由で手放すのは早計です。
- 「信託報酬3倍」は引き下げ前の数字。現在は実質0.1238%で、本家0.06%の約2.06倍
- 本家SCHDは日本での届出がなく、どの証券会社でも直接買えない(楽天証券・楽天投信が公表)
- 選べるのは同じ指数の投信3本だけ。実質コストで見れば楽天SCHDは十分に戦える水準
つまり「本家より高いから損」という比較そのものが、成立していないわけです。
買えない商品と比べて割高だと嘆いても、乗り換え先が存在しません。



えっ、本家って買えないの?じゃあ「本家を買え」って言ってる記事はなんなの…
その疑問には本家SCHDは日本のどの証券会社でも買えないのセクションで、証拠つきでお答えします。
「信託報酬3倍」が独り歩きしている理由
「3倍」という数字は、かつては正しい表現でした。
楽天投信投資顧問と楽天証券は連名のプレスリリースで、運用管理費用の引き下げを公表しています。
| 時期 | 実質的に負担する運用管理費用(税込・年率) | 本家SCHD(0.06%)との倍率 |
| 2025年5月22日まで | 0.192%程度 | 約3.2倍 |
|---|---|---|
| 2025年5月23日以降 | 0.1238%程度 | 約2.06倍 |
引き下げ前の0.192%なら、たしかに本家の約3.2倍でした。
つまり「3倍」と書かれた記事は、引き下げ前に書かれたまま更新されていない可能性が高いのです。
なお、この引き下げと同じ日に、ファンドの名称変更と愛称の決定も行われました。
楽天投信投資顧問は、2025年5月23日(金)より、(中略)運用管理費用を、年率0.192%程度(税込)から年率0.1238%程度(税込)に引き下げます。
この記事で判断できるようになること
この記事は、楽天SCHDを持ち上げる目的でも、けなす目的でもありません。
デメリットは7つとも隠さずお伝えします。二重課税も、S&P500に劣後する可能性も含めてです。
そのうえで、現実に選べる選択肢だけを並べて比較します。
この記事のスタンスは「事実を並べる」ことです。数値はすべて運用会社の公式資料から引用し、出典URLを明記しています。取引画面の確認結果もそのまま掲載します。
楽天SCHDとは?基本をサクッと確認


比較の前に、楽天SCHDがどんな商品なのかを短く整理しておきます。
正式名称と中身を押さえておくと、この後の話が一気に理解しやすくなります。
順番に確認しましょう。
楽天SCHDの正式名称と基本スペック
「楽天SCHD」は通称で、正式名称は別にあります。
正式には楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)といいます。
愛称の「楽天・SCHD」は、前述の引き下げと同日に正式決定されたものです。
| 項目 | 内容 |
| 正式名称 | 楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型) |
|---|---|
| 愛称 | 楽天・SCHD |
| 設定日 | 2024年9月18日 |
| 決算日 | 年4回:2月・5月・8月・11月の各25日(休業日の場合は翌営業日) |
| 購入時手数料 | 無料(ノーロード) |
| 実質的に負担する運用管理費用 | 年0.1238%程度(税込) |
| NISA成長投資枠 | 対象 |
| 為替ヘッジ | なし |
| 買える証券会社 | 楽天証券のみ |
出典は楽天投信投資顧問の公式ファンドページおよび楽天証券のファンド詳細です。
ここで押さえたいのは、買える場所が楽天証券だけという点です。この一社限定という性質が、後の比較で効いてきます。
SCHDってそもそも何?本家ETFとの関係
SCHDとは、米国に上場している高配当ETFのティッカーです。
運用しているのはチャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメント(CSIM)という米国の運用会社になります。
楽天投信の公式ページには、投資対象として次のように記載されています。
| 項目 | 内容 |
| ファンド名 | シュワブ・米国配当株式ETF |
|---|---|
| 運用会社 | チャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメント・インク |
| 連動指数 | ダウ・ジョーンズ US ディビデンド100 インデックス |
| 管理報酬等(年) | 0.06% |
楽天SCHDは、この本家ETFに投資する国内籍の投資信託という構造です。
つまり「楽天SCHDを買う」=「投信を通じて間接的に本家SCHDを持つ」ことを意味します。



ダウ・ジョーンズUSディビデンド100って名前は覚えておいてね。あとで出てくるよ。
この指数名は、選択肢を比べるときの共通言語になります。同じ指数に連動する商品が、日本にはあと2本あるからです。
基準価額と純資産の現状
規模の面では、すでに国内で存在感のあるファンドに育っています。
楽天投信の公式ページによると、基準価額は13,224円、純資産総額は約2,494億円です(いずれも2026年7月16日時点)。
設定が2024年9月ですから、2年足らずでこの規模に達したことになります。
純資産の大きさは安定運用の目安になります。規模が小さすぎるファンドは繰上償還(途中で運用が終わること)のリスクがありますが、その心配は当面小さいと考えられます。ただし基準価額は日々変動するため、時点にご注意ください。
楽天SCHDのデメリット7選


ここからは、楽天SCHDのデメリットを7つとも隠さずお伝えします。
良い面だけを並べても判断材料になりませんので、先に弱点から見ていきましょう。
- デメリット①:信託報酬は本家の「約2倍」
- デメリット②:日米二重課税で手取りが減る
- デメリット③:NISAでは外国税額控除が使えない
- デメリット④:つみたて投資枠では買えない
- デメリット⑤:分配金を受け取ると複利効果が落ちる
- デメリット⑥:為替リスクがある
- デメリット⑦:S&P500に長期リターンで負ける可能性
ひとつずつ見ていきましょう。
デメリット①:信託報酬は本家の「約2倍」(※3倍は引き下げ前の古い数字)
最初に、この記事でいちばん訂正しておきたい点です。
楽天SCHDの実質的に負担する運用管理費用は年0.1238%程度、本家SCHDの経費率は0.06%。
割り算すると約2.06倍であり、3倍ではありません。
2025年5月23日に、運用管理費用が年0.192%程度から年0.1238%程度へ引き下げられました(発表は同年3月27日)。引き下げ前の0.192%を0.06%で割ると約3.2倍。つまり「3倍」は引き下げ前の数字を指しています。引き下げから1年以上が経過していますが、更新されていない解説記事が残っている状況です。
とはいえ、約2倍でも本家より高いことに変わりはありません。デメリットであるのは事実です。
ここで多くの記事は「だったら本家を直接買おう」と続きます。



ところが、その道は塞がっています。理由は後ほど証拠つきで解説します。
デメリット②:日米二重課税で手取りが減る
米国株の配当には、まず米国で税金がかかります。
その後、日本国内でも課税されるため、二重に引かれる構造になっています。
楽天SCHDは米国ETFを投資対象とする投信ですから、この仕組みの影響を受けると考えられます。



せっかくの配当が、受け取る前に二段階で削られちゃうってことね。
高配当商品は分配金を出すことが前提の設計です。そのため、この課税の影響が構造的に避けにくいという弱点があります。
なお、税務の取り扱いは個々の状況によって異なります。詳細は税務署や税理士にご確認ください。
デメリット③:NISAでは外国税額控除が使えない
二重課税には、本来は救済策があります。外国税額控除という確定申告の仕組みです。
しかしNISA口座は、そもそも国内の税金がかからない仕組みになっています。
控除する国内税がない以上、外国税額控除も使えないという理屈です。
NISAの非課税メリットが、高配当商品では目減りしやすいという指摘です。米国での課税分は残るため、非課税枠を使い切った感覚ほどには手取りが増えない可能性があります。この点は高配当ファンド全般に共通する論点です。
デメリット④:つみたて投資枠では買えない
楽天SCHDが対象なのは、NISAの成長投資枠のみです。
つみたて投資枠では購入できません。
年間の投資枠のうち、つみたて投資枠を高配当で埋めたい方には制約となります。



成長投資枠は年240万円まで。ここをSCHDでどれだけ使うかは悩みどころだね。
成長投資枠には個別株やETFなど他の候補もあります。枠の配分は、ご自身の方針に合わせて検討することが推奨されます。
デメリット⑤:分配金を受け取ると複利効果が落ちる
分配金は、受け取った時点で運用から外れます。
再投資されないぶん、複利で雪だるま式に増える効果は弱まる計算です。
資産の最大化だけを目的にするなら、分配金を出さない商品のほうが理屈のうえでは有利になります。
ただし、これは分配金コースの選び方で緩和できる面もあります。
詳しくは分配金の実績・時期・コースの設定で解説します。
デメリット⑥:為替リスクがある(ヘッジなし)
楽天SCHDは為替ヘッジなしで運用されています。
投資対象は米国株ですから、円高に振れると円換算の評価額は下がる方向に働きます。
株価が横ばいでも、為替だけで損益が動く点は理解しておく必要があります。
為替は分配金にも効いてきます。ドルで受け取った配当を円に換算するため、円高局面では分配金の円建て金額が目減りする可能性があります。逆に円安なら押し上げ要因です。為替の方向は予測できないため、リスクとして受け入れる前提で考えることが推奨されます。
デメリット⑦:S&P500に長期リターンで負ける可能性
高配当戦略は、成長株を多く含む指数に対してリターンで劣後する可能性が指摘されています。
高配当銘柄は成熟企業が中心になりやすく、株価の成長余地が限られる傾向があるためです。
実際、「SCHDを買わずにS&P500を選ぶ」という主張は、ネット上でも根強く見られます。



これは好みの問題でもあるよね。増やしたいのか、もらいたいのかで答えが変わるもん。
資産の最大化を狙うのか、定期的なキャッシュフローを得たいのか。目的が違えば最適解も変わります。
なお、将来のリターンを予測することは誰にもできません。過去の傾向がそのまま続く保証もない点にはご注意ください。
7つのうち②〜⑦は、高配当ファンドという商品性から生まれる構造的なものです。楽天SCHD固有の欠陥ではありません。一方で①のコストだけは、他の商品と比べて改善できる余地があります。だからこそ「本家を買えばいい」という話になるわけですが、次のセクションでその前提が崩れます。
【最大の落とし穴】本家SCHDは日本のどの証券会社でも買えない


ここが、この記事でいちばんお伝えしたいセクションです。
「コストが嫌なら本家SCHDを直接買えばいい」というアドバイスは、そもそも実行できません。
- 楽天証券・楽天投信が公式に「直接投資は困難」と明言している
- 楽天SCHDが作られた理由そのものが「本家が買えないから」
- 【実機確認】楽天証券でティッカー「SCHD」を検索すると
- 【実機確認】moomoo証券は決済以外が取引停止
- 「本家を買えばいい」という助言は実行できない
証拠を順番に示していきます。
楽天証券・楽天投信が公式に「直接投資は困難」と明言している
これは筆者の推測ではありません。運用会社と証券会社が連名で公表している内容です。
先ほど引用したプレスリリースには、次の一文が書かれています。
現在、チャールズ・シュワブ・インベストメント・マネジメント(以下「CSIM」)が運用するETFは、日本での届出がされていないため、日本在住の個人が直接投資するのは困難
注目していただきたいのは、主語が「SCHD」ではなく「CSIMが運用するETF」である点です。
つまりシュワブのETF全般が対象で、SCHDだけの特殊事情ではありません。
そして理由は「日本での届出がされていない」こと。届出は国内の制度上の手続きですから、どの証券会社を選んでも結果は同じになります。
ここが理解の分かれ目です。「取扱銘柄数が多い証券会社を探せば買えるのでは」と考えたくなりますが、届出がされていない以上、銘柄数の問題ではありません。楽天でもSBIでもマネックスでも、答えは変わらないということです。
楽天SCHDが作られた理由そのものが「本家が買えないから」
もうひとつ、決定的な傍証があります。
楽天SCHDという商品が誕生した経緯そのものです。
楽天証券は設定時のリリースで、このファンドを次のように説明しています。
SCHDは、日本での届出がされていないため、日本からの直接の投資が難しい(中略)業界で唯一、当ETFへの投資を投資信託を通じて実現するもの
本家が普通に買えるのなら、わざわざラッパー投信を組成する意味がありません。
楽天SCHDやSBI・SCHDが存在すること自体が、本家を直接買えないことの証明になっているわけです。



言われてみれば当たり前だね。買えるなら誰も投信を作らないもん。
とはいえ、公式文書だけでは実感が湧きにくいかもしれません。実際の取引画面でも確認しました。
【実機確認】楽天証券でティッカー「SCHD」を検索すると銘柄が出てこない
筆者が実際に楽天証券にログインして確かめました。
米国株の銘柄検索でティッカー「SCHD」を入力した結果、銘柄自体が存在しませんでした。
「買付ボタンが押せない」のではなく、そもそもリストに載っていないという状態です。


投資信託の「楽天SCHD」は当然買えます。混同しやすいのですが、投信の楽天SCHDと、米国ETFの本家SCHDは別物です。
「楽天で買える」という情報を見かけたら、それが投信を指しているのか本家ETFを指しているのかを確認することをおすすめします。
【実機確認】moomoo証券は決済以外が取引停止=新規買付できない
「米国株の取扱銘柄が多い証券会社なら買えるのでは」という声もあります。
そこで、取扱銘柄数の多さで知られるmoomoo証券の取引画面も確認しました。
結果は、決済以外の取引が停止されている状態でした。つまり新規に買い付けることはできません。


届出がされていないという事情を踏まえれば、この結果は公式リリースの記載と整合します。



取扱銘柄数の多さでは解決しない問題だということが、画面からも読み取れます。
つまり「本家を買えばいい」という助言は実行できない
ここまでの確認結果を、証券会社ごとに整理します。
| 証券会社 | 本家SCHD(米国ETF)の取扱 | 代わりに買える投信 |
| 楽天証券 | ×(ティッカー自体が存在しない/実際に確認) | 楽天SCHD |
|---|---|---|
| SBI証券 | × | SBI・SCHD/Tracers |
| マネックス証券 | × | Tracers |
| moomoo証券 | ×(決済のみ・新規買付不可/実機確認) | なし |



結論として、本家SCHDを直接買う道は存在しません。
「信託報酬3倍だから本家を買え」という助言は、数字が古いうえに実行不可能という二重の問題を抱えていることになります。
では、現実に何が選べるのでしょうか。次のセクションで整理します。
楽天SCHDの分配金はいくら?実績・時期・コースの設定


高配当ファンドを選ぶ以上、いちばん気になるのは分配金でしょう。
公式の実績データをもとに、時期やコースの選び方まで整理します。
実績から見ていきましょう。
分配金の実績(全6回・設定来500円)
楽天SCHDの分配金は、設定来これまで6回支払われています。
1万口あたりの金額は次のとおりです。
| 決算日 | 分配金(1万口あたり) | 期 |
| 2025年2月25日 | 85円 | 第1期 |
|---|---|---|
| 2025年5月26日 | 70円 | 第2期 |
| 2025年8月25日 | 80円 | 第3期 |
| 2025年11月25日 | 85円 | 第4期 |
| 2026年2月25日 | 90円 | 第5期 |
| 2026年5月25日 | 90円 | 第6期 |
| 設定来累計 | 500円 | ー |
設定来の累積分配金500円は、楽天投信投資顧問の分配金一覧で公表されている数字です。
直近は90円が2期連続で、初回の85円から見れば増加傾向にあります。
ただし第2期は70円まで下がっており、常に右肩上がりというわけではありません。
1,000万円分を持っていたら分配金はいくら?
よくある質問ですので、公表データから試算してみます。
直近4回(第3期〜第6期)の分配金を合計すると、1万口あたり345円です。
基準価額13,224円と比べると、税引前で年約2.6%に相当する計算になります。
直近4回の分配金合計345円 ÷ 基準価額13,224円(2026年7月16日時点)= 年約2.6%という単純計算です。1,000万円分を保有していた場合、税引前で年26万円前後が目安となります。ただしこれは過去の実績にもとづく試算であり、将来の分配金を保証するものではありません。分配金は運用状況により変動し、支払われない場合もあります。また税金や為替の影響で手取りは変わります。
実際の手取りは、二重課税の影響を受けたあとの金額になります。
表面の利回りをそのまま受け取れるわけではない点にご注意ください。
分配金はいつもらえる?
楽天SCHDの決算は年4回です。
具体的には2月・5月・8月・11月の各25日が決算日にあたります(休業日の場合は翌営業日)。
四半期決算型という名前のとおり、3か月ごとに分配のタイミングが来る設計です。



年4回だから、季節ごとにお小遣いが入る感覚だね。
定期的なキャッシュフローを重視する方には、この頻度が魅力になります。実際に受け取るには決算日時点で保有している必要があります。
受取型と再投資型、どちらを選ぶ?
分配金には、受け取るか再投資するかのコース設定があります。
デメリット⑤で触れた複利の話は、ここで対処できます。
| コース | 向いている人 |
| 受取型 | 定期的なキャッシュフローが欲しい人。取り崩しの手間なく生活費の足しにしたい人 |
|---|---|
| 再投資型 | 資産の最大化を優先したい人。当面は使う予定がなく、複利を効かせたい人 |
注意したいのは、コースの設定を誤ると意図と違う結果になる点です。
複利を狙って買ったのに受取型になっていた、という取り違えは起こりえます。購入前にどちらを選ぶか決めておくことをおすすめします。
楽天SCHDはタコ足配当なの?
「タコ足配当ではないか」という疑問は、高配当ファンドにつきものです。
投資信託の分配金は、運用で得た収益から支払われるとは限りません。
運用状況によっては、元本の一部払い戻しに相当する場合があるとされています。これは投資信託全般に共通する仕組みです。
判断材料は基準価額と分配金の関係です。分配金が支払われると、その分だけ基準価額は下がります(分配落ち)。第6期は分配金90円が支払われ、分配落ち後の基準価額は13,048円と公表されています。基準価額が長期的に切り下がりながら分配を続けているのか、それとも回復しているのかを、ご自身で継続的に確認することが推奨されます。
分配金の性質については、楽天投信が公表している「収益分配金に関するご留意事項」もあわせてご確認ください。
じゃあどうする?現実的な選択肢は「同じ指数の投信3本」だけ


本家が買えない以上、選べるのは国内の投資信託だけです。
ここでは、その全体像を整理します。
順に見ていきましょう。
ダウ・ジョーンズUSディビデンド100に連動する国内投信は3本
本家SCHDと同じ指数に連動する国内投信は、次の3本です。
| 投信 | 買える証券会社 |
| 楽天SCHD | 楽天証券のみ |
|---|---|
| SBI・SCHD | SBI証券のみ |
| Tracers DJ USディビデンド100 | マネックス証券・SBI証券・松井証券など |
ポイントは、買える場所がそれぞれ違うという点です。
楽天SCHDは楽天証券でしか買えず、SBI・SCHDはSBI証券専用。乗り換えるなら口座の移動がセットになります。



じゃあ、この3本のうちどれがいちばん安いの?
ここが本記事のもうひとつの山場です。実質コストで並べると、表面の信託報酬とは順位が変わります。
「分配金いらない派」には資産成長型という選択肢もある
楽天SCHDには、実は姉妹ファンドがあります。
「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(資産成長型)」という商品です。
楽天投信の分配金一覧では、この資産成長型は分配金の支払い実績なしのファンドとして掲載されています。
デメリット⑤(複利効果)が気になる方への選択肢です。分配金を出さない設計なら、二重課税のタイミングも減らせる可能性があります。ただし本記事で扱っている数値はすべて「四半期決算型」のものです。資産成長型は別ファンドですので、購入前に交付目論見書で条件をご確認ください。
【比較表】楽天SCHD vs SBI・SCHD vs Tracers|実質コストで並べると順位が変わる


ここが、この記事でもっとも実用的なパートです。
3本の信託報酬を単純に比べると、判断を誤ります。
- 表面の信託報酬だけ見るとTracersが最安に見える
- 分岐点は「投資対象ETFの0.06%を還元するかどうか」
- 実質的に負担する運用管理費用で並べる
- 楽天とSBIの差は「100万円を1年持って約11円」
順を追って説明します。
表面の信託報酬だけ見るとTracersが最安に見える
まず、各ファンド自身の信託報酬を並べてみます。
| 投信 | ファンド自身の信託報酬(税込・年率) |
| SBI・SCHD | 0.0627% |
|---|---|
| Tracers | 0.10725% |
| 楽天SCHD | 0.1238% |
この表だけを見ると、楽天SCHDが3本のなかで最も高く見えます。
「Tracersのほうが安いから乗り換えよう」と考えたくなるところです。
ところが、この判断は逆になります。
分岐点は「投資対象ETFの0.06%を還元するかどうか」
3本はいずれも、本家SCHDに投資する構造です。
ということは、本家SCHDの経費率0.06%も、どこかで負担することになります。
ここで各社の扱いが分かれます。楽天投信の公式ページには、こう書かれています。
投資対象ファンドにおいて年0.06%程度の報酬が日々控除されますが、委託会社が合理的に見積った当該報酬相当額をファンドに充当します。
つまり楽天SCHDでは、ETFの0.06%を委託会社が還元してくれるということです。
一方、Tracersは運用会社の公式ページで、ETFの0.06%を実質的な負担として明記しています。SBI・SCHDも交付目論見書で0.06%を上乗せした数字を開示しています。



同じ指数なのに、コストの計算方法が3社バラバラなんだね。
だからこそ、比べるべきは表面の信託報酬ではなく「実質的に負担する運用管理費用」になります。
実質的に負担する運用管理費用で並べる
ETFの0.06%まで含めて計算し直すと、順位が入れ替わります。
| 投信 | ファンド自身の信託報酬 | ETF 0.06%の扱い | 実質的に負担する運用管理費用 | 本家(0.06%)との倍率 |
| SBI・SCHD | 0.0627% | 実質負担 | 年0.1227%程度 | 約2.05倍 |
|---|---|---|---|---|
| 楽天SCHD | 0.1238% | 委託会社が還元 | 年0.1238%程度 | 約2.06倍 |
| Tracers | 0.10725% | 実質負担 | 年0.16725%程度 | 約2.79倍 |
結果は逆転しました。表面で最安に見えたTracersが、実質では3本のなかで最も高いという結論になります。
とはいえ、3本の差は年0.04%程度です。1,000万円を1年間保有しても4,000円ほどの違いにとどまります。
この比較は運用管理費用ベースです。3本とも、これ以外に売買委託手数料などの「その他の費用」が別途かかります。金額があらかじめ確定しない性質のものですので、表には含めていません。正確な負担を知りたい場合は、各ファンドの交付目論見書と運用報告書をご確認ください。
- 楽天SCHD(0.1238%)…楽天証券・楽天投信 連名プレスリリース
- SBI・SCHD(0.1227%)…SBIアセットマネジメント 交付目論見書
- Tracers(0.10725%+ETF0.06%)…アモーヴァ・アセットマネジメント 公式
楽天とSBIの差は「100万円を1年持って約11円」
では、実質で最安のSBI・SCHDに乗り換えるべきでしょうか。
差を計算してみましょう。0.1238%と0.1227%の差は0.0011%です。
100万円を1年間保有した場合、コスト差は約11円にしかなりません。
SBI・SCHDはSBI証券でしか買えません。乗り換えるには口座開設が必要で、すでに保有している楽天SCHDを売却すれば、利益が出ている場合は課税されます(NISA口座を除く)。年11円のために売却して課税されるなら、本末転倒になりかねません。すでに楽天証券で積み立てているなら、そのまま継続するという判断も十分に合理的です。
「やめとけ」の根拠だったコスト差は、実際にはこの程度の話だったわけです。
コストを本気で下げるなら:日本で買える高配当ETFを直接買う


それでもコストを削りたい、という方はいるでしょう。
本家SCHDは買えませんが、日本で買える高配当ETFは存在します。
選択肢を見ていきましょう。
本家は買えないが、日本で買える高配当ETFはある
SCHDが買えないのは、届出がされていないという個別事情です。
米国の高配当ETF全般が買えないわけではありません。
ETFを直接持てば、投信の信託報酬は乗りません。負担するのはETFの経費率だけになります。
楽天SCHDの実質0.1238%と比べると、この差は小さくありません。
HDV(iシェアーズ・コア米国高配当ETF)/経費率0.08%
HDVは、ブラックロックのiシェアーズが運用する高配当ETFです。
iShares公式によると、経費率は0.08%(Management Fee 0.08%/Other Expenses 0.00%)。
連動指数はMorningstar Dividend Yield Focus Indexで、財務健全性を重視した銘柄選定が特徴とされています。
出典はiShares公式ページです。
SPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当ETF)/経費率0.07%
SPYDは、ステート・ストリートが運用する高配当ETFです。
SSGA公式によると、Gross Expense Ratioは0.07%。
連動指数はS&P 500 High Dividend Indexで、S&P500のなかから配当利回りの高い80銘柄を組み入れる設計です。
出典はSSGA公式ページになります。
【重要】ただし指数が違う=SCHDとは中身が別物
ここは誤解しないでいただきたい点です。
HDVもSPYDも、SCHDの代替品ではありません。
| 銘柄 | 経費率 | 連動指数 | マネックス買い放題プログラム |
| HDV | 0.08% | Morningstar Dividend Yield Focus Index | 対象(買付手数料実質無料) |
|---|---|---|---|
| SPYD | 0.07% | S&P 500 High Dividend Index | 対象(買付手数料実質無料) |
| VYM | ー | ー | 対象外(買付手数料がかかる) |
| (参考)本家SCHD | 0.06% | ダウ・ジョーンズUSディビデンド100 | そもそも日本で買えない |
連動指数が違えば、組入銘柄も値動きも配当利回りも変わります。
「経費率が安い=上位互換」ではありません。SCHDの中身が気に入って選んだのなら、指数の違いは無視できない要素です。



安さだけで選ぶと、思ってたのと違う商品を買っちゃうってことね。
コストを取るか、指数の中身を取るか。ここは好みが分かれるところです。
マネックス証券なら買付手数料が実質無料(※VYMは対象外)
米国ETFを直接買う場合、買付手数料が気になります。
マネックス証券には「米国ETF買い放題プログラム」があり、HDVとSPYDはどちらも対象です(筆者が実際に確認しました)。
対象銘柄は買付手数料が実質無料になるため、積み立てのコストを抑えられます。
ただしVYMは買い放題プログラムの対象外です。取扱自体はあるので買えますが、買付手数料がかかります。高配当ETFの代表格として名前が挙がりやすい銘柄ですので、無料で積みたい場合はHDV・SPYDと扱いが違う点にご注意ください。
加えてマネックス証券は、買付時の為替手数料が0銭、NISA口座での米国株取引手数料も無料です。
時間外取引にも対応しているため、日本時間の夜に慌てて注文する必要もありません。
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※手数料・取扱・プログラムの対象銘柄は変わる場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
それでも楽天SCHDが向いている人


ここまで読んで「結局どうすれば」と感じた方へ。
楽天SCHDが合っているタイプを整理します。
当てはまるか確認してみてください。
100円から少額で積立したい人
投資信託は少額から購入できる点が強みです。
ETFを直接買う場合、1株単位での購入になります。銘柄によっては1株で数千円から1万円以上が必要です。
毎月コツコツ積み立てたい方には、金額指定で買える投信のほうが使いやすいでしょう。
楽天SCHDは購入時手数料も無料ですので、少額の積立でも手数料負けしにくい設計です。
完全自動で「ほったらかし投資」したい人
投信の積立設定は、一度組めば自動で買い付けが続きます。
ETFを直接買う場合、自分でタイミングを見て注文を出す手間が発生します。
手間をかけたくない方にとって、この差は年0.05%程度のコスト差より大きいかもしれません。



放っておいても積み上がるって、続けるうえでは最強のメリットだよね。
投資は続けられるかどうかが結果を左右します。仕組み化のしやすさは軽視できません。
すでに楽天証券をメインで使っている人
すでに楽天証券で積み立てているなら、そのまま継続で問題ないと考えられます。
理由は先ほど計算したとおりです。実質で最安のSBI・SCHDとの差は、100万円を1年持って約11円。
この差のためにSBI証券の口座を開き、保有分を売却して課税されるのでは、かえって損をする可能性があります。
楽天SCHDは楽天証券でしか買えないファンドですので、楽天ユーザーであることがそのまま強みになります。
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※手数料・取扱は変わる場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
円建てで為替の手間を避けたい人
米国ETFを直接買う場合、円をドルに替える作業が発生します。
楽天SCHDは円建てで購入できるため、両替の手間がありません。
ただし為替ヘッジはないため、為替リスク自体は同じように負う点にご注意ください。
「為替の手間がない」と「為替リスクがない」は別物です。円建てで買えても、投資先は米国株のまま。円高になれば評価額は下がる方向に働きます。手間の話と、リスクの話を混同しないようにしましょう。
楽天SCHDのメリットも忘れずに


デメリットを7つも並べましたが、当然メリットもあります。
バランスを取るために、良い面も確認しておきましょう。
順に見ていきます。
年4回の分配金で定期収入が得られる
2月・5月・8月・11月の年4回、分配のタイミングがあります。
設定来6回の実績では、1万口あたり70円〜90円が支払われてきました。
取り崩しの判断をしなくても、自動的にキャッシュが入ってくる点は精神的な支えになります。
インデックス投資の「増えているけれど使えない」という感覚が苦手な方には、この設計が合うでしょう。
NISA成長投資枠に対応している
楽天SCHDはNISAの成長投資枠の対象商品です。
国内での課税分が非課税になるため、分配金の手取りは特定口座より増えます。
デメリット③で触れたとおり米国での課税分は残りますが、それでも非課税メリットが消えるわけではありません。



「NISAで高配当は無意味」って言われがちだけど、国内分はちゃんと非課税だもんね。
ゼロか100かではなく、どの程度メリットが目減りするかという話として捉えるのが正確です。
100円から始められる手軽さ
投資信託ですので、少額から購入できます。
購入時手数料が無料である点も、少額投資との相性が良い部分です。
まず試してみて、合わなければ止める。お試しのハードルが低いのは実用的なメリットといえます。
純資産も約2,494億円まで育っており、規模の面での不安も当面は小さいと考えられます。
「本家に投資できる数少ない手段」であること自体が価値
ここまで読んでいただいた方には、もう伝わっているはずです。
本家SCHDは、日本のどの証券会社でも直接買えません。
つまり楽天SCHDは、買えないはずのSCHDに投資できる限られた手段のひとつということになります。
約2倍のコストは、この構造の対価と考えることもできます。ラッパー投信を組成・運用するには手間もコストもかかります。本家が買えない以上、その対価を払うか、SCHDを諦めて別の指数のETFに移るかの二択です。「3倍だから損」という単純な話ではなくなります。
楽天SCHDの買い方と分配金コースの設定
楽天SCHDを始める手順を、3ステップで整理します。
特に2つ目の分配金コースは、後から悩まないよう先に決めておきましょう。
順番に進めれば難しくありません。
ステップ①:楽天証券の口座を用意する
楽天SCHDは楽天証券でしか購入できません。
他の証券会社では取り扱いがないため、まず口座が必要になります。
非課税の恩恵を受けたい場合は、NISA口座もあわせて開設しておきましょう。楽天SCHDは成長投資枠の対象です。
つみたて投資枠では買えませんので、枠の選択にご注意ください。
ステップ②:ファンドを検索して分配金コースを選ぶ
検索する際は、正式名称を使うと確実です。
「楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」または愛称の「楽天・SCHD」で探せます。
ここで受取型か再投資型かを選びます。この設定が、複利を効かせるかどうかの分かれ道です。
「分配金がほしいから楽天SCHDを選んだのに再投資型になっていた」あるいは「複利を効かせたかったのに受取型だった」という取り違えは起こりえます。ご自身の目的がキャッシュフローなのか資産の最大化なのかを先に決めてから、コースを選択することをおすすめします。なお資産成長型という別ファンドも存在しますので、混同しないようご注意ください。
ステップ③:金額を決めて積立設定(購入時手数料は無料)
あとは金額を決めて、積立設定を組むだけです。
楽天SCHDの購入時手数料は無料ですので、金額の大小で手数料負けする心配はありません。
成長投資枠をすべてSCHDで埋める必要もありません。配分はご自身の方針次第です。
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※手数料・取扱・NISAの対象区分は変わる場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
楽天SCHDに関するよくある質問(FAQ)
検索で多い疑問に、一次情報をもとにお答えします。
楽天SCHDはやめるべきですか?
「信託報酬3倍」を理由にやめる判断は、根拠が古いといえます。2025年5月23日の引き下げにより、実質は年0.1238%程度で本家の約2.06倍です。そもそも本家SCHDは日本で買えないため、比較して乗り換える先が存在しません。
SCHD ETFを日本で直接買える証券会社はどこですか?
ありません。楽天証券・楽天投信投資顧問が「CSIMが運用するETFは、日本での届出がされていないため、日本在住の個人が直接投資するのは困難」と公表しています。楽天SCHD・SBI・SCHD・Tracersの投信3本が、実質的に唯一の手段です。
楽天のSCHDに1,000万円投資したら分配金はいくらになりますか?
直近4回の分配金合計345円を基準価額13,224円で割ると、税引前で年約2.6%に相当します。1,000万円分なら年26万円前後が目安です。ただし過去の実績にもとづく試算であり、将来の分配金を保証するものではありません。
楽天SCHDの信託報酬は高いですか?
実質的に負担する運用管理費用は年0.1238%程度です。投資対象ETFの経費率0.06%は委託会社が還元するため、二重に払う構造にはなっていません。SBI・SCHDの0.1227%とはほぼ同水準です。
楽天SCHDはタコ足配当ですか?
投資信託の分配金は、運用状況により元本の一部払い戻しに相当する場合があります。これは投信全般に共通する仕組みです。基準価額の推移と分配金の関係を継続的に確認し、ご自身で判断されることをおすすめします。
楽天SCHDとSBI・SCHDはどちらが得ですか?
実質コストは楽天0.1238%、SBI 0.1227%で、差は0.0011%です。100万円を1年間保有した場合の差は約11円にとどまります。口座開設や売却時の課税を考えると、すでに使っている証券会社で選ぶのが現実的でしょう。
分配金は受取型と再投資型のどちらがいいですか?
目的によります。定期的なキャッシュフローが欲しいなら受取型、資産の最大化を優先するなら再投資型が向いています。設定を誤ると意図と違う結果になるため、購入前に決めておくことをおすすめします。
楽天SCHDはNISAのつみたて投資枠で買えますか?
つみたて投資枠では購入できません。対象は成長投資枠のみです。年間の投資枠を配分する際は、この制約を踏まえて検討してください。
「やめとけ」の根拠は古い!本家が買えないから投信の中で選ぶしかない
楽天SCHDが「やめとけ」と言われる最大の根拠は、信託報酬の高さでした。
しかしその数字は、2025年5月の引き下げ前のものです。
すでに楽天証券で積み立てているなら、そのまま継続するのが合理的だと考えられます。年11円の差のために売却して課税されては本末転倒です。
一方、指数の違いを理解したうえでコストを削りたいなら、HDV・SPYDを直接買う道があります。マネックス証券なら買付手数料が実質無料です。
どちらを選ぶにせよ、古い数字や実行できない助言に振り回されないことが大切でしょう。
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