デジタル簡易無線を買ったはいいものの、「登録ってどうやるの」「なんだか難しそう」で止まってしまっている。
そんな人、けっこう多いのではないでしょうか。
先に安心してもらうと、資格試験なんてものはなく、やることは書類を出すだけです。

電子申請なら手数料は1,500円から。
この記事では、個別登録と包括登録のどちらを選ぶかという最初の分かれ道から、費用、手順、そして「登録しないとどうなるのか」まで、順を追って解説していきます。



無線を仕事にしてきた立場から言うと、デジ簡の登録は身構えるほどのものじゃないよ。車庫証明を取るくらいの感覚かな。一緒に手順を追っていこう。
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記事を書いた人
【きのぴぃ】
- CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
- 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
- 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
- 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
- マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター
デジタル簡易無線の「登録」とは?免許とは違う
まずは言葉の整理から。デジタル簡易無線(デジ簡)で必要なのは「免許」ではなく「登録」です。
ここを最初に押さえておくと、手続きの全体像がすっと頭に入ります。
なぜ登録が必要なのか
同じ免許不要の無線でも、特定小電力トランシーバー(特小)や市民ラジオ(CB)は登録すらいりません。
ところがデジ簡は出力が最大5Wと格段に強い。
それだけ電波が遠くまで飛ぶぶん、誰がどこで使っているかを国が把握しておく必要があるわけです。



そのための仕組みが登録、というわけですな。
とはいえ資格試験のある「免許」とは違い、登録は書類を出して受理されれば完了します。



無線従事者の資格もいらないんです!
デジ簡がフリラ(ライセンスフリー無線)の中でも人気なのは、この手軽さと5Wの飛距離を両立しているからなんですね。
デジ簡がほかの無線とどう違うのかは、フリラ全体をまとめた記事で解説しています。


買っただけでは使えないの?
そのとおりで、買っただけでは電波を出せません。



登録を受ける前に電波を出してしまうと、あとで説明する電波法違反になってしまいます。



そう身構えなくて大丈夫!
個人がレジャーで使うぶんには、手続きはいたってシンプルです。
まずは「個別登録」と「包括登録」、どちらでいくかを決めましょう。
【最初に選ぶ】個別登録と包括登録、どっち?


デジ簡の登録には2種類あります。
最初にここを決めてしまうと、あとがぐっと楽になります。
| 項目 | 個別登録 | 包括登録 |
| 対象 | 無線機を1台ごと | 2台以上を一括 |
|---|---|---|
| 開設届 | 不要(登録で即運用) | 必要(運用開始15日以内) |
| 手数料(電子・新規) | 1,500円 | 1,950円 |
| 向いている人 | 1〜数台を長く使う個人 | 多数運用・台数が増える予定 |
1〜数台の個人なら個別登録
ソロキャンプや趣味で1台だけ、あるいは家族で数台。
そんな使い方なら個別登録がいちばんシンプルです。
無線機1台ごとに登録番号が付き、登録が済めばそのまま運用できます。



次に説明する開設届も、こちらは要りません。
複数台・台数が増えるなら包括登録
イベント運営やレンタル、業務で何台も使うなら包括登録が便利です。
まとめて登録でき、あとから無線機を買い足すときも登録し直す必要がありません。
ただし包括登録には「開設届」という追加の手続きがあります。



ここを忘れる人がとにかく多いので、後の章でみっちり説明します。
登録にかかる費用(電子申請が安い)


次に気になるのはお金の話でしょう。
登録には申請時の手数料と、毎年かかる電波利用料の2つがあります。
申請手数料は電子申請が1,000円以上安い
手数料は、書面で申請するか電子で申請するかで変わります。
電子申請のほうがはっきり安いので、こだわりがなければ電子申請でいきましょう。
| 申請の種別 | 書面 | 電子 |
| 個別登録(新規) | 2,730円 | 1,500円 |
|---|---|---|
| 個別登録(再登録) | 1,730円 | 700円 |
| 包括登録(新規) | 3,330円 | 1,950円 |
| 包括登録(再登録) | 2,130円 | 1,050円 |
金額は総務省の資料にもとづきます(出典:総務省 電波利用ホームページ)。
個別登録なら電子申請で1,500円。



缶ジュース数本ぶんで5Wの無線機が堂々と使えると思えば、安いものですね。
毎年の電波利用料は年額200円から
登録すると、毎年の電波利用料がかかります。
ここは古い情報が今も出回っているので、ちょっと注意してください。
長らく「年額400円」と言われてきましたが、料額表はすでに改定されています。
個別登録が該当する区分は年額200円、移動する包括登録の区分は1局あたり年額290円です(出典:総務省 電波利用料の料額)。
旧料額より安くなった格好ですね。
年間200円台なら、維持費で頭を悩ませることはないでしょう。
登録の手順(電子申請でのやり方)


ここからが実際の手順です。
電子申請を例に、流れを追っていきましょう。
用意するもの
難しいものは要りません。
手元にそろえておくのは、次のとおりです。
- 登録する無線機の技適番号(本体の銘板や説明書に記載)
- 申請者の住所・氏名などの基本情報
- 手数料の納付手段(電子納付など)
技適番号は、その無線機が日本の基準に適合している証です。
デジ簡の登録局対応機なら必ず付いているので、購入のときに確認しておきましょう。
電子申請システムのアカウントを作る
電子申請には、総務省の「電波利用 電子申請・届出システム Lite」を使います。
ここで多くの人が勘違いしているのですが、マイナンバーカードや電子証明書は必要ありません。
Lite版はID・パスワード方式。まずユーザーIDの発行を申請すると、後日パスワードが郵送で届きます。それでログインする仕組みです。マイナンバーカードを読み取る必要がないので、カードを持っていない人でも申請できます。
システムの入口は総務省の公式ページです(電波利用 電子申請・届出システム Lite)。
パスワードが郵送で届くぶん、思い立ってその日のうちに、とはいきません。



急がず少し余裕をもって始めるのがコツなんです!
申請から登録までの流れ
アカウントができたら、いよいよ申請です。全体の流れをステップにまとめました。
登録までの流れ
電子申請システムLiteでユーザーID発行を申請します。後日、パスワードが郵送で届きます。
ログインし、登録する無線機の技適番号や申請者情報を入力します。個別登録か包括登録かを、ここで選びます。
審査後に案内される手数料を電子納付します。個別登録の新規なら1,500円です。
審査を経て登録されます。目安は2〜3週間程度。登録内容はシステム上で確認でき、個別登録ならこの時点で運用できます。
なお、登録状はデジタル化されました。
以前のような紙の登録状は交付されず、登録内容は電子申請サイトで確認する形になっています(出典:総務省)。



すでに紙の登録状を持っている方は、そのまま使い続けて問題ありません。
包括登録の人は「開設届」を忘れずに
包括登録を選んだ人には、もうひとつ開設届を出す手続きがあります。
これを見落とすと手続きが完了しないので、ここはしっかり押さえてください。



包括登録は「これから複数台使いますよ」という枠を先に登録しておく仕組みです。
そのため、実際に使い始めたら運用開始日から15日以内に、どの無線機を使うのかを届け出る必要があります。
届け出るのは、技適番号・製造番号・台数などです。
- 開設届の提出期限は、運用開始日から15日以内
- 開設届そのものに手数料はかからない
- 電子申請システムで提出できる
- 無線機を追加したら、追加分の開設届を出す(登録のやり直しは不要)
個別登録を選んだ人は、この開設届は不要で登録さえ済めばそのまま運用できます。
「開設届が必要なのは包括登録だけ」と覚えておきましょう。
スマホで電子申請できる?
「パソコンを開くのが面倒だから、スマホで済ませたい」という声もよく聞きます。
ここは正直にお伝えしておきますね。
電子申請システムLiteの推奨環境はパソコン(Windows)であり、スマホは推奨環境の対象外とされています。
技術的にアクセスできる場合もありますが、申請書の入力やファイルの添付を考えると、素直にパソコンで進めるのが確実です。



スマホだけで完結、とはいかないんだね



そうなんだ。マイナンバーカードを読み取る方式ではないから、パソコンから申請するのがいちばん安心だよ。
有効期間と更新(再登録)
登録は一度すれば永久、というわけではなく、有効期間は5年です。
使い続けるには、有効期間が切れる前に再登録(更新)の申請をします。
再登録の手数料は電子申請で個別700円、包括1,050円と、新規より安くなっています。



気をつけたいのが申請のタイミングなんです。
再登録を受け付ける期間は決められていて、遅れると再登録できず、新規からやり直しになってしまう。
満了が近づいたら、早めに総務省の案内で申請できる時期を確認しておくのが安全です。
有効期間の満了日は、登録のときに控えておくといいですね。
登録しないとどうなる?バレる?


「登録せずに使ったらバレるの?」という疑問にも、事実で答えておきます。
脅すつもりはありませんが、知っておいて損はない話です。
登録を受けずにデジ簡で電波を出すと、登録なく無線局を開設した場合は1年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金という違反行為になります(電波法第110条)。
「懲役」ではなく「拘禁刑」となっているのは、刑法の改正で呼び方が一本化されたためですね。
そして「どうせバレないだろう」は通用しません。



総務省は電波監視という仕組みで不法な電波を常時監視していて、警察と共同で取り締まりもやっているんですよ。
実際、無線機を車に設置して免許や登録なく開設したとして摘発された事例も、総合通信局の報道資料で公表されています。
とはいえ、ここまで読んでもらえば分かるとおり、登録は書類を出すだけで費用も年間数百円で済みます。



わずかな手間とお金を惜しまずキチンと登録して堂々と使う
それが一番なんですな。
登録できたら|どの無線機を選ぶ?
これから買う人も、すでに買ってしまった人も、登録するのはデジタル簡易無線の登録局(351MHz帯)に対応した機種です。
アイコムやケンウッド、アルインコなどが登録局対応機を出しています。
選ぶときは、防水性能や電池持ち、携帯性あたりを比べて決めるとよいでしょう。



特小からステップアップして「もっと飛距離が欲しい」という人にこそ、デジ簡の5Wは頼りになります。
自宅や車載するような車載用トランシーバーや持ち運び便利な携帯用トランシーバーまであるのがデジ簡のメリットです。
デジ簡のおすすめ機種は下記記事で紹介しています。


特小とデジ簡の違いは、フリラ全体の記事でも触れています。





紛らわしいことに免許局という351MHz以外の周波数を使うトランシーバーもありますから、購入の際にはくれぐれも気を付けてください。
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デジタル簡易無線の登録に関するよくある質問
登録まわりでよく聞かれる疑問に、まとめてお答えします。
登録に資格や試験は必要ですか?
不要です。デジタル簡易無線の登録局は無線従事者の資格がいらず、書類を提出して受理されれば使えます。試験もありません。
登録にどれくらい時間がかかりますか?
目安は2〜3週間程度です。電子申請ではユーザーIDのパスワードが郵送で届くため、その分の日数も見込んでおきましょう。混雑する時期は前後することがあります。
中古で買ったデジ簡も登録できますか?
技適マークの付いた登録局対応機であれば登録できます。中古の場合は、技適マークがあるか、前の所有者の登録が残っていないかを確認しておくと安心です。
レンタルのデジ簡も自分で登録が必要ですか?
不要です。レンタルの場合はレンタル業者が登録済みの無線機を貸し出すため、借りる側が登録手続きをする必要はありません。イベントなどで一時的に使うなら、レンタルも手軽な選択肢です。
登録した無線機を手放すときはどうしますか?
使わなくなった場合は、廃止の届け出をします。人に譲るときは、譲り受けた側が改めて登録する形になります。登録内容に変更があったときも、変更の手続きが必要です。
まとめ|デジ簡の登録は書類だけ
デジタル簡易無線の登録の流れを見てきました。
要点をまとめておきます。
- デジ簡に必要なのは「免許」ではなく「登録」。資格試験はない
- 1〜数台なら個別登録、複数台や台数変動があるなら包括登録
- 手数料は電子申請なら個別1,500円。電波利用料は年額200円の区分
- 電子申請システムLiteはID・パスワード方式。マイナンバーカードは不要
- 包括登録は運用開始15日以内に開設届を忘れずに
- 有効期間は5年。無登録運用は拘禁刑または罰金の対象
身構えるほどの手続きではありません。
書類を出して、年に数百円の維持費を払うだけで、5Wの飛距離が堂々と手に入ります。
きちんと登録を済ませて、デジ簡の世界を楽しんでください。



登録さえ済ませてしまえば、あとは電波の広がりを楽しむだけ。特小では届かなかった距離がつながると、けっこう感動するよ。







