「免許がいらない無線がある」なんて聞くと、なんだか怪しい響きに感じてしまいませんか。
ライセンスフリー無線、通称「フリラ」。免許も資格もいらずに、合法で楽しめる無線遊びのことであり、怪しいどころか、電波法がきちんと認めた、れっきとした趣味なんですね。
ただ、調べ始めるとすぐ壁にぶつかります。
しかも「これは違法」「あれはセーフ」という話が飛び交っていて、余計に不安になる。

CB、特小、デジ簡、デジコミ。似たような名前が4つも出てきて、どれが何なのかさっぱり分からないわ。
そこでこの記事では、フリラの4バンドを1つの表にまとめました。
そのうえで「なぜ免許がいらないのか」「なぜ技適のない無線機はダメなのか」を、法律の条文まで示して解説します。
ふわっとした説明で終わらせません。



電波の仕事をしている身として言うと、フリラは「法律を知っているほど安心して遊べる」趣味なんだ。逆に知らないまま始めると、悪気なく法律に触れてしまうことがある。


記事を書いた人
【きのぴぃ】
- CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
- 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
- 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
- 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
- マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター
ライセンスフリー無線(フリラ)とは?
ライセンスフリー無線とは、免許も資格もなしに使える無線の総称です。
「フリラ」「ライセンスフリーラジオ」と呼ばれることもありますが、指しているものは同じと考えて差し支えありません。
「ライセンスフリー」は「無法」という意味ではない
最初にここを押さえてください。フリラで自由になるのは、あくまで免許を取る手続きだけです。
使ってよい周波数、出せる電力、機械の構造。
これらはすべて電波法と、その下にある省令・告示で細かく決められています。



免許の申請が省略できるだけで、ルールが消えるわけではないんですね。
むしろ逆と考えたほうが近いでしょう。
「ここまで厳しく仕様を固定するから、いちいち免許を出さなくていいことにする」という制度設計になっています。
だから機械を勝手にいじった瞬間、免許不要という前提そのものが崩れます。
免許が要らないのは「電波法が認めた機械」を使うから
根拠は電波法第4条です。本文は「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない」と定めています。
原則は免許が必要、ということですね。
ところが同じ条文に「ただし書き」があり、そこに例外が並んでいます。



フリラはこの例外に当てはまる無線局です。
そして例外の条件には、共通して「適合表示無線設備のみを使用するもの」という一文が入っています。
適合表示無線設備とは、平たく言えば技適マークが付いた無線機のことであり、技適こそが、免許不要の土台そのものなんです。
ここを外すと全部が崩れるので、後半でじっくり扱います。



技適マークって、スマホの設定画面で見たことあるやつ…?



そう、それ。無線機の場合は本体の銘板に貼ってあることが多いよ。あのマークが免許の代わりをしてくれていると思えばいい。
アマチュア無線とは何が違うのか
フリラと必ずセットで語られるのがアマチュア無線です。どちらも趣味の無線ですが、性格はかなり違います。
| 項目 | ライセンスフリー無線 | アマチュア無線 |
| 資格 | 不要 | 必要(無線従事者資格) |
|---|---|---|
| 免許 | 不要(デジ簡のみ登録が必要) | 必要(局免許) |
| 使える機械 | 技適機のみ | 自作・改造も可能(免許申請で対応) |
| 始めるまで | 買ってすぐ | 試験に合格してから |
| 自由度 | 機械の自由度は低い | 機械の自由度が高い |
ざっくり言えば、アマチュア無線は「資格を取る代わりに機械の自由を得る」趣味。
対してフリラは、「機械の自由を捨てる代わりに資格を免除してもらう」趣味です。



どちらが上ということはなく、遊び方の方向が違うだけですね。
なお、アマチュア無線機は技適マークがなくても、系統図などを添えて免許申請する道が残されています(出典:総務省 技適マークのQ&A)。
この違いが、後半の話につながってきます。
【早見表】フリラ4バンドの違いを1つの表で比較


フリラには4つのバンド(電波の種類)があります。
呼び名がバラバラで混乱しやすいので、まとめて並べてしまいましょう。
4バンド早見表
| 項目 | 市民ラジオ(CB) | 特定小電力(特小) | デジタル簡易無線 登録局(デジ簡/DCR) | デジタル小電力コミュニティ無線(デジコミ/LCR) |
| 周波数 | 26.968〜27.144MHz | 422/440MHz帯 | 351.03125〜351.63125MHz | 142/146MHz帯 |
|---|---|---|---|---|
| 出力 | 0.5W以下 | 原則10mW | 最大5W(上空利用は最大1W) | 法令上限1W/製品は500mW |
| チャンネル数 | 8ch(法規上で定められている8波) | 法令に規定なし(機種による) | 地上82ch/上空15ch | 18ch |
| 免許 | 不要 | 不要 | 登録が必要 | 不要 |
| 資格 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
| 技適 | 必須 | 必須 | 必須 | 必須 |
| 主な根拠 | 電波法4条2号/無線設備規則54条の2 | 電波法4条3号/告示42号 | 電波法4条4号・27条の21 | 電波法4条3号/告示42号 |
数値の出典は、電波法・電波法施行規則・無線設備規則・平成元年郵政省告示第42号、および総務省のデジタル簡易無線局の増波に関する資料です。
ひとことで言うとこうなる
表だけだと味気ないので、性格を一言ずつ添えておきます。
- CB(市民ラジオ)=歴史とロマン。飛距離は電離層まかせで、そこが面白い
- 特小=いちばん手軽。買ってすぐ使えるが、飛距離は控えめ
- デジ簡(DCR)=いちばん飛ぶ。ただし登録の手続きが要る
- デジコミ(LCR)=新顔。仲間の位置が地図で分かる
それぞれ順番に見ていきましょう。
市民ラジオ(CB)|歴史とロマンのバンド


4バンドの中でいちばん古く、そして愛好家の熱量がいちばん高いのが市民ラジオ。CB無線とも呼ばれます。
CBのスペックと立ち位置
周波数は27MHz帯で、電波法施行規則第6条第3項に8つの周波数が具体的に列挙されています。
つまり8ch固定。出力は0.5W以下です。
0.5Wというと、特小の10mWの50倍。ところが数字ほど単純ではありません。



27MHzという低い周波数は、条件がそろうと電離層で反射して数百km先まで届いてしまうことがあるからです。
普段は数百mしか飛ばないのに、ある日突然遠くの局と繋がる。
この予測できなさが、CBが今も愛される理由でしょうね。
安定を求める人には向きませんが、そこがロマンなわけです。


※CBであれば、運が良ければ台湾の人たちとも交信できるチャンスもあります。



サイエンテックスというメーカーから最近までCBを発売していました。現時点では新製品がないので、中古で入手するしか方法はありません。
中古のトランシーバーを改造した上で技術基準適合証明を取得し直している有志もいらっしゃるようです。
なぜCBはアンテナを交換できないのか
「CBは外部アンテナを付けたら違法」とよく言われます。
ただ、理由まで説明している記事は多くありません。
「CBは外部アンテナを付けたら違法」という根拠は、無線設備規則第54条の2なのです。
- 一の筐体に収められており、容易に開けられないこと(例外は電源設備・送話器・受話器のみ)
- 送信空中線はホイップ型で、長さが2メートルを超えないこと
- 給電線及び接地装置を有しないこと
注目したいのは3つ目です。給電線を持ってはいけないと書いてあります。
同軸ケーブルを引いて外部アンテナに繋いだ時点で、それは法令上の「市民ラジオの無線設備」ではなくなるわけですね。



しかも改造すれば技適の効力は失われます。
総務省も「改造すると技術基準適合証明の効力が無くなり、技適マークを除去しなければなりません」と明言しています。
条文の連鎖で理解する。アンテナ改造 → 技適の効力が消える → 電波法4条2号の「適合表示無線設備のみを使用するもの」から外れる → 免許不要の土台が消えて、無免許開設になる。だから「アンテナだけの話」では済まないんです。
ちなみに「CBのアンテナは1.5mまで」と書かれているのを見かけますが、条文上は2メートル以下です。



以前はナショナルRJ-580(D)というアンテナが1.99mの長さになるトランシーバーも存在していましたよ!
基準不適合として公表された市民ラジオもある


海外製のCB機にも注意が必要です。
総務省が公表している「技術基準に適合しない無線設備」の一覧には、市民ラジオとしてPRO401HH(UNIDEN AMERICA CORPORATION)が掲載されています。
海外では合法なCB機でも、日本の技術基準に合っているとは限りません。



国が違えばルールも違う、というだけの話ですね。
CBの文化そのものに興味が湧いた方は、昭和の頃のCBクラブの資料をまとめた記事もあります。
当時の熱気が伝わる内容なので、あわせてどうぞ。


特定小電力トランシーバー(特小)|いちばん手軽
フリラの入口として、いちばん敷居が低いのが特小ですね。
家電量販店にも普通に並んでいるので、目にしたことがある方も多いでしょう。
買ってすぐ使えるのが最大の強み
特小は電波法第4条第3号にもとづく免許不要局です。
周波数は422MHz帯と440MHz帯、出力は10mW(0.01W)と、平成元年郵政省告示第42号に定められています。



なお、よく見る「20ch」「27ch」といったチャンネル数は、法令には規定がありません。
告示は周波数の算定式で書かれているだけで、chというのは各社の言い方なんですね。
買うときはメーカーの仕様表で確認してください。
飛距離は正直に言うと控えめ
10mWという出力は、目安として豆電球の100分の1にも満たない電力です。当然ながら、遠くまでは飛びません。
メーカーのカタログには「見通しで最大◯km」と書かれていますが、あれは遮るものが何もない理想条件での数字です。
街なかで建物が挟まれば、一気に届かなくなりますので、ここを期待しすぎると「思ったより飛ばない」とがっかりすることになります。



カタログの数字って、そのまま信じちゃダメなんだ…



嘘ではないんだよ。「見通し」という条件付きなだけ。山の上から山の上へなら本当に届くからね。
中継器(レピーター)という手もある
特小には中継器を使う方法も用意されています。
告示第42号を見ると、421.578125MHzから421.803125MHzまでの帯域に複信方式・半複信方式という区分が置かれていて、これが中継運用を前提とした割り当てです。
高い場所に中継器を置けば、直接は届かない相手ともつながります。
出力を上げずに距離を稼ぐ、という発想ですね。
ただ、それでも物理的な限界はあります。



本気で通信距離が欲しくなったら、次に紹介するデジ簡が視野に入ってきます。
特定小電力トランシーバーを別記事で解説していますので、併せてご覧ください。


デジタル簡易無線 登録局(デジ簡/DCR)|いちばん飛ぶ
フリラのなかで最も遠くまで届くのが、デジタル簡易無線の登録局(351MHz帯)です。
DCRと呼ばれることも多いバンドですね。
5Wという段違いの出力
デジ簡の登録局は最大5W。特小の10mWと比べると、実に500倍です。周波数は351MHz帯を使います。
もうひとつの特徴が、上空でも使えること。
ドローンなどでの利用を想定した区分があり、上空利用は最大1Wに抑えられています。北海道総合通信局の資料では、上空から5Wを出すと周波数を共用する他局への影響が大きいため、と説明されていました。
レジャーで使えて、レンタルもでき、知らない相手と交信してもよい。
この自由度は登録局ならではです。免許局のほうはこれらが認められていません。
チャンネルは30chではなく82ch
ここは要注意です。
ネット上の記事には「デジ簡は30ch」と書かれたものが今も残っていますが、その数字は増波される前のものです。
令和5年6月1日の改正で周波数が拡大され、登録局のチャンネルは地上30ch → 82ch、上空5ch → 15chに増えました(出典:総務省、九州総合通信局)。
なお、82chは地上専用の数です。上空利用の15chは、種別コード「3S」の機種が対象になります。
3R=地上、3S=上空も可、と覚えておくと混乱しません。


「登録」の手続きと費用
デジ簡だけは、買ってすぐ電波を出せず、登録が必要です(だから登録局)。
とはいえ資格試験があるわけではなく、書類を出すだけ。難しく考える必要はありません。
登録には2種類あります。
無線機を1台ずつ登録する個別登録と、2台以上をまとめて登録する包括登録です。手数料は次のとおり。
| 申請の種別 | 書面申請 | 電子申請 |
| 個別登録(新規) | 2,730円 | 1,500円 |
|---|---|---|
| 個別登録(再登録) | 1,730円 | 700円 |
| 包括登録(新規) | 3,330円 | 1,950円 |
| 包括登録(再登録) | 2,130円 | 1,050円 |
出典は総務省の登録局に関する資料です。
見てのとおり、電子申請のほうが1,000円以上安い。
窓口は総務省電波利用電子申請になります。
包括登録は2段階なので注意。登録申請をしただけでは手続きが終わりません。使い始めた日から15日以内に「開設届」を出す必要があります(手数料は不要)。無線機を買い足したときも、開設届の再提出が要ります。



もうひとつ新しい話を。登録状はデジタル化され、紙の登録状は交付されなくなりました。
登録内容は電子申請サイトで確認する形に変わっています(出典:総務省)。
すでに紙を持っている方は、そのまま使い続けて問題ありません。
電波利用料は年額400円ではない
デジ簡には毎年の電波利用料がかかります。
ここも情報が古いまま出回っている箇所です。
長らく「年額400円」と言われてきましたが、料額表は改定されています。
最新の電波利用料の料額表(総務省・PDF)によると、該当する区分はこうなっています。
- 移動する無線局(470MHz以下・その他のもの)の区分=年額200円
- 移動する包括登録に係る無線局の区分=1局あたり年額290円
いずれも旧料額は400円でしたので、安くなった形ですね。
正確な金額は総務省の電波利用料のページで確認してください。
年間数百円で5Wが使えると考えれば、維持費で悩む水準ではないでしょう。



デジ簡を別記事で解説していますので、併せてご覧ください。


デジタル小電力コミュニティ無線(デジコミ/LCR)|位置が分かる新顔
4バンドのなかで最も新しいのが、デジタル小電力コミュニティ無線です。
デジコミ、LCRと呼ばれます。
仲間の位置が地図で分かる
デジコミの目玉は位置情報です。
GPSを積んだ機種なら、交信相手の方向と距離が画面に表示されます。
アイコムのIC-DRC1MKIIでは、パソコン用ソフトで地図上に表示することもできます。



周波数は142MHz帯と146MHz帯で、18ch。なんと!免許も資格も要りません。
登山やアウトドアで、仲間がどこにいるか分かるのは心強いでしょうね。
ちなみに位置情報の機能は、法令で義務づけられているものではありません。
無線設備規則が求めているのは筐体の条件やキャリアセンスなどで、GPSの規定はないんですね。
あくまで製品としての売りという位置づけです。
DCRとLCRの呼び方を整理する
ここで用語をはっきりさせておきます。この2つ、混同されがちなんです。
| 略称 | 正式には | 由来 | 別の呼び方 |
| DCR | デジタル簡易無線(登録局) | Digital Convenience Radio | デジ簡 |
|---|---|---|---|
| LCR | デジタル小電力コミュニティ無線 | digital Lowpower Community Radio | デジコミ、デジ小 |
「コミュニティ」と付くほうがLCR、と覚えるのが早いでしょう。
DCRのCはCommunityではなくConvenience(簡易)です。
名前が似ているせいで、DCRをコミュニティ無線のことだと思ってしまう例を見かけますが、それは別のバンドを指してしまっています。
出力と制度化の時期に注意
デジコミの出力を「0.5W」と紹介している記事がありますが、これは製品の仕様の話です。
法令の上限は1W(等価等方輻射電力の基準)となっています。
実際の製品が500mWなのであって、法令で0.5Wと決めているわけではありません。



制度化の時期も要注意です。
「2018年に制度化」とよく書かれていますが、告示の沿革をたどると、現在の枠組みが整ったのは平成28年の省令・告示の改正でした。
2018年は最初の対応機が発売された年です。
制度が先、製品が後。



順番を取り違えると、話が2年ずれてしまいますね。
フリラのメリット・デメリット
4バンドを見てきたところで、フリラ全体の長所と短所を整理しておきましょう。
メリット:すぐ始められて、維持費がほぼかからない
- 資格試験が不要。買ったその日から使える(デジ簡は登録のみ必要)
- 維持費が安い。デジ簡でも電波利用料は年額200円か290円の区分
- 通話料がかからない。携帯電話の圏外でも使える
- 技適機を普通に使う限り、法律の心配がほとんどない
圏外で使えるという点は、意外と侮れません。
山の中や地下では、スマホより無線のほうが頼りになる場面があります。
デメリット:機械をいじれない、飛距離に限界がある
- アンテナ交換や改造ができない。技適の効力が消えるため
- 出力が法令で固定される。特小は原則10mW、CBは0.5W以下
- 海外製の安い無線機に手を出すと、電波法違反になる恐れがある
- 相手がいないと成立しない。交信相手が近くにいるかは運次第
正直に言えば、最後のデメリットが一番大きいかもしれません。
無線は一人では遊べない趣味ですからね。
イベントに参加したり、仲間と一緒に始めたりするほうが楽しめます。
技適マークのない無線機は、なぜダメなのか
ここからが、この記事で最も伝えたい部分です。ネット通販を見ると、驚くほど安い海外製トランシーバーが並んでいます。あれに手を出していいのか。
判断基準はメーカー名ではなく技適マーク
まず大前提から。電波法は「どこのメーカーか」で合法・違法を決めていません。
判断の基準はその個体に技適マークが付いているか、この一点です。



総務省も「一部の無線機を除いて、技適マークが付いていない無線機を使用すると、電波法違反になる恐れがあります」と案内しています。
国産か海外製かではなく、マークの有無なんですね。
手元の無線機が本物かどうかは、技術基準適合証明等を受けた機器の検索で調べられます。
- 技適番号シールには「R」という記号とともに番号がある。
- 「T」で始まるのは電気通信事業法のものなので別物。
- 設計工事認証と呼ばれる方法で証明を受けた認証番号は、上記と異なる番号形態。
総務省が「基準不適合設備」として公表している機種
とはいえ「じゃあ具体的にどれがダメなの」と思いますよね。
実は総務省が、実際に測定したうえで基準不適合設備として機種名を公表しています。
| 整理番号 | 機器の名称 | 製造業者 | 購入時期 |
| 5 | トランシーバ UV-5R | Fujian Baofeng Electronics Co., Ltd. | 令和3年5月 |
|---|---|---|---|
| 8 | トランシーバ UV-S9 PLUS | Fujian Baofeng Electronics Co., Ltd. | 令和3年10月 |
| 10 | 市民ラジオ PRO401HH | UNIDEN AMERICA CORPORATION | 令和3年11月 |
出典は総務省「技術基準に適合しない無線設備(基準不適合設備)」です。
測定結果のPDFまで公開されていて、UV-5Rの測定結果も誰でも読めます。
大事なのは、これが私の意見ではなく国の公表したものだということ。
ブログが「あれは違法だ」と騒ぐ話ではなく、総務省が測って公表している事実です。
掲載された型式について、総務省は日本国内では使用しないよう呼びかけています。



逆に言えば、メーカー全体を十把ひとからげに「違法」と決めつけるのも正確ではありません。
あくまで公表されているのは型式であり、判断基準は技適マークの有無になってきます。
「持ってるだけならOK」は半分危険
よく「持っているだけなら合法」と言われますが、半分正しく、半分危ういところです。
電波法第110条が罰しているのは「無線局を開設した者」と「無線局を運用した者」です。「所持」を直接罰する条文にはなっていません。
問題は「開設」の意味です。総務省はこう説明しています。基準不適合設備を免許なしに「電波が容易に発射できる状態にし」、無線局を開設した場合は電波法4条違反にあたる、と。
つまり、交信していなくても危ない。バッテリーとアンテナを付けて、送信できる状態にした時点で「開設」に当たり得ます。箱に入れて棚に飾ってあるのと、電源が入る状態で車に載せてあるのとでは、法的にはっきり線があると考えてください。
これは机上の話ではありません。
東海総合通信局の報道資料を見ると、摘発の容疑は「自己の運転する車両にアマチュア無線用の無線機を設置し、免許を受けずに無線局を開設した」となっています(令和8年1月の事例、令和7年12月の事例)。
いずれも警察署との共同取締りで、交信の現認は要件になっていません。
設置していたこと自体が問われているわけですね。
罰則は「懲役」ではなくなった
罰則の話をしておきます。ここも情報が古いまま出回っています。
免許も登録もなく無線局を開設・運用した場合、電波法110条により1年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金です。
お気づきでしょうか。「懲役」ではなく「拘禁刑」です。
刑法の改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、総務省の各ページもすでに表記が更新されています。



「1年以下の懲役」と書いてある解説は、現行の条文と一致していません。
さらに重い罰則もあります。
重要無線通信を妨害した場合は電波法108条の2により、5年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金。しかも未遂も罰せられます。
消防や航空の無線を邪魔してしまえば、遊びでは済まないということですね。
「実験なら技適なしでいい」は誤解
最後にもうひとつ、よくある誤解を潰しておきます。
「技適がなくても、実験目的で届出すれば使える制度があるはず」という話です。
制度自体は実在します。
技適未取得機器の実験等特例制度といって、届出をすれば180日間使えます。ただし対象になる規格が決まっています。対象はWi-Fi、Bluetooth、sXGP、LPWA、UWBといった国際的に標準化された規格です(出典:総務省)。


残念ながらハンディトランシーバーは対象外なんですね。
「届出すれば海外製トランシーバーが合法になる」という制度ではありません。



抜け道があるって話、けっこう見かけるけどダメなんだね
フリラが向いている人・向いていない人
ここまで読んで、自分に合うかどうか気になってきた方もいるでしょう。正直なところを書いておきます。
向いている人
- 資格を取る前に、まず無線がどんなものか触ってみたい人
- 登山・アウトドアなど、圏外になる場所で連絡手段が欲しい人
- 届くか届かないか分からない、という不確実さを楽しめる人
- ルールを調べるのが苦にならない人
最後の項目、意外と大事です。フリラは法令の上に成り立つ遊びなので、調べること自体を面白がれる人はまず楽しめます。
向いていない人
- アンテナを替えたり、機械を改造して遊びたい人(アマチュア無線のほうが合う)
- 確実に遠くと連絡を取りたい人(業務用途なら別の手段を検討したい)
- 安い海外製の無線機で済ませたい人(そこは妥協できないところ)
機械をいじりたい欲が強い方は、遠回りに見えてもアマチュア無線の資格を取るほうが幸せになれます。フリラは「機械の自由を諦める」代わりに成立している制度ですから。
結局どれから始めればいい?


4バンドを並べたところで、最後に選び方をまとめます。
タイプ別の選び方
| こんな人 | 選ぶバンド | 理由 |
| とにかく手軽に試したい | 特小 | 免許も登録も不要。買ってすぐ使える |
|---|---|---|
| 距離が欲しい | デジ簡(DCR) | 最大5W。登録の手間と引き換えに飛ぶ |
| 歴史やロマンに惹かれる | CB(市民ラジオ) | 電離層で遠くとつながる可能性がある |
| 仲間の位置を知りたい | デジコミ(LCR) | GPS対応機なら方向と距離が分かる |
| 機械をいじりたい | アマチュア無線 | フリラでは改造ができないため |
迷ったら特小から、で構いません。数千円から始められて、合わなければ損失も小さく済みます。
まず試すなら特小から
特小なら、届いたその日に電源を入れて使えます。手続きは何もありません。
フリラの空気を知るには十分でしょう。
選ぶときは技適マークの記載があるかを必ず確認してください。


国内メーカーの製品を家電量販店やネットの正規ルートで買う限り、まず心配はいりません。
\ 免許も登録もなしで、今日から始められる /
ライセンスフリー無線のよくある質問
検索でよく見かける疑問に、まとめてお答えします。
フリーライセンス無線とは何ですか?
「ライセンスフリー無線」の言い方が入れ替わったものと考えて差し支えありません。指しているのは同じで、免許や資格なしに使える無線のことです。「フリラ」「ライセンスフリーラジオ」も同じものを指します。
「ライセンスフリー」とはどういう意味ですか?
「免許(ライセンス)が不要」という意味です。ただし自由になるのは免許の手続きだけで、使える周波数・出力・機械の構造は電波法と省令・告示で細かく決められています。ルールがない、という意味ではありません。
CB無線を使うのに免許は必要ですか?
免許も資格も不要です。電波法第4条第2号が、27MHz帯・0.5W以下で技適マークの付いた機械だけを使う無線局を、免許不要と定めているためです。
ただし条件付きであることを忘れないでください。技適機をそのまま使うことが前提で、アンテナ交換や改造をすると免許不要の前提が崩れます。
Baofengのトランシーバーは違法ですか?
正確に言うと「Baofengだから違法」ではありません。電波法の基準は、技適マークのない無線機を免許なしに開設・運用すると違反になる、というものです。判断はメーカー名ではなく技適マークの有無で決まります。
そのうえで事実として、総務省は同社製のUV-5RとUV-S9 PLUSを実測のうえ「基準不適合設備」として型式名で公表しています。これらの型式は、日本国内で適法に使える状態にありません。海外通販で買える多くのモデルには技適マークがなく、その場合は日本で電波を出せないと考えてください。
免許不要なら海外製の安い無線機を買ってもいいですか?
技適マークがない機械であれば、日本国内で電波を出すことはできません。免許不要という制度そのものが「技適機だけを使うこと」を条件にしているためです。
電波のルールは国ごとに違います。海外で合法な無線機が、日本の技術基準に合っているとは限りません。買う前に技適検索で確認するのが確実です。
デジ簡の登録は難しいですか?
試験はありません。書類を出すだけです。電子申請なら個別登録の新規で1,500円、包括登録の新規で1,950円という手数料になっています。
注意したいのは包括登録のほうです。登録申請だけでは完了せず、使い始めた日から15日以内に開設届を出す必要があります。
DCRとLCRはどう違いますか?
DCRはデジタル簡易無線(登録局)を指します。Digital Convenience Radioの略で、351MHz帯・最大5W・登録が必要です。
LCRはデジタル小電力コミュニティ無線のこと。142MHz帯と146MHz帯を使い、免許も登録も不要です。「コミュニティ」と付くほうがLCRと覚えると混乱しません。
まとめ|フリラは知るほど安心して遊べる
ライセンスフリー無線について、4バンドの違いと法律の位置づけを見てきました。
要点を振り返っておきましょう。
- フリラは4バンド。CB・特小・デジ簡(DCR)・デジコミ(LCR)
- 免許が不要なのは「技適機だけを使う」という条件があるから
- 登録が要るのはデジ簡だけ。電子申請なら1,500円から
- デジ簡は30chではなく地上82ch。電波利用料も400円から改定済み
- 罰則は「懲役」ではなく拘禁刑。1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 判断基準はメーカー名ではなく技適マークの有無
- 迷ったら特小から。数千円で始められる
フリラは「免許がいらない」という入口の軽さばかりが語られがちです。
でも実際に触れてみると、その軽さがきっちりした法律の設計に支えられていることが分かってきます。
知っているほど安心して遊べる。無線の仕事をしてきた立場から言えるのは、結局そこに尽きますね。



電波は目に見えないけれど、みんなで分け合って使っているものだからね。ルールを知っている人が増えるほど、この趣味は続いていくと思うんだ。
まずは1台、手に取ってみてください。










