「デジタル簡易無線(デジ簡)を買いたいけれど、機種が多すぎてどれを選べばいいのか分からない」——そんな声をよく聞きます。
しかも通販のランキングは、すでに生産を終えた旧機種が平気で混ざっていることも多いんですね。

この記事では、第一級陸上無線技術士の私(きのぴぃ)が、メーカー公式で現行品と確認できた機種だけに絞って、ハンディ4機種+車載2機種を比較します。
出力・増波後のチャンネル数・防水・Bluetoothといった「実際のスペック」で選べるように整理し、さらに車載機に必須のアンテナ選び(法令の注意つき)まで解説します。
あなたの使い方に合う1台が見つかるはずです。



まず大前提の話。デジ簡は買ってすぐには使えず、「登録」という手続きが必要なんだ。難しくはないけど、そこだけ先に押さえておこうね。
デジ簡の位置づけや、特小・CB・デジコミとの違いをまず知りたい方は、フリラ全体をまとめたハブ記事もどうぞ。
▶ ライセンスフリー無線(フリラ)とは?免許も資格もいらない4バンドを比較


デジ簡(デジタル簡易無線)とは?免許不要で5Wが出せる登録局
デジタル簡易無線(登録局)は、資格試験がいらず、簡単な「登録」だけで最大5Wの出力が使える無線です。特小(特定小電力)の出力が原則10mWなのに対し、デジ簡は5W。単純な出力比では500倍で、見通しの良い場所なら数km、条件が良ければ10km近く届くこともあります。
「免許不要」と紹介されることもありますが、正確には免許はいらないが「登録」は必要です。ここは特小(登録も不要)との大きな違いなので、購入前に知っておいてください。手続き自体は書類を出すだけで、費用も年間数百円です。
登録の具体的な費用・電子申請の手順は、専用記事で詳しく解説しています。買う機種を決めたら、あわせて読んでおくとスムーズです。
▶ デジタル簡易無線の登録のやり方|費用・電子申請・開設届を無線技術士が解説


失敗しないデジ簡の選び方(7つの軸)


機種ごとの紹介に入る前に、比べるときの「軸」を押さえておきましょう。ここが分かると、スペック表がぐっと読みやすくなります。
① 出力(5W / 1W)と飛距離
デジ簡の魅力は5Wのハイパワーです。距離を求めるなら5W機を選びます。多くの機種は5W/1W(機種により2Wも)を切り替えられるので、近距離では出力を落として電池を節約する、といった使い方もできます。
② 増波後の「97ch」に対応しているか
デジ簡は制度改正で使えるチャンネルが増えました(増波)。現行機は地上での通信用82ch+上空利用の15ch(受信のみ)=カタログ表記で「97ch」に対応しています。増波前の機種は30ch+上空5chで、これが「旧機種か現行機か」を見分ける目安にもなります。混信を避けやすいので、これから買うなら増波対応機を選びましょう。
③ 防水・防塵(IP等級)
屋外・アウトドア・現場で使うなら防水防塵は重要です。「IP68」なら粉塵の侵入を完全に防ぎ、水没にも耐える最高クラス。数字の見方(前が防塵、後が防水)を覚えておくと比較が楽です。
④ Bluetooth・秘話機能
Bluetooth対応機なら、ワイヤレスのイヤホンマイクが使えて取り回しが快適です。秘話機能は、会話を分かりにくく変換して傍受されにくくするもの。ただし電波を強力に暗号化するわけではないので、過信は禁物です。
⑤ サイズ・重量・電池もち
長時間持ち歩くなら軽さと電池もちが効いてきます。薄型のカードサイズ機から、大容量バッテリーで一日運用できる機種まで幅があります。使う時間の長さで選びましょう。
⑥ 上空チャンネルが必要か
上空利用の15chは、山岳やドローン運用など見通しの利く用途で受信に使えます(送信は地上82ch)。平地の一般用途では必須ではないので、自分の使い方で要否を判断してください。
⑦ ハンディか、車載(モービル)か
持ち歩くならハンディ、車中泊・キャンピングカー・業務車・自宅の基地局として安定運用したいなら車載機です。車載機は外部アンテナを高い位置に設置できるぶん、同じ5Wでも飛距離を伸ばしやすいのが強みです。



全部を満たす万能機はないよ。「距離・防水・サイズ・車載か」の優先順位を決めてから表を見ると、迷わず選べるはずだよ。
デジ簡おすすめ現行6機種の比較一覧


先に全体像を。ハンディ4機種+車載2機種を1枚にまとめました。
いずれも増波後の97ch(地上82+上空15受信)に対応した現行機です。
| 機種 | タイプ | 出力 | 防水 | BT | 向いている人 |
| アイコム IC-DPR45 | ハンディ | 5W | IP67 | ○ | まず1台・長時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| アルインコ DJ-DPS70E | ハンディ | 5W | IP68相当 | — | コスパ・小型 |
| 八重洲 SR740 | ハンディ | 5W | IP68 | ○ | 屋外・現場でタフに |
| ケンウッド TPZ-D563BTE | ハンディ | 5W | IP54〜68 | ○ | 薄型・スマート |
| アイコム IC-DPR100 PLUS | 車載 | 5W | IP54 | — | 車中泊・基地局 |
| アルインコ DR-DPM61E | 車載 | 5W | — | マイクBT | 車内で複数人 |



選ぶときの注意を2つ。①通販には増波前の旧機種や生産終了品(IC-DPR4・IC-DPR3・TPZ-D553など)も並んでいるから、「増波97ch対応の現行機か」を必ず確認。②中古なら技適マークの有無を要チェックだよ。
ここから各機種を詳しく見ていきます。まずは持ち運べるハンディ機からです。
【ハンディ】デジ簡おすすめ現行4機種
まずは持ち運べるハンディ機から。
いずれも増波後の97chに対応した現行機です。
アイコム IC-DPR45|5Wの定番・約16.5時間の長時間運用


アイコムの現行ベーシック機。5W出力で増波の82ch送信+上空15ch受信に対応し、パワーセーブON時で約16.5時間という長時間運用が光ります。
ワンタッチで通話相手を選べるサブチャンネルPTTも便利で、「まず1台目の5Wハンディ」に素直に薦められる定番です。
| 出力 | 5W / 1W |
|---|---|
| チャンネル | 送信82ch+受信 上空15ch(増波対応) |
| 防水防塵 | IP67 |
| 質量 | 約263g(電池・アンテナ込み) |
| Bluetooth | 対応 |
| ここが強み | 約16.5時間の長時間運用/サブchPTT |
アルインコ DJ-DPS70E|コスパと小型軽量の定番


コストを抑えつつ5Wをしっかり使いたい人の定番。薄型バッテリー装着時で薄さ32.5mm・約244gと小型軽量で、IP68相当の防水防塵も備えます。
強力な秘話機能も搭載。
実売はおおむね5万円台からで、「価格と実用のバランス」で選ぶならまずこれです。
| 出力 | 5W / 2W / 1W |
|---|---|
| チャンネル | 97ch(82ch通信+上空15ch受信・増波対応) |
| 防水防塵 | IP68相当 |
| 質量 | 約244g(標準電池) |
| 音声方式 | 4値FSK |
| ここが強み | 薄型32.5mm・軽量/強力な秘話キー |
八重洲無線 SR740|堅牢IP68・大音量で現場に強い


スタンダードホライゾンブランドの5W機。
IP68の高い防塵防水に加え、800mWの大音量スピーカーと2マイク方式のノイズキャンセルで、騒音下や風の強い屋外でも聞き取りやすいのが特徴です。
97ch(陸上82+上空15受信)対応でBluetoothも使え、建設・イベント・アウトドアなど「タフに使う」用途に向きます。
| 出力 | 5W / 2.5W / 1W |
|---|---|
| チャンネル | 97ch(陸上82+上空15受信・増波対応) |
| 防水防塵 | IP68 |
| 質量 | 約243g(電池・アンテナ込み) |
| Bluetooth | 対応 |
| ここが強み | 800mW大音量/2マイクのノイズキャンセル |
ケンウッド TPZ-D563BTE|薄型カードサイズ・Bluetooth対応


業界トップクラスの薄さ28.4mmというカードサイズが魅力の5W機。
Bluetoothに対応し、騒音下でも聞き取りやすい「はっきり聞取りモード」を搭載。
IP54〜68の密閉構造とMIL-STD準拠のタフさも備えます。胸ポケットに収めてスマートに持ちたい人向けです。
| 出力 | 5W(高出力タイプ) |
|---|---|
| チャンネル | 97ch(82ch+上空15ch受信・増波対応) |
| 防水防塵 | IP54〜68/MIL-STD準拠 |
| 厚さ | 約28.4mm(薄型カードサイズ) |
| Bluetooth | 対応(BTEはBluetooth搭載) |
| ここが強み | 薄型設計/はっきり聞取りモード |
【車載】デジ簡おすすめモービル2機種


車中泊・キャンピングカー・業務車、あるいは自宅の基地局として使うなら車載(モービル)機です。
外部アンテナを高い位置に付けられるので、同じ5Wでもハンディより飛ばしやすいのが利点。
設置と電源の手当ては必要ですが、安定運用したい人に向きます。
アイコム IC-DPR100 PLUS|薄型フェイスの車載・基地局定番


車載・基地局用途で定番のアイコム5W機。
増波の97ch(送信82+上空15受信)に対応し、DC13.8V/26.4Vの電源に対応。
奥行き180mmの薄型ボディで、車内にもすっきり収まります。



外部アンテナと組み合わせれば、飛距離を最大限に引き出せます。
| 出力 | 5W / 1W |
|---|---|
| チャンネル | 送信82ch+受信 上空15ch(増波対応) |
| 電源 | DC13.8V/26.4V |
| 寸法・質量 | 125×29×180mm・約900g |
| 防水防塵 | IP54 |
| ここが強み | 薄型フェイス/車載・基地局の実績 |
アルインコ DR-DPM61E|Bluetoothマイク・トリプルマイク対応の新モデル


アルインコの現行車載機。
5W/増波97chに対応し、Bluetoothワイヤレスマイクに対応。
複数マイクの音声をミックスして送れるトリプルマイク機能を備え、車内で複数人が使う場面にも向きます。



コチラの機種もDC13.8V/26.4V対応で、バッテリーの電圧都合で無線機を諦めていた車もOKです。
| 出力 | 5W / 2W / 1W |
|---|---|
| チャンネル | 97ch(増波・上空対応) |
| 電源 | DC13.8V/26.4V |
| 寸法・質量 | 140×40×178mm・約1.2kg |
| ここが強み | Bluetoothマイク対応/トリプルマイク |
デジ簡のアンテナも選ぼう(車載は別途必須)


意外と見落とされがちですが、車載(モービル)機にはアンテナが付属しません。
別途アンテナと基台・ケーブルを用意して初めて使えます。
またハンディ機も、付属の短いアンテナから対応品に替えると飛び方が変わるので、飛距離を求める人はアンテナ選びが効いてきます。



ここは無線技術士として伝えておきたいところ。デジ簡はモービル運用が普通で外部アンテナへの交換もできるけど、“その無線機の適用アンテナ”を使うのが基本だよ。
デジ簡(登録局)は、対応するアンテナへの交換や外部アンテナの使用はできます。
ただし基本は「その無線機に適用されるアンテナ」を使うこと。
無線機は技適を受けた適合表示無線設備なので、アンテナの加工や本体の分解・改造は電波法で禁止です。
適用アンテナは各メーカーが案内しており、一般社団法人 全国陸上無線協会(RMK)も「デジタル簡易無線(登録局)適用アンテナのお問合せ先」を公開しています。
純正、またはメーカーが「対応(適用)」と明記したアンテナから選べば安心です。
さらに具体的に言うと、機種によって使用できる外部アンテナ(利得)が異なります。
使えるのは技術基準適合証明などの認証を受けた認定アンテナで、機種ごとに許容される利得も決まっています。
次のメーカーは、機種別の対応(適合)アンテナや利得を公式に公表しているので、購入前に必ず確認してください。
- アルインコ:デジタル簡易無線 適合アンテナ資料(PDF)
- 八重洲無線(スタンダードホライゾン):デジタル簡易無線用アンテナ(機種別リスト)
- FRC:FC-D301/FC-D301PLUS(対応アンテナ・利得を明記)
- スタンダード(CSR):デジタル簡易無線 機種一覧(対応アンテナ資料あり)
※上記以外以外のメーカー(アイコム・ケンウッドなど)については、対応アンテナをメーカーへお問い合わせください。
アンテナ選びの基本(利得・長さ・基台)
アンテナは利得(dBi)が高い=よく飛ぶ傾向ですが、長く大きくなり、車体アース(ラジアル)が必要な形式もあります。
車のグランドを取りにくい人は「ノンラジアル」タイプが扱いやすいです。
車載ではアンテナ本体に加え、マグネット基台やルーフ基台+同軸ケーブルが必要になります。





固定運用であれば、八木アンテナがいいのだけど、都度交信したい向きにアンテナを回す必要がある。横着さんは、コリニアや1/2λ2段といった真っすぐに立つアンテナがおすすめだ!




用途別のおすすめアンテナ(351MHz帯・適合確認のうえで)
| 用途 | 型番(第一電波ほか) | 全長/形式 | 利得 | ひとこと |
| 車載・定番 | ダイヤモンド AZ350S | 55cm・ノンラジアル | 3.65dBi | 車体アース不要で扱いやすい |
|---|---|---|---|---|
| 車載・高利得 | ダイヤモンド AZ350R | 95cm・1/2λ2段 | 5.15dBi | より飛距離重視 |
| コンパクト/レンタカー | ダイヤモンド MR350 | 22cm・マグ基台付 | 2.15dBi | 短くて着脱が手軽 |
| 自宅・基地局 | ダイヤモンド A350S5Ⅱ | 6エレ八木 | 11.15dBi | 固定運用で強力に飛ばす |
| 自宅・基地局 | ダイヤモンド350MVH | コリニア | 7.15dBi | 固定運用で簡単に四方八方へ飛ばす |
| ハンディ用ロング | ダイヤモンド SRH350RR | 約24〜115cm伸縮 | — | ハンディの飛距離を底上げ |
コメットのPDM351-1(4.15dBi・3/4λ)など、他メーカーにも良い選択肢があります。


いずれも購入前に「手持ちの無線機に対応(適用)するアンテナか」を、メーカーの案内で必ず確認してください。



紹介したダイヤモンドやコメットのデジ簡用アンテナであれば問題ないよ
▶ Amazonで「AZ350S」を探す | ハンディ用SRH350RR
実際に使った人の声(実在レビューより)
スペックだけでは分からない使用感も見ておきましょう。
売れ筋のアルインコ DJ-DPS70Eには、通販レビューで
「資格不要な無線機として通話距離も長く、連絡用として安定している」
「使用感は前機種と全く変わりなく使い勝手が良い」
といった声が寄せられています(Yahoo!ショッピングの商品ページほか)。
個人の実運用では、旧機種との比較レビューを公開している愛好家ブログ「よしおのデムパな日」なども参考になります。
実機の取り回しや操作感は、こうした一次的な使用レポートが役立ちます。



口コミは「自分と近い使い方の人」の声を探すのがコツだよ。業務用途とレジャー用途では、重視するポイントがけっこう違うからね。
用途別のおすすめ早見
| こんな人・使い方 | おすすめ |
| まず1台目・長時間使いたい | アイコム IC-DPR45 |
| 価格と小型軽量のバランス重視 | アルインコ DJ-DPS70E |
| 屋外・現場でタフに・大音量 | 八重洲 SR740 |
| 薄くスマートに持ちたい | ケンウッド TPZ-D563BTE |
| 車中泊・車載・基地局 | アイコム IC-DPR100 PLUS |
| 車内で複数人・BTマイク | アルインコ DR-DPM61E |
デジ簡は買ったら「登録」が必要
冒頭でも触れたとおり、デジ簡(登録局)は購入後に総務省への「登録」をしてから使います。
アマチュア無線などとは違い資格試験はなく、書類を出すだけ。
手数料は電子申請なら安く、毎年の電波利用料も年数百円です。



無登録で電波を出すと電波法違反になるので、ここは必ず済ませましょう。
個別登録と包括登録、電子申請のやり方、開設届まで——手続きの全手順は登録ガイドにまとめています。機種を決めたら、こちらで登録を進めてください。
▶ デジタル簡易無線の登録のやり方|費用・電子申請・開設届を無線技術士が解説


デジ簡のおすすめ機種に関するよくある質問
免許はいらないのですか?
資格試験や免許はいりません。ただし「登録」は必要です。書類を出すだけの手続きで、資格取得のような勉強は不要です。
中古でトランシーバーを買っても登録できますか?
技適マークのある正規のデジ簡なら、中古でも自分名義で登録できます。前の所有者の登録とは別に、自分で登録手続きを行います。購入時は技適マークの有無を必ず確認してください。
レンタルのデジ簡も自分で登録が必要ですか?
レンタル機は通常、貸し出す業者側が登録済みのものを貸してくれるため、借りる側の登録手続きは不要なのが一般的です。短期のイベントだけなら、購入せずレンタルという選択もあります。
上空チャンネルは何に使いますか?
上空利用の15chは受信専用で、山岳や見通しの利く場所での受信に使えます。送信は地上用の82chで行います。平地の一般的な用途では、必須ではありません。
特小とどう使い分ければいい?
登録も不要で手軽さを優先するなら特小(10mW)、距離が必要ならデジ簡(5W)です。特小で足りるかどうか迷う場合は、まず特小の選び方も見て比較してみてください。
▶ 特定小電力トランシーバーのおすすめ9選|免許不要で使える現行の定番機を無線技術士が比較


現行機から用途で選べば失敗しない
デジ簡は機種が多く見えますが、「現行の増波97ch対応機」から、出力・防水・サイズ・ハンディか車載かで絞ると、選択はぐっとシンプルになります。
迷ったら、長時間で扱いやすいアイコム IC-DPR45か、コスパのアルインコ DJ-DPS70Eが無難な入口です。
機種を決めたら、忘れずに登録を。



フリラ全体の位置づけや他のバンドとの違いは、下記記事もあわせて見てくださいな。





