
「包括登録の申請は出したけれど、これで終わりでいいのかな…」
デジタル簡易無線を2台以上そろえると、多くの人が包括登録を選びます。
ところが申請を出しただけでは、手続きは終わっていません。



え、まだあるの?
そう、運用を始めてから15日以内に「開設届」を出す必要があります。
その私が実際に包括登録を電子申請したところ、総務省から不備の指摘を受けました。
解説記事は数あるものの、実際に指摘を受けた記録まで出しているものは見当たりません。
総務省から届いた文面と申請画面を、そのまま載せながら進めていきます。


記事を書いた人
【きのぴぃ】
- CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
- 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
- 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
- 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
- マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター
【結論】包括登録は3段階。つまずくのは開設届の3か所


先に全体像と、間違えやすい場所を出しておきましょう。
包括登録は、次の3段階で完了します。
包括登録が完了するまでの3段階
電子申請なら手数料は1,950円。無線機の台数はまだ書きません。
私の場合は3稼働日でした。ここまでは電波を出せません。
使う無線機を1台ずつ届け出ます。手数料は0円です。
つまずくのは、ほぼ3段目の開設届に集中します。
私が実際に総務省から指摘を受けたのも、この段階でした。
| 間違えやすい場所 | 正解 |
| 適合表示無線設備の番号 | ハイフンごと入力する。「001-P〜」の「-」を抜くと誤記扱い |
|---|---|
| 常置場所 | 移動範囲とは別に「追加」して入れる。忘れると指摘が来る |
| 識別符号 | 登録局は「2」から始まる9桁。免許局は「1」始まり |
すでに入力画面で止まっている方は、つまずき①の技適番号から読んでも構いません。
包括登録とは|個別か包括かの判断はここではしない


この記事は、包括登録に決めた方に向けた実務の解説です。
まず包括登録という枠組みを、手続きの面から押さえておきましょう。
順に見ていきましょう。
包括登録は「2台以上をまとめて登録する枠」
包括登録は、無線機を2台以上使う人のための登録方法です。
1台ずつ登録する個別登録に対して、先に「枠」だけを登録しておくのが特徴になります。
申請の時点では、まだ何台使うかを確定させる必要がありません。



申請書に書くのは「見込み開設局数」だけ。私は3局と書いたよ。
枠を取ってから、実際に使う無線機を後で届け出る。
この「後で届け出る」部分が、開設届にあたります。
個別登録と包括登録のどちらを選ぶかで迷っている方は、個別登録との違いと選び方をまとめた記事を先にご覧ください。


開設届が必要なのは包括登録だけです。個別登録は無線機1台ごとに登録するため、登録が済んだ時点で運用できます。「開設届を出し忘れた」という事故は、包括登録に固有のものだと考えて構いません。
追加した無線機は、そのつど開設届だけでいい
包括登録のいちばんの利点は、台数を増やすときの手軽さにあります。
無線機を買い足しても、包括登録の申請をやり直す必要はありません。
追加分の開設届を出すだけで済みます。
| やりたいこと | 必要な手続き | 手数料 |
| はじめて登録する | 包括登録申請 | 電子1,950円 |
|---|---|---|
| 使う無線機を届け出る | 開設届 | 0円 |
| 無線機を買い足した | 開設届(追加分) | 0円 |
2台目、3台目と増えていく前提なら、包括登録のほうが手間もお金も軽くなります。
そのかわり、届出を忘れやすいという弱点も抱えることになるわけです。
総務省が「開設届の未提出が大変多い」と書いている
開設届の出し忘れは、実は珍しい話ではありません。
関東総合通信局が、注意書きとしてはっきり書いています。
「包括登録に係る無線局の開設届」の未提出が大変多くなっております。未提出の場合、電波法第27条の34に違反し、電波法第113条第10号の罰則の適用を受ける場合がありますのでご注意ください。
出典:総務省 関東総合通信局「登録手続きについて」(条番号は電波法の条文にあわせて表記)
役所がここまで書くのは、それだけ事例が積み上がっているからでしょう。



みんな申請した時点で終わったと思っちゃうんだね
登録状が届くと、どうしても一区切りついた気分になります。
そこで手を止めると、未提出のまま運用してしまう流れです。
【実録】電波利用電子申請で包括登録を出す
ここからは、私が実際に操作した画面に沿って進めます。
書面申請ではなく、総務省の電波利用電子申請を使った手順です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
旧「Lite」では、もうデジ簡の登録はできない
ネット上には「電子申請・届出システム Lite」という名前の解説が大量に残っています。
しかしデジ簡の登録申請は、もうLiteでは行いません。
現在の入口は、総務省の電波利用電子申請です。
「Liteだからマイナンバーカードは不要」は通用しません。旧Liteはアマチュア局専用の簡易な手続きに縮小されました。デジ簡を含む無線局の申請・届出は本人確認が必須で、マイナンバーカードか電子証明書が要ります。
私はパソコンにICカードリーダーをつなぎ、マイナンバーカードで本人確認しました。
その日のうちにアカウントが使えるようになっています。
公式には利用開始まで1週間程度かかる場合があると案内されているので、余裕をみておくと安心でしょう。



古い記事のとおりにIDとパスワードを待っても、郵便は来ないよ。
申請画面はパソコン専用と明記されている


「スマホだけで済ませたい」という声はよく聞きます。
結論を先に書くと、申請そのものはパソコンで進める前提です。
ログイン後に「新規申請を開始」へ進むと、注意書きが表示されます。
※ 以下の手続きは、パソコン専用です。スマートフォンやタブレットでは正常に表示・動作しない可能性があります。
出典:総務省 電波利用電子申請(申請種別選択の画面)
そして、この注意書きの下に「登録局申請」のボタンが並んでいます。
デジ簡の包括登録も開設届も、すべてここから入ることになるわけです。
本人確認まではスマホでもできますが、入力はパソコンで行うのが確実でしょう。



じゃあカードリーダーを買っておくと楽そうだね
入力するのは移動範囲・周波数・見込み開設局数
包括登録の申請書で入力する項目は、それほど多くありません。
迷いやすいのは移動範囲と周波数の2か所です。
| 入力項目 | 私が入れた内容 |
| 無線設備の規格 | デジタル簡易無線局 |
|---|---|
| 移動範囲 | 「全総合通信局(全国)」ボタンで一括入力 |
| 周波数(地上・海上) | 351.03125〜351.1MHzの12波と351.2〜351.63125MHzの70波=82波・5W |
| 周波数(上空) | 351.10625〜351.19375MHzの15波・1W |
| 見込み開設局数 | 3局 |
| 開設の目的 | 簡易な業務等(一般業務用) |
移動範囲には「全総合通信局(全国)」というボタンが用意されています。
押すと関東から沖縄まで11行がまとめて入り、表が一気に埋まる仕組みです。
この便利さが、あとで落とし穴になりました。
見込み開設局数は、あくまで見込みで構いません。実際に何台使うかは開設届で確定させます。多めに書いても手数料は変わらないので、増える予定があるなら余裕をもたせておくと後が楽です。
申請の宛先は住所地を管轄する総合通信局
宛先はプルダウンから自分で選びます。
自動で振り分けられることはありません。
包括登録の申請は、申請者の住所を管轄する総合通信局が宛先です。
包括登録の場合・・・登録申請は申請者の住所(法人であれば登記上の本店住所)を管轄する総合通信局になります。開設届は、開設届に記載する常置場所を管轄する総合通信局になります。
読み飛ばしがちですが、登録申請と開設届で宛先の基準が違います。
自宅と常置場所が同じ都道府県なら、結果として同じ局になるだけの話。
職場や別宅に無線機を置く人は、ここを取り違えないよう気をつけてください。
手数料を納付して登録される|実測は3稼働日
送信したあと、どう進んでいくのかを実測でお見せします。
公式の目安と、実際にかかった日数には差がありました。
順に追いかけていきます。
手数料は電子申請で1,950円


包括登録の手数料は、書面と電子で別の額です。
電子申請なら1,950円で、書面より1,380円安く済みます。
| 手続き | 書面 | 電子申請 |
| 包括登録申請 | 3,330円 | 1,950円 |
|---|---|---|
| 包括再登録申請 | 2,130円 | 1,050円 |
| 開設届 | 不要 | 不要 |
| 登録事項証明書の交付請求 | 480円 | 440円 |
書面が高い理由は、額の中に登録事項証明書の交付請求手数料が含まれているためです。
電子申請にはその分が乗っていません。
紙の証明書が必要になったときだけ、別途440円を払う形になります。



納付はATKかインターネットバンキング。収入印紙も返信用封筒もいらないよ。
納付は審査が進んだあとに案内されます。
申請した時点では金額が請求されないので、待っていて構いません。
申請直後にダウンロードできる書類は登録状ではない


ここは読者がいちばん取り違える場所だと思います。
送信が終わると上記のような書類をダウンロードできますが、それは申請内容の控えです。
登録状ではありません。
控えを持っていても、まだ電波は出せません。手数料の納付も審査も終わっていない段階なので、登録は成立していないからです。この状態で運用すると無登録運用にあたります。
備え付けの対象になるのは、登録完了後に交付される登録記録のほうです。
紙の登録状は交付されず、電子申請サイトから取得する形に変わりました。
備え付けの具体的なやり方は、登録状のデジタル化と備え付け方を解説した記事にまとめています。


公式の目安は15日程度、実測は3稼働日
総合通信局は、交付までの目安を次のように案内しています。
(申請書 到達 から交付まで15日程度かかります)
実際はもっと早く終わりました。
私が関東総合通信局へ電子申請したときの記録が、こちらです。
| 日付 | できごと | 経過 |
| 某月30日(木)深夜 | 申請を送信 | 起点 |
|---|---|---|
| 翌某月3日(月) | 受付処理中→審査中→手数料納付待ち | 2稼働日目 |
| 翌某月4日(火) | 登録された日 | 3稼働日 |
| 翌某月5日(水) | 登録状をダウンロードできた日 | 4稼働日目 |


土日をはさんで3稼働日で登録されています。
納付はインターネットバンキングで、案内が出たその日に済ませました。
書面申請や混雑する時期はもっとかかるため、公式の15日程度を基準に見ておくと安全でしょう。



思ったより早いんだね
登録された日と、登録状を手にできる日は1日ずれる


表をよく見ると、登録日とダウンロードできた日が違います。
登録は翌某月4日、登録状を取得できたのは翌日である5日でした。
この1日のずれは、運用開始日を決めるときに効いてきます。
電子免許状等は、システムで閲覧できる状態に置くか、写しを備え付けるか、証明書を備え付けるかのいずれかを満たさないと運用できません。登録状を取得できていない段階では、この条件を満たせないことになります。運用開始日は、登録状を手にした日を基準に考えるほうが安全です。
運用開始日は、次に説明する開設届の15日カウントの起点でもあります。
1日ぶんの余裕を見込んでおくと、期限計算で慌てずに済むはずです。
開設届を出して、はじめて手続きが完了する
登録状が届いたら、いよいよ開設届です。
期限・費用・宛先の3つを押さえれば、迷う要素はありません。
ひとつずつ確認していきましょう。
提出期限は運用開始から15日以内


開設届の根拠は電波法第27条の34です。
実際の申請画面にも、条文がそのまま表示されます。
電波法第27条の34の規定により、包括登録に係る無線局を開設したので、下記のとおり届け出ます。
出典:総務省 電波利用ポータル「デジタル簡易無線局の包括登録局の開設届出について」(画面表示は電波利用電子申請より)
起点は、登録された日ではなく運用を開始した日です。
申請画面では「登録局を開設した日」と「運用開始の期日」を別々に入力します。
使い始める日を自分で決められるので、届出の準備が整ってから運用を始めるのも一案でしょう。
開設届の手数料は0円
開設届に手数料はかかりません。
関東総合通信局の一覧でも、開設届の欄は「不要」と明記されています。
画面上も同じで、開設届のフローには手数料の欄そのものがありません。
「表示されないから無料」ではなく「無料だから欄がない」と考えてください。同じシステムでも、包括登録申請の画面にはきちんと1,950円と表示されます。有料の手続きには欄が出るので、対照で確認できます。
費用がかからないぶん、後回しにしても痛みを感じません。
未提出が多い理由の一端は、ここにもありそうです。
提出先は常置場所を管轄する総合通信局
開設届の宛先は、包括登録申請とは基準が違います。
登録申請が住所地なのに対し、開設届は常置場所が基準です。
| 手続き | 宛先の基準 |
| 包括登録申請 | 申請者の住所(法人は登記上の本店住所)を管轄する総合通信局 |
|---|---|
| 開設届 | 無線機の常置場所を管轄する総合通信局 |
| 個別登録 | 常置場所を管轄する総合通信局 |
総務省は、東京に住んでいて大阪に無線機を置く例を挙げています。
この場合、登録申請は関東、開設届は近畿という組み合わせです。
自宅も常置場所も同じ人には関係ない話ですが、単身赴任や事業所持ちの方は注意してください。
届け出るのは1台ずつ


開設届は、無線機をまとめて1件で出すものではありません。
1台につき1局として、台数分の情報を並べていきます。
私は3台を届け出たので、開設局情報が3行並びました。
- 識別符号(呼出符号)
- 適合表示無線設備の番号(技適番号)
- 無線設備の製造番号
- 開設年月日
- 常置場所および移動範囲
台数が多いほど、入力ミスの確率も上がっていきます。
ここから先が、私が実際につまずいた3か所です。
【つまずき①】技適番号はハイフンごと入力する
最初の指摘は、適合表示無線設備の番号でした。
たった1文字の「-」が原因で、再提出になっています。
順に説明します。
「001-P」の「-」を抜くと誤記になる
私は無線機の銘板を見ながら、番号を打ち込みました。
そのときハイフンを省いて「001P」と入力しています。
すると総務省から、はっきり誤りだと指摘が返ってきました。
「適合表示無線設備の番号」:「001P〇〇〇」及び「001P〇〇〇」は正しくありません。「001-P〇〇〇」及び「001-P〇〇〇」ではないでしょうか。確認の上、修正をお願いいたします。
出典:関東総合通信局から筆者に届いた不備通知(番号の下桁は伏せています)
ハイフンは飾りではなく、番号の一部です。
抜いてしまうと、番号として成立しなくなります。
銘板に印字されているとおり、記号も含めてそのまま写してください。



3台のうち、ハイフン付きの2台だけ弾かれた。残る1台は形式が違ったんだ。
技術基準適合証明番号と工事設計認証番号は別物
私の3台は、番号の形が2種類に分かれていました。
ハイフンなしが1台、ハイフンありが2台ありました。
これは入力ミスではなく、そもそも制度が違う番号だからです。


| 比較項目 | 技術基準適合証明番号 | 工事設計認証番号 |
| 審査の対象 | 完成した無線設備を1台ごとに試験 | 設計(型式)ごとに審査 |
|---|---|---|
| 番号の付き方 | 1台ごとに違う番号 | 同じ機種なら同じ番号 |
| 番号の形 | 001TVAB〇〇〇(ハイフンなし) | 001-P〇〇〇(4文字目がハイフン) |
| 多いのは | 個別に証明を取った機体 | 量産されているトランシーバー |
市販のデジ簡は、ほとんどが工事設計認証を受けています。
つまり手元の無線機は、ハイフン入りの番号を持っている可能性が高いわけです。
見分け方は4文字目がハイフンかどうか
2つの番号は、見た目で簡単に区別できます。
登録証明機関であるTELECの公表資料を見てみましょう。
(技術基準適合証明番号は)先頭の3文字は登録証明機関名である001を示し、4又は5文字は無線設備の種別に従って表に定める記号を示し、その他の文字は当センターが定める文字のものとしています。(工事設計認証番号は)001を示し、4文字目は「-」と、5〜10文字目は当センターが一の認証工事設計ごとに定めるもの
つまり4文字目がハイフンなら工事設計認証番号です。
工事設計認証番号には、無線設備の種別を表す記号が入りません。
だからハイフンを抜くと、どちらの番号としても読めなくなってしまいます。



1文字だけど、意味のある1文字なんだね
【つまずき②】常置場所の入力漏れで総務省から指摘を受けた
2つ目の指摘は、常置場所が入力されていないというものでした。
ただ、私は入力を飛ばしたつもりがありません。
なぜ起きるのかから説明します。
表は埋まって見えるのに、常置場所は入っていない
入力欄は「無線設備の常置場所及び移動範囲」という名前になっています。
常置場所と移動範囲が、1つの表に同居しているのがポイントです。
そして表の上には「全総合通信局(全国)」というボタンが置かれています。
- 「全総合通信局(全国)」を押すと、移動範囲が11行まとめて入る
- 表が11行で埋まるので、入力が終わったように見える
- しかし常置場所は12行目として、自分で「追加」しないと入らない
便利なボタンが、そのまま落とし穴になっている構造です。
忘れっぽいから起きるのではなく、画面の作りから起きる漏れだと言えるでしょう。



私も表が真っ黒に埋まっているのを見て、そのまま送信してしまったよ。
実際に届いた不備通知の中身
送信から2日後、マイページの通知書照会に文書が届きました。
発信元は関東総合通信局の無線通信部陸上第三課です。


「常置場所」が入力されていません。「無線設備の常置場所及び移動範囲」で「追加」を押し、「設置場所区分」で「常置場所」を選択し、常置場所(無線機を通常保管している場所)の住所を入力ください。
出典:関東総合通信局から筆者に届いた不備通知
指摘されたのは、この常置場所と先ほどの技適番号の2点だけでした。
文面は事務的ですが、責める調子はまったくありません。
不備があれば連絡が来る運用なので、必要以上に身構えなくて大丈夫です。



いきなり却下されるわけじゃないんだ
直し方は総務省が手順で書いてくれている
ありがたいことに、通知には直す手順まで書かれていました。
案内どおりに操作すれば、迷うところはありません。
- 「無線設備の常置場所及び移動範囲」の「追加」を押す
- 「設備設置区分」で「常置場所」を選ぶ
- 都道府県・市区町村と、町・丁目を入力する
- 「補正後提出」から申請書を再提出する


常置場所の入力欄には「申請者住所」というボタンが付いていました。
自宅を常置場所にするなら、1クリックで住所が流し込めます。
常置場所とは、無線機を通常保管している場所のこと。
再提出は「補正後提出」機能から行います。新規に申請をやり直す必要はなく、指摘を受けた申請書を呼び出して直す形です。手数料が二重にかかることもありません。
【つまずき③】識別符号は「2」から始まる9桁
3つ目は、指摘こそ受けなかったものの迷った項目です。
識別符号という欄に、何を入れるのか分かりにくいところがあります。
順に見ていきます。
登録局は「2」始まり、免許局は「1」始まり
識別符号は、無線機に固有の呼出符号です。
デジ簡ではCSM番号とも呼ばれ、9桁の数字で構成されています。
CSMは呼出名称記憶装置の略称です。
| 局種 | 識別符号の先頭 | 桁数 |
| 登録局(351MHz帯) | 2 | 9桁 |
|---|---|---|
| 免許局 | 1 | 9桁 |
私が届け出た3台も、すべて「2」から始まっていました。
「CSMのあとの番号」と説明されることもありますが、覚えにくいはずです。
登録局なら2から始まる9桁、と押さえるほうが実用的でしょう。



先頭の数字を見れば、登録局か免許局かが一発で分かるよ。
無線機のどこを見れば書いてあるか
識別符号は、無線機本体に印字されています。
技適番号と同じ銘板に並んでいることが多いものの、位置は機種によってばらばらです。
前出の画像の通り、バッテリーを外した裏面にある機種もあります。


上の画像は車載機の実例(アルインコDR-DPM60E)です。
先に3つの番号を紙に控えてから、申請画面を開いてください。識別符号・技適番号・製造番号の3点セットです。台数分をまとめて控えておくと、画面と無線機を往復せずに入力を終えられます。
機種によっては、設定メニューから画面表示できる場合もあります。
取扱説明書で確認しておくと確実です。
登録局は「空中線情報」を入力しなくてよい
装置一覧には「空中線情報」という列があります。
アンテナの情報を書くべきかどうか、ここで手が止まりました。


結論から言うと、登録局は空欄のままで構いません。



欄があるのに書かなくていいの?
私は空欄のまま提出しました。
そして総務省からの不備通知で指摘されたのは、常置場所と技適番号の2点だけでした。
空中線情報については、何も言われていません。
登録局は、無線機とアンテナが一体で技術基準適合証明または工事設計認証を受けています。設備の内容が番号で特定できるため、空中線を個別に申告する必要がありません。欄が用意されているのは、他の種別の無線局と様式を共通化しているためだと考えられます。
不備があれば通知が来る運用なので、空欄で通ったこと自体が答えになります。
ただし、これはあくまで私が申請したときの実績にすぎません。
もし不安であれば、管轄の総合通信局に確認してから提出するとよいでしょう。
包括登録の費用を実額で積む


ここまでの費用を、実際の金額で足し合わせてみます。
私の3台構成をモデルにすると、負担の感覚がつかみやすいはずです。
順に積み上げていきましょう。
初年度にかかるのは申請手数料と電波利用料だけ
包括登録で発生する費用は、驚くほど少なく済みます。
3台構成なら、初年度の合計は2,820円で収まる計算です。
| 項目 | 金額 | 備考 |
| 包括登録申請 | 1,950円 | 電子申請の場合 |
|---|---|---|
| 開設届 | 0円 | 台数を追加しても0円 |
| 電波利用料 | 870円 | 290円×3局・年額 |
| 初年度の合計 | 2,820円 | 紙の証明書を請求しない場合 |
2年目以降は、電波利用料の870円だけになります。
紙の登録事項証明書がほしい場合のみ、電子申請で440円が別途かかる形。
電波利用料は1局あたり年290円
電波利用料は、無線局1局ごとに毎年かかります。
料額は改定されており、包括登録は1局あたり年間290円です。
個別登録は200円なので、包括のほうがわずかに高くなります。
| 登録の種類 | 1局あたりの年額 | 3台なら |
| 包括登録 | 290円 | 870円 |
|---|---|---|
| 個別登録 | 200円 | 600円 |
差額は1局あたり90円ですから、台数が増える前提なら誤差の範囲でしょう。
詳しい料額は関東総合通信局の登録局ページに掲載されています。
納付書は開設した月の翌月末に届く
電波利用料は、こちらから振り込む必要がありません。
納付書が郵送で届くのを待つ形になります。
届くタイミングの基準は、開設届を出した月の翌月末です。
電波利用料の起点は、登録ではなく開設届です。開設届を出して初めて無線局として数えられるため、そこから課金が始まります。届出を遅らせても得にはならず、むしろ罰則の対象になるだけです。
納付書の送付先は、1つの登録につき1か所しか設定できません。
台数ごとに分けて送ってもらうことはできない仕組みです。
包括登録の「その後」に必要な手続き


登録が終わったあとも、状況が変われば届出が必要になります。
ほとんどが0円で済むので、身構える必要はありません。
まとめて確認しておきましょう。
無線機を買い足したら開設届だけ
台数を増やしたときに必要なのは、追加分の開設届です。
包括登録の申請をやり直す必要はありません。
期限も同じで、運用開始から15日以内に届け出ます。



買うたびに1,950円かかるわけじゃないんだね
この身軽さが包括登録の最大の利点です。
見込み開設局数を超えて増やしても、あらためて申請する必要はありません。
機種交換や常置場所の変更は変更届
無線機を買い替えたときは、開設局変更届を出します。
引っ越しなどで常置場所が変わった場合も同じ届出です。
どちらも手数料はかかりません。
| できごと | 手続き | 手数料 |
| 無線機を買い足した | 開設届(追加分) | 0円 |
|---|---|---|
| 無線機を買い替えた | 開設局変更届 | 0円 |
| 常置場所が変わった | 開設局変更届 | 0円 |
| 氏名・住所が変わった | 変更登録届 | 証明書が要る場合のみ |
| 周波数・電力・移動範囲を変える | 変更登録申請 | 証明書の交付請求で電子440円 |
| 使わなくなった | 廃止届 | 0円 |
変更届の提出先も、常置場所を管轄する総合通信局です。
様式は関東総合通信局の登録申請(届)様式のページにまとまっています。
周波数を変えるときだけ変更登録申請
唯一やや重いのが、周波数や空中線電力を変える場合です。
ここだけは変更届ではなく、変更登録申請という別の手続きになります。
登録記録の内容が書き換わるためです。



30ch機のあとに82ch機を足すときが、まさにこのパターンだよ。
変更登録申請そのものに、申請手数料の定めはありません。
ただし登録事項証明書の交付請求で、電子申請なら440円かかります。
「電子申請なら0円」と書いている解説には注意してください。変更登録申請に申請手数料の定めがないのは事実です。しかし登録記録が書き換わる以上、登録事項証明書の交付請求が別に発生します。関東総合通信局は電子440円を併記し、近畿総合通信局は書面に限定した書き方をしています。
案内の書き方は総合通信局によって差があるため、管轄の局で確認してください。
変更登録申請については、デジタル簡易無線登録のやり方について解説した記事で詳しく扱っています。


全部廃止すると包括登録そのものが失効する
無線機を手放すときは、廃止届を出します。
1台だけの廃止でも、全部まとめての廃止でも構いません。
ただし届け出た無線局がすべて廃止されると、包括登録は失効します。
買い替えのタイミングには注意してください。先に全台を廃止してしまうと包括登録が消え、新しい無線機を使うには登録から取り直しになります。新しい機体の開設届を出してから、古い機体を廃止する順番が安全です。
逆に廃止を遅らせると、使っていない無線局の電波利用料を請求されます。
早すぎても遅すぎても損をするので、入れ替えの順序だけ意識しておきましょう。
再登録は満了3か月前から1か月前まで


登録の有効期間は5年です。
使い続けるなら、期間が切れる前に再登録を申請しましょう。
受付期間は満了の3か月前から1か月前までと決まっています。
- 手数料は電子申請で1,050円(新規より900円安い)
- 期間を過ぎると再登録できず、新規の包括登録と開設届からやり直し
- 案内の文書は届かないので、自分で満了日を管理する
うっかり過ぎると、また1,950円と開設届が必要になります。
登録状を取得した時点で、満了日をカレンダーに入れておくと安心でしょう。
開設届を出さないと30万円以下の罰金になる


出し忘れたらどうなるのかも、事実で確認しておきます。
開設届の根拠は電波法第27条の34でした。
そして罰則は、同じ電波法の第113条に定められています。
第百十三条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。(中略)十 第二十七条の三十四の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
虚偽の届出も同じ扱いになる点は覚えておいてください。
手数料0円の手続きを飛ばして、30万円以下の罰金を負うのは割に合いません。
登録状が届いたら、その日のうちに開設届まで済ませてしまいましょう。



0円の届出を忘れて罰金では、あまりにもったいないよね。
包括登録と開設届に関するよくある質問
読者から質問されやすい点を、まとめて回答しておきましょう。
開設届に手数料はかかりますか?
かかりません。総合通信局の一覧でも手数料の欄は「不要」と記載されています。台数を追加したときの開設届も同じく0円です。
スマホだけで申請できますか?
アカウント発行と本人確認まではスマホでできます。ただし申請の画面には「パソコン専用」と明記されているため、入力はパソコンで進めてください。
登録状はいつ手に入りますか?
私の場合は登録された翌日にダウンロードできました。登録日と取得できる日がずれることがあるため、運用開始日には1日ぶんの余裕をみておくと安全です。
台数を増やしたら登録し直しですか?
必要ありません。追加した無線機の開設届を出すだけで済みます。見込み開設局数を超えても、あらためて包括登録を申請することはありません。
不備を指摘されたら申請はやり直しですか?
やり直しにはなりません。「補正後提出」の機能から、指摘を受けた申請書を直して再提出します。手数料が二重にかかることもありません。
個別登録でも開設届は必要ですか?
不要です。開設届は包括登録に固有の手続きで、個別登録なら登録が済んだ時点で運用できます。
まとめ|開設届まで終えて、はじめて堂々と使える
包括登録の流れを、実際の記録に沿って追ってきました。
要点を整理しておきます。
手続き自体は、身構えるほど難しいものではありません。
つまずくのは制度の難しさではなく、画面の作りや表記のクセです。
先に落とし穴を知っておけば、同じところで止まらずに済みます。



これなら自分でもできそう
登録と届出を済ませてしまえば、あとは5Wの飛距離を楽しむだけです。
これから機種を選ぶ方は、現行の登録局対応機を比較した記事もあわせてご覧ください。








