デジタル簡易無線のチャンネルが増えるが改造できるの?

2023年の法改正により、351MHz帯を使うデジタル簡易無線の登録局が従来の30チャンネルから82チャンネル、さらに一部97チャンネルへと大幅に拡張されました。

この変更で工場やビジネスシーンでの通信効率が向上することが期待されています。

しかし、「今持っている無線機を82チャンネルに改造できるのか?」という疑問も多く、特に現場での運用や管理を考える際には、重要なポイントとなります。

本記事では、デジタル簡易無線のチャンネル増加と改造可否について、詳しく解説します。

目次

総務省では改修された場合の申請を想定している

ガジェット大魔王ーデジタル簡易無線 チャンネル 増える

電波利用ホームページを確認すると、ソフトウェア及びハードウェアの改修した機器での申請を想定しており、申請方法が告知されています。

総務省の電波利用ホームページを確認すると、ソフトウェアおよびハードウェアが改修された無線機器に関する申請方法が詳細に解説されています。

この申請方法は、メーカーがソフトウェア・ハードウェアの改修を行うことを前提としており、導入に際して発生し得る問題点が明示されています。

改修が必要な場合の手続きについても具体的に説明されており、利用者が適切に対応できるような情報が提供されています。

同サイトには複数の申請パターンが示されており、それぞれの状況に応じた手続き方法を選ぶことができます。

管理や導入の選択肢として、「既存の簡易無線機を増波後の簡易無線機に交換する」という方法が最も現実的であると考えられます。

この交換手続きは、無線機の通信機能を最新のものにアップグレードするための重要なプロセスであり、多くの利用者にとってメリットのある選択肢です。

特に、販売チャンネルを通じて無線機を買い替えることで、新たな通信機能を容易に導入することが可能となり、より高品質な通信環境が整います。

また、増波前の簡易無線機を増波後の簡易無線機に交換する際には、以下のような手続きが必要です。

増波前の簡易無線のすべてを増波後の簡易無線に交換
・既存包括登録の変更申請
・登録局変更届出

これらの手続きにより、無線機の運用に必要な条件を満たし、適法な通信を維持することができます。

さらに、増波前の簡易無線機をソフトウェア改修で対応する場合でも、電波の質が変わるため、技術基準適合証明(技適)や工事設計認証を再取得する必要があります。

これにより、技術基準適合証明番号が変更されることになるため、無線機を交換したのと同様、変更申請する必要が生じます。

無線機メーカーの思惑

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まずは、いち早く公式発表しているアルインコの場合は次の通り。

30chのデジタルトランシーバーは82chに拡張してもらえるの?

弊社ではそのようなサービスは行っておりません。

デジタル簡易無線を含む無線機器は認証機関から技術基準適合証明を受けなければ使用できません。登録局3Rの82ch(3T)への改造は周波数の拡張という重要なスペックの変更ですから別技適の取得が必要になります。新品で製造するDJ-DPS70EやDR-DPM60Eなどの技適番号とは共用することができません。検査を含む技適取得費用は新品の簡易無線機が何台も買える額で、CSMも取得し直しになりますが、これにも費用と手間が発生します。さらに弊社の手数料を加えると、時間、手間、費用、すべてが非現実的になるためです。
通信技術[電子事業部]|総合FAQ(よくあるご質問)|ALINCO – アルインコ

まぁ、当然でしょうね。

「検査を含む技適取得費用は新品の簡易無線機が何台も買える額」と聞いて驚く人もいるかもしれません。

しかし、メーカーも事業として運営しているため、導入や改修に際しては人件費などのコストがかかります。

人が動くたびに「チャリン」と工数が発生し、それがコストに直結するという仕組みなのです。

製品に掛かる主なコスト(ユーザーに渡るまで)
  • 部品代
  • 開発コスト
  • 流通コスト
  • 技術基準適合証明・工事設計認証費用
  • 人件費
  • 販売コスト…など

メーカーにとって、技適取得や各種検査は単なる形式的な手続きではなく、多くの労力と時間がかかる作業であり、それが最終的なコストに反映されるのです

この点を理解せず、「検査なんてすぐできるでしょ。技適の申請費用だけなら、無線機1台分で済むはず…」などと思い込んでしまうと、思わぬ問題が生じかねません。

実際には、技適の申請費用も業者によって異なり、高額になることもあります(テレックが最も安価であることはよく知られています)。

そのため、「検査を含む技適取得費用は新品の簡易無線機が何台も買える額」というのは、決して誇張ではなく、現実的なものです。

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メーカーが利益を上げるのは当然のことであり、慈善団体ではありません。

また、「お客様は神様です」という言葉も過去のものとなりつつあります。

現代では、メーカーも顧客との関係を相互に尊重し合うことが重要視されています。

メーカーの立場や事情を理解し、高圧的に無理なお願いをするようなクレーマーにはならないように心がけるべきです。

特に、製品の導入や問題が発生した場合には、販売チャンネルを通じて適切に対応することが求められます。

他メーカーもユーザーから多くの要望を受けていることでしょうが、改造などの対応に関しては後ろ向きであるのが現状です。

過度に期待しすぎず、もし対応してもらえたらラッキーくらいに考えるのが良いでしょうね。

特に無線機の販売や管理に関しては、現行の通信環境や工場などでの導入状況を考慮しつつ、現実的で効果的な選択をすることが重要です。

ユーザーにとっては周波数が増波されることで利用の幅が広がり、遊び場が増えるのでラッキーかもしれませんが、メーカー側から見ると周波数が増えるたびに無駄なコストが増加し、販売チャンネルや製品の管理にも影響を与えるため、ある意味では迷惑千万なのです。

周波数の増波による新たな認証取得や技術対応は、メーカーにとって大きな負担となり、これが製品の価格に反映される可能性もあります。

一部のメーカーでは、現行機種と同名で新規に技適・工事設計認証を取得している事例もあります

これにより、今後の動向に注目が集まっており、通信機能や特徴をどのように活かしていくのかが重要なポイントとなるでしょう。

また、総務省からの指導に従い、適切な認証を保持し続けることも、安定した通信環境の維持に不可欠です。

通信機能の高度化や周波数の増波は、ユーザーにとって新たな可能性を提供しますが、同時にメーカー側には大きな負担をもたらします

ちょちょいのちょいで改修できるのか?

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巷ではソフトウェアを改修するだけで、ちょちょいのちょいで周波数増波できるのではないかという話がチラホラ。

私の見解はこう。

恐らく、高い確率でソフトウェア改修のみで周波数の増波ができるはず(他の人と同じじゃんか(^o^;A)。

この先は、妄想で書いていることなので、正しくないかも知れません。

その旨ご容赦を!

ソフト改修だけでできる(と思われる)理由その1

VCOが極めて狭帯域なものであった場合、いくらソフトウェアを改修したとしても、VCO自体を変更しなければ新しい周波数帯をカバーすることは難しいでしょう。

しかし、旧機種であっても、新しい周波数までカバーできないような狭帯域なVCOを使用しているとは考えにくいです。

なぜなら、近隣の周波数を利用する業務用無線機も存在するため、デジタル簡易無線機もそれらと部品の共通化を図っている可能性が高く、共通部品を使用しているのであれば、VCOが旧周波数のみしか対応できないような狭帯域なものであるとは考えにくいです。

こうした部品の共通化は、販売チャンネルにおける在庫管理や工場での生産効率の向上にも寄与しており、コスト削減と管理の容易さを実現するために非常に重要と言えるね。

部品を共通化すれば、生産効率アップだけでなく、販売チャンネルを通じて迅速に市場に製品を供給する上でも大きなメリットになるわね。

特に、通信機器に求められる品質や信頼性を維持しながら、効率的に製品を提供するためには、共通化された部品を活用することが不可欠です。

ソフト改修だけでできる(と思われる)理由その2

一から新しい無線機を開発すると、時間もコストも非常にかかります。

そのため、旧機種と内部構造を同じにして、ソフトウェアで対応することで開発コストを最小限に抑えるという判断は、どのメーカーも共通して行っていると考えられます。

通常、新しい機能を備えた製品の開発には、相応の期間が必要です。

驚くくらいの期間で、各メーカーが迅速に増波対応品を市場に導入できたのは、ソフトウェアの改修で対応できたからだろうね。

このような迅速な対応は、販売チャンネルを通じた製品の提供をスムーズにし、買い替え需要への対応を図る上で非常に有効です。

メーカーの本音は…

メーカーとしては、ユーザーに買い替えてもらう方が自分達の利益となるので一番いいし、もし、改修をするのであれば、かなりの費用(人件費)が掛かるので、やりたくないというのが本音でしょう。

ソフトウェアを変更しただけでも、「電波の質が…」という話が出てくるので、その検証に時間(コスト)が掛かるからです。

今後救世主は登場するか?

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理想的なことを言えば、救世主が現れて、市民ラジオのように誰かが旗振り役となり、数を取りまとめて技適を取れば、費用としては安くできるでしょう。

しかし、市民ラジオと違い、全メーカーはマイコンを使っているため、肝心なソフトウェアの方はどうするの?という話もあります。

メーカーからソフトウェアを含めた資料が提供されることはまずないと考えられるし、そう考えると敷居はかなり高い。

利益を度外視し、情熱を持って、全て行ってくれる人の登場に期待したいところ。

救世主のためのToDoリスト

果たして現れるか分かりませんが、救世主がすべきことのToDoリストをまとめたので、参考にしてください。

回路を解析し、技適の申請に使うためのブロック図を完成させる。

同時に、回路の動作を解析し、どのようなプログラムにしたらよいか検討。

マイコンを調査し、ワンタイムマイコンであった場合は、マイコンの置き換え+回路変更が必要。フラッシュマイコンだった場合は、対応するマイコンの開発ツールを用意し、ガシガシとプログラムを作っていく。

プログラミングが完了し、動作するようになったら、念のため、技適に通るかどうか、測定器で確認する。

申請書類をまとめ、認証機関に申請を行う。場合によっては、認証機関と打ち合わせを行う。

認証機関に機械を持ち込んで、試験を行う。

以上でミッション完了。あとは、無線機のユーザーが総務省に申請するだけ。

まとめ

デジタル簡易無線のチャンネル増加は、通信環境の改善に向けた重要な進展です。

ただし、既存の無線機を改造してチャンネル数を増やすのは難しく、手間や費用も現実的でないケースが多いとされています。

安全で確実な運用を求めるなら、新たに82チャンネル対応の無線機を導入するのが賢明な選択でしょう。

拡張に伴う制度や新たな利用シーンに合った製品を選び、安心して快適に無線を活用してくださいね!

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