
この記事を書いた人(きのぴぃ/木ノ下陽一)
・電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター
・電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
・マガジンランド 月刊「Let's HAMing」元ライター
・部品メーカー広告宣伝記事担当
Microchip Technology社が提供するMPLAB PICkit4は、前モデルのPICkit3を超える高性能なデバッガ/プログラマとして注目を集めている。
洗練されたデザイン、高速なプログラミング能力、そして多彩なインターフェースのサポートなど、その特長は多岐にわたる。この記事では、電子工作プログラミングに最適なPICkit4の基本的な概要から、PICkit3との違い、そして具体的な使用方法まで、詳しく解説するので、ぜひご一読を。
1. MPLAB PICkit4とは
MPLAB PICkit4は、Microchip Technology社が提供する最新のデバッガ/プログラマである。この章では、その基本的な概要と主な特長について詳しく解説する。


1-1. MPLAB PICkit4の概要
MPLAB PICkit4は、PICkit3の後継として登場したデバッガ/プログラマである。 Microchip Technology社は、前モデルのPICkit3の成功を受けて、さらに高機能なデバイスを求めるユーザーのニーズに応えるためにPICkit4を開発した。
より洗練されたデザインとなっており、使い勝手を追求した形状となっている。多くの新機能が追加され、前モデルよりも高性能である。
1-2. PICkit4の主な特長
PICkit4は、高速なプログラミングや広範囲のターゲット電圧対応など、多くの特長を持っている。ユーザーの作業効率を向上させるため、さまざまな特長が搭載されている。
プログラミング速度: 従来モデルと比較して約5倍の高速プログラミングが可能。
ターゲット電圧: 1.2Vから5.5Vまでの広範囲に対応。
2. PICkit3とPICkit4の違い
PICkit3とPICkit4の間には、いくつかの大きな違いがある。この章では、それらの違いを詳細に比較・解説する。
2-1. ステータス表示の変更
ユーザーがステータスをより直感的に確認できるようにするためPICkit4では、ステータス表示がLEDから発光部に変更された。
PICkit4の表面の斜めに取り付けられた発光部は、ステータスに合わせて青や紫などの色で光る。PICkit3と比べると、近未来的なデザインであることが分かる。
2-2. microSDカードスロットの追加
ユーザーが外部ストレージとしてmicroSDカードを使用するニーズが高まっているためPICkit4には、データの保存や転送を便利にするmicroSDカードスロットが新たに搭載された。
MPLAB XからPICkit4に転送されたhexファイルは、本体側面のSDカードスロット内のmicroSDカードに保存される。後述するProgrammer-to-Go機能を更に便利に扱えるようになっている。
2-3. Programmer-to-Go(PTG)機能
外出先でも簡単にプログラミングを行いたいユーザーのためPICkit4には、パソコンがなくてもプログラミングが可能なPTG機能が搭載されている。
PTG機能を使用すると、ターゲットボードから供給される電力で駆動し、表面のロゴを押すだけでプログラムが転送されて書き込まれる。
2-4. プログラミング速度の向上
高速なプログラミングにより、ユーザーの作業効率を大幅に向上させるためPICkit4のプログラミング速度は、従来モデルと比較して約5倍向上している。
PICkit3と比べても、大規模のプログラムは短時間で書き込みが可能となった。
2-5. インターフェースのサポート
さまざまなデバイスやアプリケーションに対応するためPICkit4は、4線式JTAGやシリアルワイヤデバッグなど、多彩なインターフェースをサポートしている。
また、従来の2線式JTAGやICSPとの後方互換性も保持している。
3. PICkit4の使用方法
PICkit4を最大限に活用するための使用方法を、この章で詳しく解説する。
3-1. 接続方法
ユーザーが迅速に開発を開始できるように設計されているためPICkit4の接続は非常にシンプルである。パソコンとはUSB2.0で接続し、ターゲットボードとは8ピンのシングルインラインヘッダで接続する。
3-2. プログラミング/デバッグの手順
MPLAB XのGUIを使用することで、直感的な操作が可能であるためPICkit4を使用したプログラミングやデバッグの手順は、初心者でも簡単に行える。
GUI上でのシンプルな操作だけで、PICやdsPICのプログラミング/デバッグが行える。
3-3. MPLAB X IDEとの連携
一貫した開発環境を提供することで、ユーザーの作業効率を向上させるため。PICkit4は、MPLAB X IDEとのシームレスな連携が可能である。
MPLAB X IDEのバージョンv4.15以上との連携がサポートされており、無償でダウンロードが可能である。
4. PICkit4の対応デバイス
PICkit4がどのようなデバイスをサポートしているのか、この章で詳しく解説する。
4-1. サポートしているプログラミング速度
最適な速度でのプログラミングを実現するためPICkit4は、デバイスがサポートしている最大プログラミング速度に自動的に設定される。
デバイスによっては、高速なプログラミングが可能となる。
4-2. ターゲット電圧の範囲
多様なデバイスやアプリケーションに適応するためPICkit4は、1.2Vから5.5Vまでの広範囲な電圧に対応している。低電圧のデバイスから、高電圧のデバイスまで、幅広くサポートしている。
4-3. 電力供給と消費について
ユーザーのさまざまな環境やニーズに応えるためPICkit4は、外部電源が不要なUSB供給から、ターゲットからの給電まで対応している。ターゲットからの電流消費は最小限(100μA未満)となっている。
5.PICkit4についてのQ&A
- MPLAB PICkit4のデザインにはどのような特徴があるのか?
-
MPLAB PICkit4は、前モデルであるPICkit3と比較して、より洗練されたデザインとなっている。ユーザーがより快適に操作できるように使い勝手を追求した形状となっている。
- PICkit4でのプログラミング速度の向上の具体的な効果は何?
-
PICkit4のプログラミング速度は、従来モデルと比較して約5倍向上しています。この高速化により、大容量のプログラムでも短時間での書き込みが可能となり、ユーザーの作業効率が大幅に向上します。
- PICkit4の新機能「Programmer-to-Go(PTG)機能」のメリットは何ですか?
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Programmer-to-Go(PTG)機能は、パソコンがなくてもプログラミングが可能。この機能のおかげで、外出先やフィールドでの作業時にも簡単にプログラミングを行うことができる。
具体的には、ターゲットボードから供給される電力で駆動し、表面のロゴを押すだけでプログラムが転送されて書き込まれるという利便性がある。
PICkit3では1つのプログラムしか入れることができず、プログラムの入れ替えが簡単に行えなかったが、PICkit4ではSDカードに書き込みしているので、SDカードを差し替えるだけでプログラムの入れ替えにすぐ対応することが可能だ。
また、SDカードにいくつものプログラムを入れることができ、書き込まれているconf.ptgというファイルに書かれているファイル名を変更すれば、プログラムを切り替えることも可能だ。
PICkit4のメリットとおすすめユーザー
5-1. PICkit4のメリット
Microchip Technology社の最新技術が集約されているためPICkit4は、多くの新機能と高性能を持つデバッガ/プログラマである。高速なプログラミングや広範囲のターゲット電圧対応など、多くのメリットがある。
5-2. どのユーザーにおすすめか
使いやすさと高機能を兼ね備えているため PICkit4は、初心者から上級者まで、幅広いユーザーにおすすめである。初心者は直感的なGUIでの操作を、上級者は高度なプログラミングやデバッグを行うことができる。
幅広いマイクロコントローラに対応しており、将来性も高く、PICマイコンやdsPIC、AVRなどの開発を行う人には、ぜひお勧め!
\スタンドアローンでも使える無敵のPICKIT4/
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