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基板の状態で技術基準適合証明/工事設計認証をパスできるか

目次

技術基準適合証明試験とは

ある程度の送信パワーが出る無線機には技術基準適合証明シール(通称:技適シール)が貼られている。
シールが貼ってある無線機は、電波法に適合したものですよというお墨付きなのだ。

このシールは、技術基準適合証明試験(以下、技適試験)、または工事設計認証に合格した機器のみが付けられる。

以前は、費用は格安で個人でも技適試験を受験することができたが(市民ラジオのみ)、今では大変高額になってしまったため資金力のあるメーカーでないと難しい。
アマチュア無線機に改造して保証認定とやらで申請する方がリーズナブルとなってしまった。こだわりを持った人でないと申請できない状況。

技適試験は、申請書類を受験する認証機関に送付、または持ち込みし、認証機関で決められた台数無線機を試験してパスすればOK。
カテゴリーによっては、無線機の測定データを送るだけという書類審査も可能だ。
技適試験の欠点は、高額になること。
そのかわり、メーカーが大企業でも零細企業でも同様に試験しましょうというものだ。

工事設計認証とは

もう一つの工事設計認証は、このメーカーは電波法に適合する機器を継続的に生産できるかというのを審査する方法。
ISO9001取得企業は、一部書類をはしょることができる場合があり、大量に無線機器を生産する場合は、この方法が多い。

ISO9001を取得していない(コストの関係で取得できないなど)会社は、膨大な資料を用意しないとならないよう。
零細企業にとっては、ハードルが高く、困難といっていいだろう。

で、ラジックス絡みでたまたま技適関連の興味のある話があった(ラジックスまとめサイトというのをたまたま見つけた。よくまとめられていますな。感心)。
一つは基板の状態で技適、あるいは工事設計認証が受けられるのか。
もう一つは、筺体輻射云々という話。

基板の状態で技術基準適合証明/工事設計認証をパスできるか

基板の状態…に関していえば、技適などが合格できるか否かは半々だ。
以前であれば、基板で技適や工事設計認証を受けるのは難しかったが、10年位前から容易に開けられない構造の解釈が変わったようだ。
外部アンテナが使えない市民ラジオや特定小電力に関しては、アンテナが外れないようにしなければならないというのも忘れてはいけない。
シールドケースをハンダ付けした物でも、構造によって「容易に…云々」はOKとなるケースがある。
そのため、技適合格した特定小電力の基板というのが誕生したのだ。

認証機関が納得できる説明と資料さえあればいい。それに尽きる。
総務省から照会があった際に言い訳できる材料がないとね。

ちなみに、「容易に…」の定番だった封印シールは、以前はOKだったが、最近は容易に開けられるという判断になるとのことでダメ。
そのため、ユーザーが、どノーマル状態の市民ラジオを持ち込んで技適試験を受けるというのは事実上できなくなったことも書いておこう。
技適に合格できる市民ラジオならば、ビスをトルクスなどに変更するなどすればできるかも?

色々な方法は考えられるけれど、周波数の高い特定小電力はともかく、周波数の低い市民ラジオを基板の状態で作り込むのであれば、実用的な製品は難しいといわざるを得ない。

次に、筺体輻射云々だけれど、電波法的にも企業倫理としてもアンテナを繋いだ際に不要輻射が大きいのは決して好ましくはない。
しかし、技適などはアンテナ端子などに測定器を接続し、基準レベル以下であればOKという判断なので、基板の状態であっても、アンテナ端子から出てくる不要輻射のレベルが小さければOKとなってしまう。

不要輻射ということでもひとつ言えば、昔の検定機の一部は感度を上げるためか、局発レベルが大きく、全く技適合格できない物も存在する。
現行の機器はそういった物は、まずないはずだ。

蛇足ではあるけれど、最後に降って湧いた感のある新スプリアス規定について書きたいと思う。
ことの始まりは、一部無線機器でスペアナの分解能以下に不要輻射が出ていたことが発覚。基本波に近い所だったので、測定器の分解能によってはスポイルされてしまうため、見逃されてしまったようだ。
そういった背景から、近接に不要輻射の出る無線機器を排除しようということになったらしい。
適切な設計であれば、まず問題なしということではあるが、アンテナを繋いだら、電波が回り込んで寄生発振したりして変な輻射をする無線機器が以前あったような、なかったような…。
くわばら、くわばら。。。

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