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ベリカードはまだもらえる!発行中の局と廃止した局の一覧

昭和のベリカードをテーブルに広げて眺める男女

「ベリカードって、まだもらえるの?」

調べてみると、出てくるのは放送局の「発行終了のお知らせ」ばかりだと思います。

どこもかしこも終了のお知らせで、もう全部終わったのかと思っちゃった

結論を先にお伝えします。

まだ発行を続けている局はあります。ただし、締切が迫っている局もあります。

全部終わったわけじゃないんだ。ただ、動くのが早いほうがいい

この記事では、第一級陸上無線技術士の私が、各局の公式告知をたどって「まだもらえる局」と「終わった局」を一覧にします。

あわせて、そもそも放送局がなぜカードを出していたのかを、私の手元にある1981年からの現物とともに書きます。

⚠️ 本記事の各局の状況は2026年8月12日に公式サイトで確認したものです。受信報告書を送る前に、必ず各局の最新の案内をご確認ください。

記事を書いた人

【きのぴぃ】

  • CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
  • 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
  • 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
  • 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
  • マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター

目次

ベリカードはまだもらえる。ただし締切がある

まず全体像を置きます。

状況
発行を続けているラジオNIKKEI/ラジオ福島/RNC西日本放送
締切が決まっているFMヨコハマ(2026年9月30日)
すでに終了したラジオ関西・南海放送・仙台放送・NHK WORLD-JAPAN ほか計10局

ここで先に注意をひとつ。

締切の日付が決まっていても、その前に終わることがあります。

2026年7月31日で終了したラジオ関西の告知には、こう書かれていました。

残数は若干枚のため、定数に達し次第、期日を待たずに終了となります

出典:ラジオ関西「受信報告カードの発行終了について」

カードは在庫がある物です。刷った分が無くなれば、期日前でも終わります。

締切ギリギリに出せばいいや、じゃダメなんだ…

欲しい局があるなら、思い立った日に出すのが確実です。

ベリカードは何を証明するものなのか

1981年11月6日639キロヘルツの受信を確認した朝鮮中央放送の受信証の裏面

ベリカードは、正式には受信確認証や受信証明書と呼ばれます。英語では Verification Card です。

記念品のように思われがちですが、書かれている内容を見ると性格がはっきりします。

私の手元に、1981年に朝鮮中央放送から届いたものがあります。表は舞踊の写真、裏が「受信証」です。

受信報告をお送りくださってありがとうございます。あなたが1981年11月6日に639kHzで18時32分から18時58分までおききになった放送が当ピョンヤン放送であることを確認します。

出典:朝鮮中央放送 受信証(1981年・筆者所蔵)

「放送を聞いてくれてありがとう」ではありません。

この日の、この時刻に、この周波数で受けた電波が、確かに当局のものであると確認する文書です。

日付・周波数・開始と終了の時刻。証明書として必要な要素が全部そろっている

だからこそ、リスナー側は「聞きました」だけでは足りず、決められた項目を書いて送る必要がありました。

その項目が何なのかは、後ほど受信報告書の書き方で見ていきます。

ベリカードとQSLカードはどう違うのか

JOKR954キロヘルツと送信所の座標が刷られたTBSラジオの受信確認カード

ベリカードと並んで「QSLカード」という言葉を見かけると思います。

QSLカードベリカード
誰が誰にアマチュア無線局どうし放送局からリスナーへ
証明する内容交信したこと受信したこと
向き互いに送り合う一方向

アマチュア無線は交信した二人が対等に証明を交換しますが、放送は一方的に送るものなので、カードも一方向に出されます。

ただし、当時の実物を見ると境界はかなり緩かったことが分かります。

手元にある1981年のTBSラジオのカードには、上部に大きくこう刷られています。

TNX FR UR QSL

出典:TBSラジオ 受信確認カード(1981年・筆者所蔵)

TNXはthanks、FRはfor、URはyourの略で、いずれもアマチュア無線で使われてきた略号です。

つなげると「あなたの受信報告をありがとう」という意味になります。

放送局が出すカードなのに、文面はアマチュア無線の言い回しでした。

放送を聴く趣味とアマチュア無線が、当時は地続きだったんだ

なぜ放送局はカードを出していたのか

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。

電波がどこまで飛んでいるか、局にも分からなかった

送信所から出た電波が、実際にどこでどう受かっているか。

昔は、それを確かめる手段が放送局側にありませんでした。

え、電波を出している本人が分からないの?

分からないのです。中波や短波は、昼と夜、季節、その日の電離層の状態で伝わり方が変わります。

送信所で測れるのは自分が出した電力までで、数百km先や国外で自局の電波がどう届いているかは、そこにいる人に聞くしかありません。

リスナーの受信報告が、事実上の観測網だった

そこで頼りにされたのが、リスナーから届く受信報告書でした。

どこで、いつ、どの周波数で、どんな状態で受かったのか。各地から集まる報告そのものが、局にとっての観測データだったわけです。

そのお礼としてカードを発行する。それが習わしになりました。

記念品を配っていたんじゃなくて、データをもらったお礼だったんだ

証拠1|NHKの国際放送は、海外からの報告にしか出さなかった

この見方がはっきり分かる例があります。

NHKの国際放送、いまのNHK WORLD-JAPANのベリカードは、海外で受信した報告にしか発行されませんでした。

これは最近の話ではなく、40年以上前からそう言われていたことです。

日本国内で聞こえても、もらえなかったの?

もらえませんでした。国内向けの放送ではないからです。

国際放送が知りたいのは、狙った国や地域で自局の電波がどう受かっているかです。

国内で受信できたという報告は、国際放送の運用にとって必要なデータになりません。

ほしいデータが取れる範囲を決めて、そこにだけ出していたということだね

発行対象の線引きが、そのままカードの目的を示しています。ファンサービスなら、国内の熱心なリスナーを外す理由がありません。

証拠2|報告書の様式が「観測データ」を求めている

この見方が正しいことは、いまの様式を見れば分かります。

ラジオNIKKEIが公式サイトで案内していた報告項目です。

1.受信放送局名/2.周波数/3.受信地/4.受信年月日(日本時間)/5.受信時刻(開始~終了)/6.受信設備(受信機の型名/アンテナの形状)/7.受信内容(番組名等)/8.受信状態の評価(信号強度/混信/雑音など)/9.受信者情報(氏名/年齢/ベリカード送付先郵便番号・ご住所)

出典:ラジオNIKKEI「受信報告およびベリカード発行についてのご案内」(2025年8月26日掲載。現在は同ページを閲覧できません)

注目していただきたいのは6番と8番です。

受信設備と、信号強度・混信・雑音。これは感想ではなく測定項目です。

「面白かったです」だけじゃダメな理由がやっと分かった

どんな受信機とアンテナで、どのくらいの強さで、雑音や混信がどうだったか。

それが分かって初めて、局は「あの地域にはこの程度で届いている」と判断できます。

現場は、職員の好意で成り立っていた

もうひとつ、当時の業界を知る立場から申し添えておきたいことがあります。

この発行業務は、多くの局で職員の好意によって、本来の業務の片手間で行われていました。

専任の担当者がいて、専用の予算がついていたわけではありません。

これは告知には書かれない話だけど、終わり方を理解するには外せないところなんだ

なぜ次々と発行が終わっているのか

役割が分かると、終わる理由も見えてきます。

いまはどの局もインターネットで配信しています。電波がどこまで届いているかを、リスナーの報告に頼って知る必要が無くなりました。

これは私の推測ではありません。局自身が告知にそう書いています。

radikoをはじめとするインターネット配信の普及など、ラジオを取り巻く聴取環境が大きく変化(略)受信報告カードの発行は一定の役割を終えたものと判断

出典:ラジオ関西「受信報告カードの発行終了について」

FMヨコハマも同じです。

近年のインターネット配信の普及やデジタル技術の進展など、放送を取り巻く環境の変化

出典:FMヨコハマ「ベリカード(受信確認証)の発行終了について」

ここで、ラジオ関西の言葉を読み返してみてください。

「一定の役割を終えた」——つまり、役割があったと局自身が書いているのです。

その役割こそが、さっきの「観測網」だったということだね

そこへ、片手間で支えられていたという事情が重なります。

必要性が薄れた業務を、好意だけで続けるのは難しくなります。

放送局が冷たくなったから終わるのではありません。仕組みとしての役目が終わったから終わるのです。

今もベリカードを発行している局(2026年8月12日時点)

公式サイトで発行を確認できた局です。

ラジオNIKKEI(短波)

ラジオNIKKEIでは、リスナーのみなさまからの受信報告書を受け付けています。ご報告を頂いた方にはベリカード(Verification Card)を発行します。受信状況を記載したメモと、切手(ベリカードのみの場合110円分、タイムテーブルの同封をご希望の場合は140円分)を同封して下記までご送付ください。

<宛先> 〒105-8565 東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー17F ラジオNIKKEI 受信報告書係

出典:ラジオNIKKEI「2026 7.8.9 Media Information & Time Table」

ひとつ補足があります。

この案内は、いま公式サイトのページには載っていません。掲載されているのは、上記のタイムテーブルPDFの中だけです。

だから検索しても出てこなかったんだ

案内文には「詳細ページにてご確認頂けます」とありますが、そのページはサイトの改修で辿れなくなっています。

受付が終わったわけではなく、案内の置き場所が変わっただけと見られます。

ラジオ福島(中波・FM)

返信用切手(85円)同封の上、封書に受信報告書在中と表面に朱書し

返信用切手が110円の場合にはベリカードのほか、ラジオ福島の番組プログラムもお送りいたします

出典:ラジオ福島「ラジオ福島のべリカード」

宛先は〒960-8655 福島県福島市下荒子8番地 株式会社ラジオ福島 編成局 技術部です。

25円足すとプログラムも付いてくるのは、集める側にはうれしいところだと思います。

RNC西日本放送(中波・FM・テレビ)

宛先は〒760-8575 西日本放送 受信報告書係で、返信用切手の同封が必要です。

ベリカードの発行は受信報告書をいただいた日から最大数ヶ月程度かかる

出典:RNC西日本放送「ベリカードについて」

「最大数ヶ月」と明記されている点は覚えておいてください。

締切のある局に出す場合、届くのは締切のずっと後になる可能性があります。

ラヂオ気仙沼(コミュニティFM)

受信報告書の書き方と、WordとPDFの雛形が公開されています。

ただし発行状況や送り先、切手の要否がページに書かれていないため、この記事では「発行中」と断定しません。

送る前に局へ確認されることをおすすめします。

はじめの1枚をもらうなら

どこから始めるか迷う方のために、私なりの考えを書いておきます。

こういう方はおすすめ
短波ラジオを持っているラジオNIKKEI(全国で受信しやすく、周波数も固定)
手持ちはAMラジオだけラジオ福島(返信用切手85円から)
終わる前に1枚残したいFMヨコハマ(2026年9月30日まで)

ラジオNIKKEIは短波なので、送信所から遠くても受信できる可能性があります。

周波数が変わらないぶん、あとから同じ報告をやり直しやすいという利点もあります。

発行を終えた局・終える局の一覧

すべて各局の公式告知から拾いました。日付は告知に書かれているとおりです。

期限備考
FMヨコハマ2026年9月30日(水)当日消印有効。告知は2026年7月吉日
ラジオ関西(AM558)2026年7月31日到着分在庫が尽き次第、期日前でも終了
南海放送2026年3月31日テレビ・ラジオAM/FM
仙台放送2026年3月31日(火)告知は2026年3月13日
エフエム宮崎(JOY FM)2026年1月末消印告知は2026年1月21日
エフエム山口2025年12月31日告知は2025年12月11日
J-WAVE2025年9月末日消印
RSK山陽放送令和7年3月31日テレビ・ラジオAM/FM
tvk(テレビ神奈川)2025年3月31日地上デジタル放送の受信報告
NHK WORLD-JAPAN2025年3月20日放送分告知は2025年2月14日。もともと海外での受信のみが対象
KBS京都2024年12月末消印応募多数で予定より早く終了の可能性と告知

並べてみると、2025年から2026年にかけて一気に進んだことが分かります。

NHK WORLD-JAPANの告知は、公式のプレスリリースにこう記されています。

Please be advised that we have decided to stop issuing the Verification Cards. The cards will be sent for confirmations on broadcasts up to March 20, 2025.

出典:NHK WORLD-JAPAN「Termination of NHK WORLD-JAPAN Verification Cards」(2025年2月14日)

国際放送の受信証明という、もっとも象徴的だったカードもここで終わりました。

受信報告書には何を書けばいいか

これから出す方向けに、書き方をまとめます。

局によって様式は違いますが、先ほどのラジオNIKKEIの9項目を満たしておけば、たいていの局で通ります。

局ごとに書式を調べ直さなくていいんだ

なお、この9項目が載っていた案内ページは、現在サイトの改修で閲覧できなくなっています。

タイムテーブルには「詳細ページにてご確認頂けます」と書かれていますが、そのリンク先が辿れない状態です。

項目書き方の例
受信放送局名ラジオNIKKEI第1
周波数6.055MHz
受信地○○県○○市
受信年月日2026年○月○日(日本時間)
受信時刻20時00分〜20時30分(開始と終了)
受信設備受信機の型名とアンテナの形状
受信内容番組名と、実際に流れていた内容
受信状態の評価信号強度・混信・雑音の程度
受信者情報氏名・年齢・郵便番号・住所

いちばん大事なのは受信内容です。

その時間に実際に流れていた内容が書かれていないと、局はその報告が本物か判断できません。

番組名だけでなく、曲名やニュースの話題をひとつ書き添えるといい

そのうえで、返信用の切手を忘れずに同封します。

ラジオ福島のように封筒の表に「受信報告書在中」と朱書きするよう案内している局もあります。

封筒と切手のこまかい話

返信のしかたは局によって違います。

いま案内が出ている局は、いずれも切手を同封する形で、金額まで指定されています。

同封するもの
ラジオNIKKEI切手110円分(タイムテーブルも希望するなら140円分)
ラジオ福島返信用切手85円分(110円分ならプログラムも同封)
RNC西日本放送返信用切手(金額の指定なし)

指定額より多めに入れる必要はありませんが、足りないと送れません。金額は送る直前に公式で確かめてください。

郵便料金が変わると案内の金額も変わる。ここは必ず最新を見てほしい

ちなみに当時、海外の局へ送るときは国際返信切手券を同封するのが習わしでした。

相手国で切手と交換できる券で、これを入れておけば返信の負担をかけずに済みました。

そして、届くまでは気長に待つことになります。RNC西日本放送が「最大数ヶ月程度」と書いているのはそのためではないでしょうか。

1981年から1982年に各放送局から届いた受信証明カード6枚

ここからは、私の手元に残っている当時のカードを紹介します。

ラジオたんぱ|ハワイとの16時間生中継の記念カード

ラジオたんぱがハワイ生中継の記念に発行した1981年の受信確認証

1981年11月22日から23日にかけて行われた特別番組の記念に発行されたものです。

米国ハワイ州のKZOO局と共同で、16時間の生中継を行ったと記されています。

日米それぞれの責任者の署名が入った、賞状のような作りのカードです。

TBSラジオ|送信所の座標まで刷ってある

JOKR954キロヘルツと送信所の座標が刷られたTBSラジオの受信確認カード

コールサインJOKR、954kHz、空中線電力100kWと記載があります。

さらに送信所の位置が、東経139度39分39秒・北緯35度48分11秒と秒単位で刷られています。

受け手が距離を計算できるように、という配慮だと思います。

ラジオアルゼンチン(RAE)|25メートルバンド

11710キロヘルツ25メートルバンドと記されたアルゼンチンRAEのベリカード

1982年、ブエノスアイレスから届いたものです。

周波数欄はタイプ打ちで11710kHz、その下に「bandas 25 mts」とあります。

短波放送で使うメーターバンドの表記で、これについては別記事で詳しく書いています。

延辺人民広播電台|日本語講座を放送していた局

1206キロヘルツで日本語講座を放送していた延辺人民広播電台からの受信確認書

1982年5月付。中国の延辺から届いた受信確認の書面です。

延辺人民放送局では1980年1月21日から1206KHzで毎日3回(北京時間5時―5時20分・11時―11時20分・21時30分―21時50分)ずつ日本語講座を放送しています。

出典:延辺人民広播電台編輯部日本語講座(1982年・筆者所蔵)

カードというより手紙に近い形式で、赤い公印が押されています。

なお現在も同じ放送が続いているかは確認していません。1982年当時の記録としてご覧ください。

朝鮮中央放送|表は絵はがき、裏が証明書

舞踊の写真が印刷された朝鮮中央放送の受信証の表面

先ほど受信証として紹介した1枚は、裏返すと舞踊の写真になっています。

実りの秋を思わせる背景に、同じ衣装の踊り手が並んだ舞台写真です。

海外局のカードは、こうした絵はがき型が主流でした。その国の風景や祭り、名所が印刷されています。

カードそのものが、その国が見せたい姿になってるんだ

そのとおりです。証明書であると同時に、送り手にとっては広報物でもありました。

簡単に行けない国の景色が郵便で届く。集めていた側にとっては、そこも楽しみのひとつでした。

HCJB(エクアドル)|カード以外のノベルティもあった

エクアドルHCJBが50周年に配った記念ペナントの現物

当時は、カードだけでなくペナントや記念品を送ってくる局もありました。

これはエクアドルのHCJBが1981年、開局50周年に配った布製のペナントです。

「HCJB 50 ANIVERSARIO 1931-1981」の紋章の下に、スペイン語でこう記されています。

El Presidente Jaime Roldós inaugura transmisor 500 mil vatios 18 DE FEBRERO 1981

1,000.000 de vatios SIRVIENDO a DIOS al ECUADOR Y al MUNDO

出典:HCJB 50周年記念ペナント(1981年・筆者所蔵)

HCJBが1981年に50万Wの短波送信機を運用開始したことは、放送史の資料でも確認できます。

ペナントの記載はここに引用したとおりで、私のほうで数字の解釈を補うことはしません。

リスナーサービスに、ここまで手をかけていた時代があったんだ

45年間、周波数が変わっていない局がある

ここで、少し不思議な話をします。

先ほどのラジオたんぱのカードの下部には、周波数が刷られています。

〈Nihon Short-wave Broadcasting〉1-9-15 Akasaka, Tokyo, 107 Japan/3.925MHz, 6.055MHz, 9.595MHz(1st PRGR)

出典:ラジオたんぱ ベリカード(1981年・筆者所蔵)

そして、ラジオNIKKEIの2026年7・8・9月のタイムテーブルの見出しがこれです。

ラジオNIKKEI第1 6.055(3.925/9.595)MHz

出典:ラジオNIKKEI「2026 7.8.9 Media Information & Time Table」

3波とも、完全に一致しています。

45年前のカードに書いてある周波数で、今も放送してるってこと…?

そのとおりです。局名はラジオたんぱからラジオNIKKEIに変わりましたが、電波の居場所は変わっていません。

そして、この局は今もベリカードを発行しています。

同じ周波数を、同じ局から、45年ぶりに証明してもらえるということだね

45年前に受け取ったカードと同じ周波数を、いま受信して報告すれば、新しいカードが届くことになります。

短波の周波数表は季節ごとに変わるのが普通で、その理由は 短波放送の周波数一覧が古くなる理由 に書きました。

そのなかで45年動かなかった局があるというのは、私も改めて調べて驚いた事実です。

もう存在しない放送のカード|まつまえ

最後に、もっとも変わった1枚を紹介します。

放送局ではなく、海上保安庁の松前無線方位信号所から1982年に届いた受信証です。

松前無線方位信号所が発行した1670.5キロヘルツの受信証
項目カードの記載
呼出名称まつまえ
電波の型式A3H
周波数1670.5kHz
空中線電力50W
放送時刻毎時30分〜31分30秒
空中線T型 2条

余白には、担当の方の手書きで局の沿革が添えられています。

電信による気象通報業務開始 S29.2.1/電話通報 S42.4.20 20W/50W変更 S55.3.29

出典:松前無線方位信号所 受信証(1982年・筆者所蔵)

問い合わせてきた一人のために、ここまで手書きで書いてくれたわけだね

この放送は2016年に終わっている

1670.5kHzで流されていたのは、船舶向けの気象通報です。俗に「灯台放送」と呼ばれていました。

中短波無線による通報は1954年(昭和29年)6月4日に始まり、2016年(平成28年)9月30日正午に廃止されています。

松前での気象通報業務そのものは、カードの手書きにある「S29.2.1」=昭和29年2月に始まっています。

電信で始まって、あとから電話(音声)が加わったという順序なんだ

そこから数えれば、62年続いた業務でした。

この1枚は、その真ん中あたりの姿を写しているんだ…

いま同じ周波数に受信機を合わせても、何も聞こえません。

「A3H」は、いまの「H3E」と同じもの

ここで無線技術士として、ひとつ補足させてください。

カードの電波の型式は「A3H」ですが、廃止時の資料では同じ放送が「H3E」と表記されています。

途中で方式が変わったの?

変わっていません。表記の規則が変わっただけで、中身は同じ「全搬送波の単側波帯電話」です。

旧表記新表記内容
A3AR3E低減搬送波の単側波帯電話
A3HH3E全搬送波の単側波帯電話
A3JJ3E抑圧搬送波の単側波帯電話

この新しい表記は1979年の世界無線通信主管庁会議で採択され、日本では1983年に施行されました(電波法施行規則第4条の2)。

つまりこのカードは、表記の規則が変わる前年に発行された1枚ということになります。

古い書式に見えるけど、中身は今と地続きなんだ

ベリカードについてよくある質問

ベリカードの発行は終了しましたか?

局によって違います。2026年8月12日時点で、ラジオNIKKEI・ラジオ福島・RNC西日本放送は発行を続けています。一方でFMヨコハマは2026年9月30日で終了する予定です。

ベリカードは今どうなっていますか?

2025年から2026年にかけて廃止が相次いでいます。理由は各局の告知にあるとおりで、インターネット配信が普及し、リスナーの受信報告から電波の届き方を知る必要が薄れたためです。

ベリカードはどこで入手できますか?

発行を続けている局に受信報告書を送るのが本来の入手方法です。オークションなどで当時のカードが流通していますが、それは他人あての受信証明なので、自分が受信した証明にはなりません。

短波放送のベリカードとは何ですか?

短波放送を受信して報告した人に発行されるカードです。国内ではラジオNIKKEIが現在も発行しており、周波数は6.055MHzほか、45年前と同じ3波が使われています。

受信報告書には何を書けばいいですか?

局名・周波数・受信地・年月日・時刻・受信設備・受信内容・受信状態の評価・受信者情報の9項目が基本です。とくに実際に流れていた番組内容と、信号強度や雑音の程度は欠かせません。

海外の局からももらえますか?

1980年代には世界中の局が発行しており、私の手元にもアルゼンチンや中国から届いたものがあります。ただし現在の各局の状況はこの記事では調べていないため、送る前に各局の案内をご確認ください。

役割が終わっただけで、記録は残る

ベリカードは、放送局が電波の実態を知るための仕組みでした。

必要がなくなったから終わるのであって、放送局が冷たくなったからではありません。

ただ、手元に残った紙には、その日その時刻に電波が確かに届いていたことが書かれています。

仕組みが終わっても、記録は残ります。

まだ間に合う局があるうちに、一枚もらっておくのもいいと思う

昭和時代を懐かしむ人へ
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