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短波ラジオで何が聞けるのか|4種類の中身と聞こえないときの原因

短波ラジオのダイヤルを回しても何も聞こえず困っている女性と、聞こえるものを説明する男性

「短波ラジオを買ってみたいけれど、そもそも何が聞こえるのかしら」

あるいは「買ったのに何も入らない」と困っている方もいるはずです。

ダイヤルを回してもザーッていう音しかしないんだけど…

短波で聞こえるものは、大きく4種類に分けられます。

種類さえ押さえておけば、狙いを定めて探せるようになるはずです。

この記事では、第一級陸上無線技術士の私が、聞こえるものの全体像と、聞こえないときの切り分けまでをまとめます。

「何も聞こえない」のほうは、たいてい原因が4つのどれかに絞れるんだ

短波が置かれている現状にも、最後に正直に触れます。

記事を書いた人

【きのぴぃ】

  • CB免許廃止前にサイタマAD720/AE215のコールサインを取得。〇〇年にわたり細々と無線活動中。
  • 電気工事士・第一級陸上無線技術士などの資格を持ち、電気・無線が得意です。
  • 電波新聞社 月刊「ラジオの製作」元ライター フリーライセンス無線を主軸にガジェット記事を執筆
  • 電波新聞社 アマチュア無線受験マニュアル企画記事担当
  • マガジンランド 月刊「Let’s HAMing」元ライター

目次

短波ラジオで聞けるものは大きく4種類

国内放送から放送以外の信号まで4種類を難易度順に並べた対比図

まず全体像から押さえましょう。

種類中身難易度
国内の放送日本から出ている唯一の民間短波局いちばんやさしい
海外からの日本語放送アジアの近隣国が中心。宗教系もあるやさしい
外国語の国際放送世界各国が自国の主張を発信しているふつう
放送ではない信号アマチュア無線・標準電波・数字を読み上げる送信やや難しい

この順に難しくなっていきますので、上から試すのが近道です。

いきなり海外を狙わないほうがいいのね

そのとおりで、まず国内が入ることを確かめてから外へ広げていきます。

国内から出ている短波放送は1局だけ

国内向けは民間1社、国際放送はNHKという担い手の違いを示した図

意外に思われるかもしれませんが、日本国内向けの短波放送は1社しかありません

株式会社日経ラジオ社が放送している、ラジオNIKKEIです。

かつて「ラジオたんぱ」と呼ばれていた放送局で、株式市場と競馬の中継で知られてきました。

最初に狙うならここです。周波数が固定されているうえ、日本国内へ向けて出ているので入りやすい。ここが聞こえれば、受信機とアンテナは動いていると判断できます。

具体的な周波数と時間帯は 短波放送の周波数一覧が古くなる理由 にまとめていますので、そちらをご覧ください。

「1社だけ」というのは私の印象ではなく、総務省が公式に説明しています。

短波放送は、国内放送が昭和29年に民間放送が開始されて以来、民間放送事業者1社により放送が行われています。また、国際放送は、昭和10年に放送を開始して以来(略)昭和27年にNHKにより再開され、現在もNHKにより「ラジオ日本」(Radio Japan)の名称で世界各国に向けた放送が行われています。

出典:総務省 関東総合通信局「ラジオ放送の概要」

区分担い手向き先開始
国内放送民間放送事業者1社日本国内昭和29年
国際放送NHK「ラジオ日本」世界各国昭和10年(昭和27年に再開)

NHKの国際放送は海外へ向けた電波ですので、国内で安定して入るのは民間の1社のほうになります。

海外からの日本語放送

短波の醍醐味は、やはり国境を越えて届く放送でしょう。

順に見ていきましょう。

アジアの近隣国が中心になっている

日本語で聞ける国際放送は、いまはアジアの国々が中心になっています。

中国・韓国・台湾・モンゴル・ベトナム・北朝鮮といった顔ぶれです。

いずれもその国の視点でニュースが読まれるため、日本の報道とは扱いも順番も変わります。

同じ出来事が、国によってどう語られるかを直接聞けるのが面白いところだね

ニュースだけでなく、その国の音楽や語学講座を流している局もあります。

宗教系の放送もある

国営の放送とは別に、キリスト教系の日本語放送も出ています。

グアムやフィリピンなどの送信所を使い、日本向けに番組を届けている形です。

宗教の話ばかりじゃないんだ

内容は説教一色というより、リスナーの便りを読む番組や聖書の解説など、番組ごとに幅があります。

受信報告を送るとカードが返ってくる局もあり、後述する楽しみ方にもつながるのです。

2014年以降で6つの日本語放送が消えた

2014年から2025年までに日本語放送を終えた6局を並べた年表

ここは正直にお伝えしておきましょう。

日本語の国際放送は、はっきりと縮小の方向にあります。

かつては、BBC(英国放送協会)やDW(ドイチェ・ベレ)でも日本語放送を行われていましたが、最近のインターネットや衛星放送の普及などで日本語放送をする国際放送局が縮小傾向にあります。

出典:松林房「日本語短波放送のページ」

かつて日本語で放送していた局終了した時期
ロシアの声2014年にラジオ放送が聞けなくなり、翌年に改称
Bible Voice Broadcasting2016年1月末で短波を終了しインターネットへ
イラン・イスラム共和国国際放送2018年9月に短波もインターネットも終了
KTWR リーディング・ザ・ウェイ2019年に終了
World Harvest Radio2023年3月に放送そのものを廃止
ラジオ・タイランド2025年3月に停止。後述

さらにさかのぼれば、BBC(英国)やドイチェ・ヴェレ(ドイツ)も日本語放送を行っていました。

現在も残っている局にも、送信設備の事情で先行きが不安視されているものがあります。

だからこの記事では、局名の一覧を載せません。いま作った表は、来年には正しくなくなっている可能性があります。最新の一覧は、シーズンごとに更新している専門サイトで確認してください。後半で紹介します。

外国語の国際放送

日本語放送より圧倒的に数が多いのが、外国語の国際放送です。

言葉がわからないと楽しめないと思われがちですが、そんなことはありません。

局ごとにインターバルシグナルと呼ばれる独自のメロディを放送開始前に流すため、それだけで局を見分けられます。

言葉がわからなくても、音で「どこの国か」がわかるんだ

音楽番組を流している局も多く、その国の流行歌をそのまま聞けるのも短波ならではでしょう。

放送ではない信号も聞こえる

アマチュア無線と標準電波と数字の送信で必要な受信機が変わる比較表

短波帯には、放送以外の電波もたくさん飛んでいます。

放送を聞き飽きたら、こちらへ足を伸ばすと世界が広がります。

種類どう聞こえるか必要な受信機
アマチュア無線個人同士の交信SSBに対応したもの
標準電波秒ごとの音と時刻のアナウンスAMで足りる
数字を読み上げる送信抑揚のない声とブザー音AMで足りる

アマチュア無線の交信

短波帯にはアマチュア無線に割り当てられた帯があり、個人同士の交信が聞こえます。

条件がよければ、日本にいながら海外の局同士のやりとりも入ってくるのです。

ここはSSBという電波型式が主流です。AMしか受信できない機械では、声がひずんで意味が取れません。アマチュア無線を聞きたいなら、SSBに対応した受信機が必要になります。

この違いは受信機選びで最初に効いてくるところなので、覚えておいて損はありません。

時刻を知らせる標準電波

正確な時刻や周波数の基準を知らせるための送信も、短波帯にあります。

秒ごとに音が鳴り、決まった間隔で時刻がアナウンスされる、きわめて単調な放送です。

面白みには欠けますが、受信機の目盛りが合っているかを確かめるのに使えます。

数字を読み上げ続ける送信

抑揚のない声が数字を延々と読み上げる、正体不明の送信もあるのです。

ブザー音が鳴り続けるだけの送信も知られており、これらが「短波は怖い」と言われる原因になっています。

正体と、聞くこと自体が違法かどうかは 短波ラジオが怖い正体 で詳しく解説しました。

先に正体を知っておくと、出くわしても落ち着いていられるよ

時間帯で聞こえるものが入れ替わる

短波ラジオで朝と昼と夜に入りやすい放送が入れ替わる時間帯別の図

同じダイヤル位置でも、朝と夜では聞こえるものがまるで変わります。

短波は上空の電離層で反射して届くため、太陽の当たり方で伝わり方が変わるからです。

時間帯入りやすいもの探す帯
アジアからの日本語放送高いほう
遠方の外国語放送高いほう
近隣国の放送と国内放送低いほう

昼と夜で帯を変える理由は 短波放送の周波数一覧が古くなる理由 で詳しく説明しています。

「昨日は入ったのに今日は入らない」というのも、短波では珍しくありません。

「何も聞こえない」ときに疑う4つのこと

アンテナと時間帯と室内の雑音と電波型式を順に確かめる切り分けの流れ図

買ったのに何も入らない、という相談がいちばん多いところです。

上から順に確かめると、たいていどこかで解決します。

アンテナが短すぎる

原因の大半はこれだと考えてください。

短波は波長が数十メートルありますので、数センチのホイップでは受け取れる量が限られてしまうのです。

窓の外へ数メートルの電線を延ばすだけでも、聞こえ方がはっきり変わります。

受信機を買い替える前に、まずアンテナなのね

専用品を買わなくても、まずは長さのある導線を外へ出してみるところからで十分です。

その時間はそもそも放送していない

短波の国際放送は、一日中出ているわけではありません。

日本語放送は1回30分から1時間程度で、狙う時間を外すと当然ながら無音です。

無音なのは当たり前で、機械のせいじゃないんだ

受信機の故障を疑う前に、その局の放送時間を確認してください。

まずは終日放送している国内の局で、機械が動くことを確かめるのが確実でしょう。

部屋の中の雑音に埋もれている

意外な伏兵が、自宅の電気機器です。

LED照明・スイッチング電源・パソコン・充電器などは、短波帯に雑音をまき散らします。

切り分けは簡単です。受信機を持って屋外や窓際へ移動してみてください。それだけでノイズが下がって聞こえ始めるなら、原因は室内にあります。ブレーカーを1つずつ落として犯人を探す方法もあります。

アンテナを外へ出すのが効くのは、長さの問題と同時に、この雑音から離れられるからでもあります。

電波型式が合っていない

最後が、受信する電波型式の取り違えです。

放送はAMですが、アマチュア無線はSSBが主流で、切り替えを誤ると人の声に聞こえません。

そもそもSSBに対応していない受信機も多いので、購入前に仕様を確かめてください。

短波放送は縮小している。それでも残る理由

ここまで読んで、先細りの趣味だと感じた方もいるでしょう。

実際、インターネットと衛星放送の普及で、短波から撤退する国際放送局は増えています。

近年では、送信所の事情ひとつで放送が止まるという事例もありました。

他国の送信所を借りている放送は、その国の事情に左右されます。2025年3月には米国の対外放送を統括する組織の縮小が決まり、傘下の放送局が停波しました。その送信所を借りて日本語放送を出していた局も、同時に止まっています。

短波放送は、こうした外部の事情に思いのほか左右されやすい仕組みの上に成り立っています。

それでも短波が残り続けているのは、他の手段にない強みがあるからです。

短波(3Mhzから30Mhzまでの周波数を使用して音声その他の音響を送る放送)を受信できるラジオ機器を持っていれば、世界中、地球の裏側からでもダイレクトに日本からの放送を受信することができます。

出典:外務省 海外安全ホームページ「短波ラジオの重要性を見直してください」

通信網が使えない場所でも、受信機さえあれば情報が届く。

外務省が渡航者にラジオの携行を勧めているのも、この一点があるからでしょう。

短波の何が面白いのか

受信した内容を放送局へ送るとカードが返ってくるまでの流れ図

実用性とは別に、短波には趣味としての面白さがあります。

この3つがわかると、短波の遊び方が見えてきます。

その日の条件で釣果が変わる

短波の面白さは、同じ操作をしても結果が違うところでしょう。

電離層の状態は日によって変わるため、昨日入らなかった局が今日は明瞭に入ることがあります。

釣りや山菜採りに近い感覚で、狙って当たったときの手応えが大きいのです。

インターネットと違って「今日は入らない」があるから、入ったときが嬉しいんだ

受信報告を送るとカードが届く

短波の世界には、受信報告という文化が根づいているのです。

いつ・どの周波数で・どんな内容を聞いたかを放送局へ送ると、確認の証としてカードが返ってきます。

聞いた証拠を送ると、向こうから返事が来るのね

これがベリカードと呼ばれるもので、集めること自体が趣味として成立しているわけです。

海外の局から届いた紙が手元に残るという体験は、配信では味わえないものでしょう。

受信環境は都道府県まで書けば足りる

FMと中波短波で受信地の粒度が変わる理由を示した対比図

受信報告や記録では、受信した場所と使った機械を書き添えるのが作法です。

ただし短波の場合、市町村まで書く必要はありません

FMとは前提が違います。あちらは送信所からの距離で聞こえ方が決まるため、市町村どころか建物の向きまで効きます。中波や短波は上空の電離層で反射して届くので、数十キロ程度の差はほとんど影響しません。都道府県まで書けば十分に伝わります。

私も東京都でHF機と広帯域受信機を使っていますが、記録に残すのはこの粒度までにしています。

最新の放送予定はどこで調べるか

局は増えたり減ったりしますので、聞く前に最新の情報を確かめるのが確実です。

シーズンごとに更新されている一覧
  • BCLの部屋/海外からの日本語放送を時間順に一覧化。受信地と受信機も明記されている
  • 松林房/局ごとに番組の中身まで書かれている。終了した局の記録も残っている

どちらも実際に受信した結果をもとに、長年にわたって更新され続けています。

終了した局まで記録が残ってるのはありがたいね

この分野は、こうした個人の記録が事実上の資料になっている世界でもあります。

短波ラジオで聞けるものについてのよくある質問

検索でよく見かける疑問にお答えします。

日本で聞ける短波放送は何がありますか?

国内から出ているのはラジオNIKKEIとNHKの国際放送です。加えて、中国・韓国・台湾・モンゴル・ベトナム・北朝鮮といったアジアの近隣国から日本語放送が届きます。宗教系の日本語放送もあります。

短波ラジオはなぜ聞けないのですか?

多くはアンテナが短いことが原因です。次に多いのが、その時間に放送していないケースになります。室内の電気機器が出す雑音と、電波型式の取り違えも疑ってください。

言葉がわからない放送を聞いても楽しめますか?

楽しめます。局ごとに固有のメロディを放送開始前に流すため、音だけで局を見分けられます。その国の音楽をそのまま聞ける点も魅力です。

安いラジオでも短波は聞けますか?

放送を聞くだけなら聞けます。ただしSSBに対応していない機種ではアマチュア無線の交信が聞き取れません。放送だけでよいのか、無線も聞きたいのかで選ぶ機種が変わります。

昨日は入ったのに今日は入りません。故障ですか?

故障ではありません。短波は電離層の状態で伝わり方が変わるため、日によって聞こえ方が違うのは正常です。時間帯を変えて試してみてください。

短波放送はもう無くなるのですか?

縮小しているのは事実で、日本語放送も2014年以降に6局が消えました。ただし通信網が使えない場所へ届く手段として残っており、外務省も渡航者に受信できるラジオの携行を勧めています。

受信報告を送るには何を書けばいいですか?

いつ・どの周波数で・どんな内容を聞いたかが基本です。受信した場所と使った機械も書き添えます。短波では市町村まで書く必要はなく、都道府県までで足ります。

まず国内の1局から、外へ広げていく

短波で聞こえるものは、4種類に整理できました。

まずは終日出ている国内の局で、受信機が動くことを確かめてみてください。

周波数の探し方は 短波放送の周波数一覧が古くなる理由 に、聞こえた音の正体は 短波ラジオが怖い正体 にまとめています。

免許も資格もいらずに自分で電波を出してみたくなったら ライセンスフリー無線(フリラ)とは もどうぞ。

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