MENU

ちょっと惜しいな登録修理業者

きのぴぃ

この記事を書いた人(きのぴぃ)
部品メーカー広告宣伝記事
電気系の雑誌や無線雑誌の元ライターをやってました。
以前よりガジェット集めをやっており、本業(電子機器メーカー勤務)の知見を活かしたレビューが得意です。

目次

登録修理業者制度のいきさつ

携帯電話端末(特別特定無線設備)の修理をする場合、そのメーカーに修理を依頼することが一般的だけれど、スマートフォンの普及に伴い、製造業者以外の第三者である修理業者が修理や交換を行う事例が多く見かけるようになった。

しかし、メーカーでない第三者が携帯電話端末を修理することによって、修理後の携帯電話端末(特別特定無線設備)の性能が電波法で規定している技術基準に適合するかどうか不明確になる等の点が懸念されていた。
 そのようなことから、平成27年に修理の箇所及び修理の方法が適正で修理後の無線設備が技術基準に適合していることを第三者である修理業者自らが確認できるなど電波法で定める登録の基準に適合する場合には、総務大臣の登録を受けることを可能とする登録修理業者制度ができたというもの。

制度としては惜しいぞ

メーカーではない業者が修理できるようになったのは、大変喜ばしいことではあるのだけれど、「非常に惜しい」という感想。何が惜しいかというのは…。

特別特定無線設備しか修理できない。

この特別特定無線設備というのは、「特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則」という法律の第二条第二項に明記されている。

 法第三十八条の三十三第一項の特別特定無線設備は、次のとおりとする。

一 前項第七号、第十一号の三、第十一号の四、第十一号の七から第十一号の八の二まで、第十一号の十一、第十一号の十二、第十一号の十五、第十一号の十七、第十一号の十九から第十一号の十九の三まで、第十一号の二十一、第十一号の二十五、第十一号の二十六、第十一号の三十、第十一号の三十二、第十一号の三十四、第二十一号から第二十二号まで、第五十一号、第五十四号、第五十四号の四及び第五十四号の六に掲げる特定無線設備

二 前号に掲げる特定無線設備と同一の筐体に収められている前項第八号(設備規則第四十九条の十四第七号及び第十二号に規定する無線局に限る。)、第十九号、第十九号の二、第十九号の三、第十九号の四、第四十七号の三、第四十七号の四、第七十五号、第七十九号及び第八十号に掲げる特定無線設備
特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則 | e-Gov法令検索

※ここでいう法とは、電波法である。前項というのは、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則を指す。

簡単にまとめると、次の通りだ。

  • デジタルコードレス電話
  • 携帯電話端末
  • PHS(及び無線LAN内蔵のもの)
  • 陸上移動局
  • 小電力データ通信システム
  • 超狭帯域無線システム
  • 5.2GHz高出力データ通信システム
  • 特定小電力無線の一部(920MHz・57GHzを使用するもの)

CB無線や特定小電力無線の無線電話は、残念ながらない。つまりは、上記のカテゴリー以外修理業者として登録できないので、登録していないモグリの修理屋さんは、法的にアウトということになるのだ(修理後に技術基準適合証明を取れば、その限りではない)。

特別特定無線設備には特権があり、技術基準適合自己確認という制度を使うことができる。これは、海外の無線設備と同様で、メーカー内で日本の技術基準に適合しているのを担保しますよというもので、上記の表のカテゴリーのように無線機の数が多く出るものに関して有効に使われている。

業界団体からは、出力が小さいものから緩和して特別特定無線設備に入れてはどうかという意見も出ているようだが、まだ実現に至っていないようだ。

上記以外に、もう1つ残念ポイントが。

電波の質が変わってしまうような定数変更や調整などはできず、簡易のものの交換しかできない

登録修理業者が修理できる箇所は、平成27年に制定された登録修理業者規則なる法律によって定められている。

第三条 法第三十八条の四十第一項第一号の総務省令で定める基準は、次に掲げる要件を満たすものであることとする。
一 修理する箇所が、表示装置、フレーム、マイク、スピーカ、カメラ、操作ボタン、コネクタ、バイブレータ、電池その他の箇所であって、電波の質に影響を与えるおそれの少ない箇所であること。
二 同等の部品を用いる修理により技術基準に適合しない電波が発射されないものであること。
三 前二号の規定にかかわらず、製造業者との間の契約等に基づき工事設計及び修理の方法に関する情報の提供を受けた箇所の修理であること。
2 特別特定無線設備の修理の方法は、修理方法書に記載された修理の必要な箇所ごとの修理の方法の手順により行わなければならない。
登録修理業者規則 | e-Gov法令検索

街中のスマホ修理屋がやっている簡易な部品交換だけで、再調整をするとかいうのはできないのだ(殆どのスマホは、昔ながらの半固定抵抗を回して再調整するなんていうような構造になっていない)。
所謂、電波の質が変わらない箇所であれば修理を許可するということで、この法律、どちらかというと街中のスマホ修理屋を救済するような格好となっている。

再調整するなどメーカー並みの修理を行おうとすれば、その修理業者が技術基準適合証明を取り直さなければならないことになるのは明白ですな。
基板交換しなければならない位の故障だったら、新しいのを買ってねということになるだろうし、そもそもメーカー自体も修理用サービスパーツとして基板のアセンブリーなんぞは出さないものね。

「登録修理業者は惜しすぎるぞ総務省!」ということで。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次